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「おへそがぽこっと飛び出していて」「泣くと膨らむんです」、乳児健診でよくご相談いただきます。これは臍ヘルニア(umbilical hernia)、通称「でべそ」と呼ばれる状態です [1]。
臍ヘルニアとは#
お腹の中と外を仕切る腹壁が、へその部分で完全に閉じていないために、泣いたりいきんだりするとそこから腸や脂肪が膨らんで出てくる状態です [1]。
| 臍ヘルニアの基本 | 内容 |
|---|---|
| 原因 | 臍輪(腹壁筋の穴)が閉じていない |
| 発症時期 | 生後数週間〜1か月頃 |
| 大きさ | 数mm〜数cm |
| 頻度 | 乳児の約15〜20% [1] |
| リスク | 早産児、低出生体重児 |
泣いたり力んだりしたときに膨らむのが特徴です。それ自体は心配ないサインです。
| 心配のいらない特徴 | 内容 |
|---|---|
| 柔らかい | 押すとへこむ |
| 還納できる | 押すとお腹の中に戻る |
| 痛がらない | 泣いても痛がらない |
| 色が変わらない | 皮膚の色は普通 |
心配のいらない特徴内容
柔らかい
押すとへこむ
還納できる
押すとお腹の中に戻る
痛がらない
泣いても痛がらない
色が変わらない
皮膚の色は普通
自然に治りますか#
はい、多くは自然に治ります [2]。
腹壁筋が発達するにつれて徐々に小さくなり、最終的に閉じます [2]。
| 自然閉鎖しにくい特徴 | 内容 |
|---|---|
| 臍輪が大きい | 直径2cm以上 [2] |
| 年齢が上 | 2歳以上 |
| ヘルニアが大きい | 皮膚が伸展 |
圧迫療法について#
近年、日本では綿球やスポンジで押さえる圧迫療法(adhesive strapping)が広がっています [3]。Yanagisawa ら (2016) の研究で、89例中81例(91%)が2〜13週の絆創膏圧迫療法で閉鎖し、観察群よりも閉鎖速度が有意に速かったと報告されています [3]。
| 圧迫療法の概要 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 生後3〜4か月〜1歳頃 |
| 方法 | 綿球やスポンジを絆創膏で固定 |
| 期間 | 数週間〜数か月 |
| 実施場所 | 小児科・小児外科 |
| 注意 | 自己判断ではなく医師の指導下 |
圧迫療法の概要内容
対象
生後3〜4か月〜1歳頃
方法
綿球やスポンジを絆創膏で固定
期間
数週間〜数か月
実施場所
小児科・小児外科
注意
自己判断ではなく医師の指導下
日本では広く行われていますが、海外では標準治療ではありません [4]。エビデンスは蓄積中です。
手術が必要なケース#
以下の場合、手術を検討します [5]。
| 手術検討 | 内容 |
|---|---|
| 2歳以降も残存 | 自然閉鎖の望みが薄い |
| 臍輪2cm以上 | 大きい |
| 嵌頓 | 腸が挟まり戻らない(緊急) |
| 痛みあり | 嵌頓の可能性 |
| 変色 | 血流障害 |
手術検討内容
2歳以降も残存
自然閉鎖の望みが薄い
臍輪2cm以上
大きい
嵌頓
腸が挟まり戻らない(緊急)
痛みあり
嵌頓の可能性
変色
血流障害
手術は30〜60分、日帰りまたは1泊が一般的です [5]。
| 嵌頓の緊急サイン | 対応 |
|---|---|
| 硬い、戻らない | すぐ受診 |
| 強く痛がる | すぐ受診 |
| 嘔吐 | 緊急受診 |
| 紫・黒に変色 | 救急受診 |
嵌頓の緊急サイン対応
硬い、戻らない
すぐ受診
強く痛がる
すぐ受診
嘔吐
緊急受診
紫・黒に変色
救急受診
予防はできますか#
残念ながら、発症の予防はできません [1]。
| 迷信 | 実際 |
|---|---|
| 硬貨でへそを押さえる | 効果なし、感染リスク |
| テープで巻く | 効果なし |
| お風呂で強く押す | やめる |
迷信実際
硬貨でへそを押さえる
効果なし、感染リスク
テープで巻く
効果なし
お風呂で強く押す
やめる
日常は入浴時にへそを優しく洗うだけで十分です [1]。
今号のまとめ#
- 乳児の15〜20%にみられる
- 2歳までに80〜90%が自然閉鎖
- 圧迫療法は閉鎖を早める可能性
- 2歳以降の残存・大きいもの・嵌頓は手術
- 嵌頓は救急受診
- 普通のケアで十分