愛育病院 小児科おかもん先生 だより Vol.426
足の形、内股・外反足
こんにちは。愛育病院小児科のおかもん先生です。
「うちの子、O脚がひどいんです」「内股でよく転ぶんです」。乳幼児健診でよく出る相談です。乳幼児の足の形は、大人と違って発達の過程でどんどん変わります [1]。今回はその流れを整理します。
正常な足の形の変化
Salenius と Vankka (1975) の古典的研究では、子どもの脚のアライメント(向き)は年齢とともに以下のように変化すると報告されています [1]。
| 年齢 | 典型的な脚の形 |
|---|---|
| 0〜1歳 | O脚(生理的内反膝) |
| 1〜2歳 | O脚→まっすぐ |
| 2〜4歳 | X脚(生理的外反膝) |
| 4〜6歳 | X脚→まっすぐ |
| 6〜7歳 | 大人に近い形に定着 |
つまり「O脚→まっすぐ→X脚→まっすぐ」という変遷が正常です [1]。2歳児のO脚、4歳児のX脚は心配いりません。
| 生理的O脚 | 内容 |
|---|---|
| 年齢 | 2歳以下 |
| 両側対称 | 左右同じ |
| 痛みなし | 歩行正常 |
| 身長正常 | 成長問題なし |
| 生理的X脚 | 内容 |
|---|---|
| 年齢 | 2〜5歳 |
| 膝の間隔 | 5〜7cm以内 |
| 両側対称 | 左右同じ |
| 歩行正常 | 転ばない |
O脚、内股、X脚、偏平足、乳幼児期の「気になる形」の多くは発達過程の正常です。
ポイント
- O脚→X脚→まっすぐの変遷 [1]
- 2歳のO脚、4歳のX脚は正常
- 左右対称で痛みなしが条件
内股歩きは
内股歩き(in-toeing gait)は、幼児期にとても多い歩き方です。原因は3つあります [2]。
年齢
- 中足骨内転症
- 乳児期
- 脛骨内捻
- 1〜3歳
- 大腿骨前捻
- 3〜6歳
内容
- 中足骨内転症
- 足の前半分が内向き
- 脛骨内捻
- すねがねじれ気味
- 大腿骨前捻
- 股関節が内向き
| 経過 | 内容 |
|---|---|
| 中足骨内転症 | 1歳までに90%以上が自然改善 [2] |
| 脛骨内捻 | 4〜6歳で自然改善 |
| 大腿骨前捻 | 8〜10歳までに改善 |
内股のほとんどは、特別な治療をしなくても自然に落ち着きます [2]。昔は矯正靴や装具も使われましたが、効果がないとわかっていて、今は使いません。
| 内股でも心配不要なケース | 内容 |
|---|---|
| 左右対称 | 両側同じ |
| 痛みなし | 歩行時も寝る時も |
| 走れる | 運動発達正常 |
| 時々転ぶ | 幼児なら普通 |
ポイント
- 内股の多くは自然改善 [2]
- 装具・矯正靴は効果なし
- 年齢に応じた経過
受診すべき足の形
ほとんどは正常範囲ですが、次のような場合は整形外科受診を [3]。
| 受診を検討するサイン | 内容 |
|---|---|
| 左右差が明らか | 片側だけ曲がる |
| 足を痛がる | 歩行時・夜間 |
| 歩き方が変 | 跛行(びっこ) |
| よく転ぶ | 同年代より頻回 |
| 身長が極端に低い | くる病など |
| 膝の間隔が大きい | 5cm以上の重度O脚 |
| 重度X脚 | 膝を合わせて足首が離れる |
| 発達遅延 | 歩き始めが遅い |
| 注意すべき疾患 | 内容 |
|---|---|
| くる病 | ビタミンD欠乏。重度O脚・身長の伸び悪化 [3] |
| ブラウント病 | 病的な内反膝。成長障害を伴う |
| 先天性股関節脱臼 | 片側内股、開脚制限 [4] |
| 筋ジストロフィー | 進行性の歩行障害 |
| 脳性麻痺 | 筋緊張異常を伴う |
脚の形の「左右差」は、片側の疾患を示唆することがあります。必ず受診を。
ポイント
- 左右差・痛み・跛行は受診 [3]
- くる病の除外が重要
- 先天性股関節脱臼も考慮
偏平足は治療が必要ですか
乳幼児の足裏はふっくらしていて偏平足に見えますが、これは脂肪で土踏まずが隠れているだけです [5]。
| 年齢 | 偏平足の扱い |
|---|---|
| 0〜3歳 | 全員偏平足に見える、正常 |
| 3〜5歳 | 土踏まずが徐々に形成 |
| 6歳以降 | 土踏まずが明確に |
Pfeiffer ら (2006) の調査では、3〜6歳の健康な子どもの約54%が「偏平足」に分類されましたが、問題のある子はほとんどいませんでした [5]。
| 治療が必要な偏平足 | 内容 |
|---|---|
| 痛みあり | 歩行時の痛み |
| 疲れやすい | 長時間歩けない |
| 硬性偏平足 | つま先立ちで土踏まずが出ない |
| 足の変形を伴う | 外反扁平足 |
| 治療が不要な偏平足 | 内容 |
|---|---|
| 無症状 | 痛みなし |
| 柔軟性あり | つま先立ちで土踏まずが出る |
| 年齢相応 | 6歳未満 |
靴のインソールや矯正は、無症状の生理的偏平足には必要ありません [5]。
ポイント
- 乳幼児の偏平足は正常 [5]
- 6歳までに土踏まずが形成
- 無症状なら治療不要
靴選びのポイント
子どもの足は発達中なので、靴選びは大事です [6]。
| 靴選びのポイント | 内容 |
|---|---|
| サイズ | つま先に5〜10mmの余裕 |
| 柔らかい | 特に最初の靴 |
| 足首まで覆う | 乳児は高さで安定 |
| マジックテープ | 履きやすい |
| 定期チェック | 3か月に1回サイズ確認 |
| お下がり注意 | 靴底が変形していることが多い |
| 避けたい靴 | 理由 |
|---|---|
| 大きすぎる | 転倒リスク |
| 小さすぎる | 足の変形 |
| 底が硬すぎる | 足の発達を妨げる |
| 完全に平ら | 足のアーチに合わない |

おかもん先生より
長男が1歳半で歩き始めた時、義母から「O脚がひどいね、整形外科に行ったら?」と言われました。診察して「生理的O脚なので心配ない」と説明したのですが、義母は納得しませんでした。小児科医でも、身内の心配を説得するのは難しいものです。でも実際、3歳頃にはすっかりまっすぐになり、今は普通の足です。発達過程を知ることは大事だと実感しました。
ポイント
- つま先に余裕のある靴
- 3か月ごとにサイズ確認
- お下がりは注意
今号のまとめ
- 乳幼児のO脚・内股は発達過程の正常パターン
- O脚→まっすぐ→X脚→まっすぐの変遷
- 内股の多くは自然改善、装具は効果なし
- 左右差・痛み・跛行は要受診
- 乳幼児の偏平足は正常、無症状なら治療不要
- 靴は定期的にサイズチェック
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ご質問・ご感想
「足の形が気になる」「内股で転ぶ」などは外来でお気軽に。
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