コンテンツへスキップ
MINATON
予防接種スケジュールの組み方|小児科医の実践ガイド
Vol.45予防接種

予防接種スケジュールの組み方|小児科医の実践ガイド

生後2ヶ月から始まる予防接種のスケジュール、同時接種の安全性、港区の助成制度まで小児科医がわかりやすく解説します。

予防接種0〜6ヶ月・6〜12ヶ月・1〜3歳13
おかもん先生小児科専門医愛育病院 小児科

参考文献 14·Q&A 5問収録

プロフィール →

この記事のポイント

  • 0〜1歳で受けるワクチンは6種類。生後2ヶ月から開始が鉄則
  • 同時接種は安全で推奨される。単独接種より早く免疫が得られる
  • 遅れても大丈夫。「今から最適なスケジュール」を組み直せる

愛育病院 小児科おかもん だより Vol.45

「予防接種のスケジュール、どう組めばいいですか?」、迷わないためのワクチン接種の考え方

今号のポイント

  1. 2
    0〜1歳で受けるワクチンは6種類。生後2ヶ月から開始が鉄則
  2. 4
    同時接種は安全で推奨される。単独接種より早く免疫が得られる
  3. 6
    遅れても大丈夫。「今から最適なスケジュール」を組み直せる

こんにちは。愛育病院小児科のおかもん先生です。

「予防接種のスケジュールが複雑すぎて、何から始めればいいかわかりません……」、これ、本当によく聞かれる質問です。特に第一子のお子さんの場合、0〜1歳で受けるべきワクチンは6種類、接種回数は計15回以上。混乱するのも無理はありません [1]。

今回は、予防接種のスケジュールの立て方、同時接種の安全性、遅れた時の対処法について、よくある質問にお答えします。

Q1.「0歳で受けるワクチンって、どれくらいありますか?」

——予防接種の予診票をもらったんですが、こんなにたくさん受けないといけないんですか?

はい。0〜1歳で受けるべきワクチンは6種類、接種回数は計15回以上あります [1]。多いですよね。でも、これには理由があるんです

0〜1歳で受けるワクチン(定期接種):

ワクチン病気接種回数(0歳)開始時期
五種混合(DPT-IPV-Hib) [5]ジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオ、Hib感染症3回生後2ヶ月〜
小児用肺炎球菌 [2]細菌性髄膜炎、肺炎3回生後2ヶ月〜
B型肝炎 [3]B型肝炎3回生後2ヶ月〜
ロタウイルス [4]ロタウイルス胃腸炎2〜3回生後2ヶ月〜
BCG [6]結核1回生後5〜8ヶ月(標準)※1歳未満まで定期接種
麻疹風疹(MR) [7]麻疹、風疹1回1歳〜

0歳の赤ちゃんは免疫が未熟で、感染症にかかると重症化しやすいんです [2]。細菌性髄膜炎(ヒブ・肺炎球菌が原因)は、適切な治療をしても致命率が3〜5%、生存しても約20%に難聴などの後遺症が残ると報告されています [2]。だから生後2ヶ月で早めに免疫をつけておきたいんですね

なぜ生後2ヶ月から?

  • 母親からもらった免疫(移行抗体)が生後3〜6ヶ月で減る [8]
  • 免疫の空白期間を作らないため、生後2ヶ月から開始 [1]
  • 遅れるほど重症感染症のリスクが高まる [8]

ポイント

  • 0〜1歳で6種類、計15回以上のワクチン接種 [1]
  • 生後2ヶ月から開始が鉄則 [1]
  • 0歳児は免疫が未熟。早く免疫をつけることが重症化予防のカギ [2][8]

Q2.「同時接種って安全ですか? 1本ずつのほうがいいのでは?」

——同時に何本も注射して、体に負担はないんですか? 1本ずつのほうが安全な気がするんですが……

お気持ちはわかります。でも、同時接種は安全で、世界中で推奨されています [9]。むしろ、単独接種のほうがリスクが高いんです

同時接種のメリット:

① 早く免疫がつく [9]

  • 1本ずつ接種すると、すべて終わるのに数ヶ月〜1年かかる
  • その間、病気にかかるリスクが高い
  • 同時接種なら最短で免疫が得られる

② 通院回数が減る [9]

  • 仕事を休む回数が減る
  • 赤ちゃんの負担も減る
  • 医療機関の混雑緩和

③ 接種忘れが減る [9]

  • スケジュールが複雑にならない
  • 接種漏れのリスクが下がる

同時接種の安全性:

懸念科学的根拠
副反応が増える?増えない [9][10]
免疫がつきにくい?つきにくくならない [9]
体に負担?負担は増えない [9]

日本小児科学会は「同時接種は安全で有効。積極的に推奨する」と明言しています [9]。世界中で何億人もの子どもが同時接種を受けていて、問題は報告されていません [10]

——でも、1本ずつのほうが何かあった時に原因がわかりやすいのでは?

これもよく言われますが、実は逆なんです。1本ずつ接種すると、接種間隔が空いて、その間に風邪を引いたり、別の原因で熱が出たりします。そうすると、「ワクチンのせいか、風邪のせいか」がわからなくなります。同時接種のほうが、接種日が少ないので、因果関係が明確なんですよ

日本と世界の同時接種:

  • アメリカ: 生後2ヶ月で6本同時接種が標準 [11]
  • 日本: 4〜6本同時接種が一般的
  • WHOも同時接種を推奨 [12]

ポイント

  • 同時接種は安全。副反応は増えない [9][10]
  • 早く免疫がつく、通院回数が減る、接種忘れが減る [9]
  • 日本小児科学会も積極的に推奨 [9]

Q3.「具体的なスケジュールを教えてください」

——どのワクチンを、いつ、どの順番で受けるのがベストですか?

「生後2ヶ月に1回目、生後3ヶ月に2回目、生後4ヶ月に3回目」という流れが基本です [1]

標準的な予防接種スケジュール(0〜1歳):

生後2ヶ月(1回目)【最重要!】

  • 五種混合 ① [5]
  • 小児用肺炎球菌 ①
  • B型肝炎 ①
  • ロタウイルス ①

合計4本の同時接種(※五種混合にヒブが含まれるため、従来より1本減)

生後3ヶ月(2回目)

  • 五種混合 ②
  • 小児用肺炎球菌 ②
  • B型肝炎 ②(※3〜8週間隔)
  • ロタウイルス ②

合計4本の同時接種

生後4ヶ月(3回目)

  • 五種混合 ③
  • 小児用肺炎球菌 ③
  • ロタウイルス ③(※ロタテックの場合のみ)

合計2〜3本の同時接種

生後5〜8ヶ月

  • BCG(1回)
    • 標準的な接種期間は生後5〜8ヶ月(定期接種は1歳未満まで)[6]

生後7〜8ヶ月

  • B型肝炎 ③(※1回目から20〜24週間後)[3]

1歳(追加接種)

  • 麻疹風疹(MR)①(最優先)[7]
  • 五種混合 ④(追加)
  • 小児用肺炎球菌 ④(追加)
  • 水痘(みずぼうそう)①

この中で最も重要なのが「生後2ヶ月」です。ここでスタートを切れるかどうかが、その後のスケジュールを大きく左右します [1]

生ワクチンと不活化ワクチンの接種間隔:

  • 注射生ワクチン(BCG、MR、水痘)→ 次の注射生ワクチンまで27日以上空ける [13]
  • 経口生ワクチン(ロタウイルス)→ 接種間隔の制限なし [13]
  • 不活化ワクチン(五種混合、肺炎球菌、B肝など)→ 次のワクチンまで制限なし(翌日でもOK)[13]

ポイント

  • 生後2ヶ月に1回目が最重要 [1]
  • 基本は生後2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月に接種 [1]
  • 不活化ワクチンは翌日でも次のワクチンが打てる [13]

Q4.「スケジュールが遅れてしまいました。どうすればいいですか?」

——風邪を引いたりして、予定より遅れてしまいました。最初からやり直しですか?

大丈夫です。遅れても最初からやり直す必要はありません [14]。今から最適なスケジュールを組み直せます

スケジュールが遅れた時の考え方:

原則

  • 打った分は有効。最初からやり直さない [14]
  • 残りの回数を、推奨間隔で接種すればOK
  • 早くキャッチアップすることを優先

ケース別の対応

ケース1: 生後4ヶ月で、まだ1回も打っていない

  • 今すぐ開始
  • 生後2ヶ月開始の標準スケジュールに準じて接種
  • 同時接種でキャッチアップ

ケース2: ヒブ・肺炎球菌を生後6ヶ月で1回しか打っていない

  • 開始月齢によって接種回数が変わる [2]
    • 生後2〜6ヶ月開始: 初回3回 + 追加1回
    • 生後7〜11ヶ月開始: 初回2回 + 追加1回
    • 1〜4歳開始: 1回のみ
  • かかりつけ医と相談

ケース3: BCGを生後8ヶ月過ぎてしまった

  • 標準的な接種期間(生後5〜8ヶ月)は過ぎているが、1歳未満なら定期接種として接種可能 [6]
  • 1歳を過ぎると定期接種の対象外
  • かかりつけ医に相談し、早めに接種を

ケース4: 1歳になってもMRを打っていない

  • 最優先で接種 [7]
  • 麻疹は感染力が非常に強く、重症化しやすい [7]
  • 保育園・幼稚園の入園前に必須

「遅れた」と気づいた時点で、すぐにかかりつけ医に相談してください [14]。「今から最適なスケジュール」を一緒に考えましょう。焦らず、でも着実に進めることが大切です

ポイント

  • 遅れても最初からやり直さない [14]
  • 残りの回数を推奨間隔で接種すればOK
  • 同時接種でキャッチアップ
  • 気づいた時点ですぐにかかりつけ医に相談 [14]

Q5.「任意接種のワクチンも受けたほうがいいですか?」

——おたふくかぜやインフルエンザは任意接種ですよね。お金もかかるし、受けなくてもいいのでは?

これ、大きな誤解です。「任意接種」=「受けなくてもいい」ではありません [15]

定期接種 vs 任意接種:

定期接種

重要度
高い
費用
公費(無料)
接種の推奨度
強く推奨

任意接種

重要度
同じく高い [15]
費用
自費(有料)※一部助成あり
接種の推奨度
強く推奨 [15]

「定期」と「任意」の違いは、国が費用を負担するかどうかだけです [15]。病気の重要度は変わりません。日本小児科学会は「任意接種も定期接種と同じく重要」と明言しています [15]

主な任意接種ワクチン:

① おたふくかぜ(ムンプス)[16]

  • 合併症が怖い: 難聴(1,000人に1人)、髄膜炎、精巣炎
  • 1歳と小学校入学前の2回接種を推奨 [16]
  • 先進国で定期接種でないのは日本だけ

② インフルエンザ [17]

  • 生後6ヶ月から接種可能
  • 毎年10月〜12月に2回接種(13歳未満)[17]
  • 重症化予防が主目的

③ ロタウイルス(2020年10月から定期接種)[4]

  • 生後2ヶ月から接種開始
  • 初回は生後14週6日までに接種 [4]
  • 重症の胃腸炎を予防

費用について:

  • 自治体によって助成がある場合も
  • お住まいの自治体のホームページを確認
  • かかりつけ医に相談

特におたふくかぜは、合併症の難聴が一生治らないこともあります [16]。費用はかかりますが、病気にかかるリスクと比較して、ぜひ接種を検討してください

ポイント

  • 「任意」=「受けなくてもいい」ではない [15]
  • 任意接種も定期接種と同じく重要 [15]
  • おたふくかぜ、インフルエンザは推奨 [16][17]
  • 自治体の助成制度を確認

まとめ

  • 0〜1歳で6種類、計15回以上のワクチン接種 [1]
  • 生後2ヶ月から開始が鉄則。遅れるほどリスク [1][8]
  • 同時接種は安全で推奨。副反応は増えない [9][10]
  • スケジュールが遅れても大丈夫。今から最適なスケジュールを [14]
  • 任意接種も重要。「任意」=「受けなくてもいい」ではない [15]

あわせて読みたい

ご質問・ご感想をお待ちしています

「こんなこと聞いていいのかな?」というギモンこそ大歓迎です。 外来受診時にお気軽にお声がけいただくか、質問フォームからお寄せください。

愛育病院 小児科 おかもん先生

本メルマガの内容は一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。お子さまの症状についてはかかりつけの小児科医にご相談ください。

この記事は役に立ちましたか?

※ この記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。お子さんの症状が心配な場合は、かかりつけの小児科医にご相談ください。

関連記事

この記事が含まれる特集