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子どもの中耳炎|症状・治療・予防の5ポイント
Vol.42感染症

子どもの中耳炎|症状・治療・予防の5ポイント

子どもが耳を痛がったときに疑う中耳炎について、症状の見分け方、抗菌薬の使い方、再発予防のポイントを小児科医が解説します。

感染症6〜12ヶ月・1〜3歳・3〜6歳13
おかもん先生小児科専門医愛育病院 小児科

参考文献 13·Q&A 5問収録

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この記事のポイント

  • 急性中耳炎は風邪のウイルス・細菌が耳に広がって起こる
  • すべての中耳炎に抗生物質が必要なわけではない
  • 滲出性中耳炎は痛みがなく、難聴で気づかれることが多い

愛育病院 小児科おかもん だより Vol.42

「耳を痛がっているけど、中耳炎?」、知っておきたい中耳炎の5つのこと

今号のポイント

  1. 2
    急性中耳炎は風邪のウイルス・細菌が耳に広がって起こる
  2. 4
    すべての中耳炎に抗生物質が必要なわけではない
  3. 6
    滲出性中耳炎は痛みがなく、難聴で気づかれることが多い

こんにちは。愛育病院小児科のおかもん先生です。

「風邪を引いたら耳を痛がって……」、小さなお子さんが風邪を引くと、中耳炎になることがよくあります。実は、3歳までに約80%の子どもが少なくとも1回は中耳炎を経験すると言われています [1]。

今回は、中耳炎の種類、見分け方、治療法、予防について、よくある質問にお答えします。

Q1.「中耳炎って、どうしてなるんですか?」

——風邪を引くと、どうして耳まで痛くなるんですか?

それは、鼻と耳がつながっているからなんです

中耳炎のメカニズム:

耳の構造

  • 鼓膜の奥の空間を中耳と呼ぶ
  • 中耳は耳管(じかん)という管で鼻の奥とつながっている [2]
  • 耳管は中耳の換気と圧力調整をしている

なぜ風邪で中耳炎になるのか?

ステップ起こること
① 風邪を引く鼻・のどにウイルス・細菌が増える
② 鼻が腫れる耳管の入り口が腫れて狭くなる [2]
③ 耳管が詰まる中耳の換気ができなくなる
④ 細菌が侵入鼻の細菌が耳管を通って中耳に入る [2]
⑤ 中耳炎発症中耳に膿がたまる

——鼻と耳がつながっているから、風邪が耳に広がるんですね

そうなんです。特に子どもの耳管は大人より短くて太くて水平なので、鼻の細菌が耳に入りやすいんです [2]。これが、子どもに中耳炎が多い理由です

中耳炎になりやすい年齢:

  • 6ヶ月〜3歳が最も多い [1]
  • 3歳までに約80%が少なくとも1回は経験 [1]
  • 保育園に通っている子はさらに多い [3]

ポイント

  • 中耳炎は風邪のウイルス・細菌が耳管を通って中耳に入ることで起こる [2]
  • 子どもの耳管は短く太く水平で、細菌が入りやすい [2]
  • 3歳までに約80%が経験する [1]

Q2.「急性中耳炎と滲出性中耳炎って、どう違うんですか?」

——中耳炎にも種類があるって聞いたんですが……

はい。大きく分けて急性中耳炎と滲出性中耳炎があります。この2つはまったく違います [4]

急性中耳炎 vs 滲出性中耳炎:

急性中耳炎

原因
細菌・ウイルス感染 [2]
痛み
激しい耳痛あり
発熱
あることが多い
聞こえ
痛みで気づく
鼓膜の状態
赤く腫れて膨らむ [4]
中耳の液体
膿(うみ)[4]
治療
抗生物質を使うことがある [6]

滲出性中耳炎

原因
耳管の機能不全 [5]
痛み
痛みなし(またはごく軽い) [5]
発熱
ないことが多い
聞こえ
難聴で気づかれる [5]
鼓膜の状態
濁っているが腫れていない [5]
中耳の液体
サラサラした液体(滲出液)[5]
治療
経過観察が基本 [7]

急性中耳炎の症状:

  • 激しい耳痛(赤ちゃんは耳をよく触る、機嫌が悪い)[4]
  • 発熱(37.5℃以上)
  • 耳だれが出ることもある
  • 風邪の症状(鼻水、咳)に続いて起こる

滲出性中耳炎の症状:

  • 痛みがない(だから気づきにくい)[5]
  • 聞こえが悪い(呼んでも返事をしない、テレビの音を大きくする)[5]
  • 耳が詰まった感じ
  • 急性中耳炎の後に起こることが多い [7]

急性中耳炎は痛みで気づきます。滲出性中耳炎は難聴で気づかれることが多いです [5]。3〜4ヶ月健診や就学前健診で初めて指摘されることもあります

ポイント

  • 急性中耳炎: 激しい耳痛 + 発熱。細菌感染 [2][4]
  • 滲出性中耳炎: 痛みなし、難聴あり。耳管機能不全 [5]
  • 滲出性中耳炎は気づきにくい。健診で指摘されることも [7]

Q3.「中耳炎になったら、必ず抗生物質を飲まないといけませんか?」

——中耳炎と言われて抗生物質を出されたんですが、必ず飲まないといけませんか?

実は、すべての中耳炎に抗生物質が必要なわけではありません [6]

急性中耳炎の治療方針(日本耳科学会ガイドライン):

抗生物質をすぐ使う場合 [6]

  • 2歳未満の急性中耳炎
  • 重症の中耳炎(高熱、激しい痛み、鼓膜の強い腫れ)
  • 両側の中耳炎
  • 耳だれが出ている

抗生物質をすぐ使わない(経過観察)場合 [6]

  • 2歳以上
  • 軽症(微熱、軽い痛み)
  • 片側のみ
  • 48〜72時間以内にフォローアップできる

軽症の急性中耳炎の約80%は自然に治ることがわかっています [8]。だから、軽症なら2〜3日様子を見るという選択肢もあるんです [6]

経過観察中の対応:

  • 痛み止め(アセトアミノフェンが第一選択)で痛みを和らげる [6]
  • 2〜3日後に再診して、悪化していないか確認
  • 悪化した場合(高熱が続く、痛みが増す)→ 抗生物質開始

——抗生物質を使わなくても治ることがあるんですね

はい。ただし、2歳未満、重症、両側の場合は、抗生物質をすぐに開始することが推奨されています [6]。これは医師が判断しますので、処方された場合はきちんと飲み切ってください

滲出性中耳炎の治療:

  • 経過観察が基本 [7]
  • 抗生物質は一般的に推奨されない(細菌感染ではないため)[7]
  • 3ヶ月以上続く場合は耳鼻科で鼓膜切開や鼓膜チューブ留置を検討 [7]

ポイント

  • すべての中耳炎に抗生物質が必要なわけではない [6]
  • 軽症(2歳以上、片側、軽い痛み)は経過観察も選択肢 [6]
  • 重症(2歳未満、両側、激しい痛み)は抗生物質をすぐ開始 [6]
  • 滲出性中耳炎は経過観察が基本 [7]

Q4.「中耳炎を繰り返すんですが、どうしたらいいですか?」

——うちの子、3ヶ月で3回も中耳炎になっています。繰り返す子はどうすればいいですか?

反復性中耳炎ですね。珍しくありません

反復性中耳炎の定義 [9]:

  • 6ヶ月間に3回以上、または1年間に4回以上の急性中耳炎

反復性中耳炎のリスク因子:

リスク因子理由
低年齢(特に6ヶ月〜2歳)[9]耳管が未熟
保育園通園 [3]ウイルス・細菌への曝露が多い
おしゃぶりの長期使用 [10]耳管の開閉に影響
仰向けでの授乳 [10]ミルクが耳管に逆流しやすい
家族の喫煙 [10]鼻・耳管の粘膜を刺激
アレルギー性鼻炎 [11]鼻の粘膜が腫れやすい

反復性中耳炎への対応:

① リスク因子を減らす

  • おしゃぶりは1歳過ぎたら減らす [10]
  • 縦抱きで授乳 [10]
  • 禁煙(家族全員)[10]
  • アレルギー性鼻炎の治療

② 予防接種を確実に

  • 肺炎球菌ワクチン(プレベナー)[12]
  • インフルエンザワクチン [12]
  • これらのワクチンで中耳炎のリスクが約20〜30%減る [12]

③ 鼻のケア

  • 鼻吸いをこまめに
  • 鼻水を鼻の奥に溜めない
  • 鼻をかむ練習(3歳頃から)

④ 耳鼻科への紹介

  • 3ヶ月以上続く滲出性中耳炎 [7]
  • 難聴が続く場合
  • 鼓膜チューブ留置を検討

多くの子は3〜4歳を過ぎると自然に減ります [9]。耳管が成長して、細菌が入りにくくなるからです。それまでは、予防と早期発見を心がけてください

ポイント

  • 反復性中耳炎: 6ヶ月に3回以上または1年に4回以上 [9]
  • リスク因子: 低年齢、保育園、おしゃぶり、受動喫煙、アレルギー [3][10][11]
  • 肺炎球菌ワクチンで20〜30%予防 [12]
  • 3〜4歳を過ぎると自然に減る [9]

Q5.「中耳炎の時、お風呂やプールは入っていいですか?」

——中耳炎の時、お風呂やプールはどうすればいいですか?

これ、よく聞かれます。鼓膜が破れていなければ、お風呂もプールも問題ありません [13]

お風呂・プールのルール:

急性中耳炎の場合

お風呂

鼓膜が破れていない
○ 入れる [13]
鼓膜が破れている(耳だれあり)
○ 入れる(耳に水を入れないように)[13]
高熱・激しい痛み
△ シャワー程度に

プール

鼓膜が破れていない
△ 熱・痛みがなければOK
鼓膜が破れている(耳だれあり)
× 禁止 [13]
高熱・激しい痛み
× 禁止

滲出性中耳炎の場合

  • お風呂: ○ 問題なし
  • プール: ○ 問題なし
  • 水泳: ○ 問題なし(耳栓は不要)[13]

鼓膜が破れていない場合、中耳は密閉空間なので、お風呂やプールの水が中耳に入ることはありません [13]。だからお風呂もプールも大丈夫です

耳だれが出ている時:

  • 鼓膜に穴が開いている状態
  • お風呂は入れるが、耳に水が入らないように
  • プールは禁止
  • 耳鼻科で処置が必要

——鼓膜が破れていなければ、水は入らないんですね!

そうです。ただし、高熱や激しい痛みがある時は、お風呂は軽めにして安静にしてください。体力を消耗しますので

飛行機は乗れる?

  • 急性中耳炎の時は避けたほうが無難 [13]
  • 気圧の変化で激しい痛みが出ることがある [13]
  • 滲出性中耳炎は多くの場合問題ないが、耳の痛みが出ることがある [13]

ポイント

  • 鼓膜が破れていなければお風呂・プールOK
  • 中耳は密閉空間。水は入らない
  • 耳だれが出ている時はプール禁止
  • 急性中耳炎の時は飛行機は避ける [13]

まとめ

  • 中耳炎は風邪のウイルス・細菌が耳管を通って中耳に入ることで起こる [2]
  • 急性中耳炎は激しい耳痛、滲出性中耳炎は難聴 [4][5]
  • すべての中耳炎に抗生物質が必要なわけではない。軽症は経過観察も選択肢 [6]
  • 反復性中耳炎は3〜4歳を過ぎると自然に減る [9]
  • 鼓膜が破れていなければお風呂・プールOK

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