愛育病院 小児科おかもん先生 だより Vol.420
体温の正常値と測り方
こんにちは。愛育病院小児科のおかもん先生です。
「うちの子、37度あるんですけど熱ですか?」、外来でとてもよく聞かれる質問です。子どもの体温は大人と基準が違います。今回は子どもの体温の正常値と正確な測り方をお伝えします。
子どもの平熱は何度ですか
日本小児科学会は、子どもの平熱を「36.5〜37.5度」としています [1]。これは大人(36.0〜37.0度)より約0.5度高めです。
| 年齢別の平熱範囲(腋窩) | 目安 |
|---|---|
| 新生児 | 36.5〜37.5度 |
| 乳児 | 36.5〜37.5度 |
| 幼児 | 36.5〜37.5度 |
| 学童 | 36.2〜37.2度 |
| 大人 | 36.0〜37.0度 |
平熱には1日の変動(日内リズム)があります [2]。
| 時間 | 特徴 |
|---|---|
| 早朝(5〜6時) | 最も低い |
| 午後(16〜18時) | 最も高い |
| 活動後 | 一時的に上がる |
| 食後 | 軽度上昇 |
| 入浴後 | 一時的に上がる |
同じ子でも、朝36.3度、夕方37.1度は普通のことです。「平熱」は「朝の安静時の数値」で評価するのが基本です [2]。
一度だけの測定ではなく、数日間の朝・昼・晩を測って平均を取ると「本当の平熱」が分かります。
ポイント
- 子どもの平熱は36.5〜37.5度 [1]
- 日内変動が1度程度ある [2]
- 平熱は朝の安静時で評価
発熱の定義は
日本小児科学会では「腋窩温37.5度以上」を発熱と定義しています [1]。米国小児科学会(AAP)は「直腸温38度以上」を基準としています [3]。
日本の基準
- 腋窩
- 37.5度以上 [1]
- 口腔
- 37.5度以上
- 直腸
- 38.0度以上
- 耳(鼓膜)
- 37.5〜38度以上
- 前額(赤外線)
- 機種により差
AAP基準
- 腋窩
- 37.4度以上
- 口腔
- 37.8度以上
- 直腸
- 38.0度以上 [3]
- 耳(鼓膜)
- 38.0度以上
- 前額(赤外線)
- 参考値
部位によって0.5〜1度の差が生じます [3]。これは測定位置の血流と周囲温度の影響です。
| 部位別の特徴 | 内容 |
|---|---|
| 腋窩 | 日本で標準的、簡便だが脇を締める必要 |
| 直腸 | 最も正確、乳児でAAP推奨、日本では少ない |
| 耳(鼓膜) | 素早い、乳児は測定困難なことも |
| 口腔 | 3歳以上、冷たい飲み物後は避ける |
| 前額 | 非接触、精度は機種差あり |
ポイント
- 発熱は腋窩37.5度以上 [1]
- 部位で基準が異なる [3]
- 生活に合った測定方法を選ぶ
正確な測り方は
腋窩温の測定は「位置」と「時間」が鍵です [4]。
| 腋窩温の測り方 | 内容 |
|---|---|
| 脇の汗を拭く | 汗があると低く出る |
| 先端の位置 | 脇の中央、深く入れる |
| 角度 | 体に対して45度 |
| 脇を締める | 腕をしっかり体につける |
| 時間 | 電子式は予測と実測の違いに注意 |
| 測定中は安静 | 動くと誤差 |
| 乳児での注意点 | 内容 |
|---|---|
| 布団の中は避ける | こもって高く出る |
| 食事・授乳直後は避ける | 10〜15分空ける |
| 泣いた直後は避ける | 落ち着いてから |
| 入浴・運動直後は避ける | 15〜30分空ける |
数値が気になる時は、同じ条件(同じ時間帯・同じ状態)で測り直すと正確です。
ポイント
- 汗を拭いて、深く、締めて測る [4]
- 食後・入浴後・運動後は避ける
- 予測式と実測式の違いに注意
体温計の種類と選び方
| 体温計の種類 | 特徴 |
|---|---|
| 電子体温計(予測式) | 15〜30秒で表示。手軽 |
| 電子体温計(実測式) | 10分の測定。正確 |
| 耳式体温計 | 1秒で表示。小さい乳児は困難 |
| 前額非接触式 | 触れずに測れる。寝ている時に便利 |
| 水銀体温計 | 現在は販売中止 |
実は予測式と実測式で誤差が出ることがあります [4]。正確性を重視する時は実測式で10分測るのがベストですが、普段の健康管理は予測式で十分です。
| 用途別のおすすめ | 体温計 |
|---|---|
| 日常の管理 | 電子予測式 |
| 正確性重視 | 電子実測式 |
| 寝ている乳児 | 前額非接触式 |
| 幼児以上 | 耳式も選択肢 |
ポイント
- 予測式は手軽、実測式は正確 [4]
- 用途に合わせて使い分け
- 非接触式は寝ている子に便利
37.5度を超えたら?
「発熱=すぐ受診」ではありません [5]。熱そのものより全身状態が重要です。
| 発熱時の観察ポイント | 内容 |
|---|---|
| 機嫌 | 笑う・遊べるなら軽症 |
| 水分摂取 | 飲めているか |
| 呼吸 | 速い・苦しそうではないか |
| 顔色 | 青白い・ぐったりはないか |
| けいれん | 発熱に伴うけいれんはないか |
| 発疹 | 新しい発疹はないか |
以下のいずれかがあれば受診を [5]。
| 受診を検討する発熱 | 理由 |
|---|---|
| 3か月未満で発熱 | 重症感染症の可能性 |
| ぐったり・反応が鈍い | 重症サイン |
| 水分が取れない | 脱水のリスク |
| けいれん | 熱性けいれんの可能性 |
| 呼吸が速い・苦しそう | 肺炎・細気管支炎 |
| 発疹 | 感染症の可能性 |
| 高熱が3日以上続く | 細菌感染のスクリーニング |

おかもん先生より
「37.6度でした、受診した方がいいですか?」という電話相談はとても多いです。僕はいつも「お子さん、遊んでますか?」と聞きます。遊べているなら多くは様子見で大丈夫。数字より「その子がその子らしいか」が医師の一番見たいところです。
ポイント
- 熱の数字より全身状態 [5]
- 3か月未満の発熱は要受診
- 「遊べているか」が目安
今号のまとめ
- 子どもの平熱は36.5〜37.5度
- 発熱は腋窩37.5度以上
- 平熱には日内変動があり、朝の安静時で評価
- 部位によって基準値が異なる
- 予測式と実測式の違いを知っておく
- 数字より全身状態で判断
あわせて読みたい
- Vol.419「汗の量が多い 、 多汗症?」
- Vol.421「成長曲線の読み方」
- Vol.044「熱性けいれん」
ご質問・ご感想
「熱の測り方に自信がない」「受診すべきか迷う」などは外来でお気軽に。
愛育病院 小児科 おかもん先生
本メルマガの内容は一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。