「子どもの腕にリストカットの跡を見つけました」、保護者にとって最も衝撃的な発見の一つです。自傷行為は中高生の約10〜20%が経験するとされ、決して珍しくありません [1]。自傷行為は「死にたい」という意思表示とは異なることが多いですが、将来の自殺リスクを高める重要な警告サインでもあります [2]。
自傷行為とはどのような行動ですか?#
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 有病率 | 中高生の約10〜20% [1] |
| 好発年齢 | 12〜14歳に開始が多い [1] |
| 男女比 | やや女子に多いが男子にもある [1] |
| 目的 | 感情の調節が最も多い [2] |
| 自傷行為の種類 | 具体例 |
|---|---|
| 切る(リストカット等) | カッター、はさみ等で皮膚を切る [2] |
| 引っかく | 爪で皮膚を強くひっかく |
| 打撲 | 壁や物に自分をぶつける |
| やけど | 消しゴムや熱いもので皮膚を焼く |
| 髪を引き抜く | 抜毛症として現れることもある |
なぜ自分を傷つけるのですか?#
| 自傷行為の機能 | 具体的な意味 |
|---|---|
| 感情調節 | 耐えがたい感情を一時的に軽減する [3] |
| 自己罰 | 「自分が悪い」という気持ちから自分を罰する [3] |
| 解離からの回復 | 「何も感じない」状態から感覚を取り戻す [3] |
| 対人的コミュニケーション | つらさを周囲に伝える手段 [3] |
| 所属感 | 仲間内での行動として |
リスク要因
- うつ病、不安障害などの精神疾患 [2]
- いじめ、虐待、ネグレクト
- 友人の自傷行為(伝染性がある) [1]
- 衝動性が高い
- 低い自尊感情
- 感情を言葉にすることが苦手
自傷行為を見つけたらどう対応すべきですか?#
| 推奨される対応 | 具体的な方法 |
|---|---|
| 冷静に対応する | パニックにならず、落ち着いて話を聴く |
| 傷の手当をする | まず身体的な安全を確保 |
| 共感的に聴く | 「つらかったんだね」と受け止める |
| 責めない | 「なぜこんなことを」と問い詰めない |
| 専門家につなぐ | かかりつけ医、精神科、相談窓口に相談 |
やってはいけない対応
- 怒る、叱る、罰を与える
- 「死にたいの?」と詰問する
- 「やめると約束しなさい」と強制する
- 傷跡を見せるよう強要する
- 他の家族に黙っているよう求める
ポイント
- 冷静に、共感的に対応する [4]
- 叱責や約束の強制は逆効果
- 必ず専門家に相談する
治療はどのように行いますか?#
| 治療法 | 内容 |
|---|---|
| 弁証法的行動療法(DBT) | 感情調節、対人関係スキル、苦痛耐性を学ぶ [5] |
| 認知行動療法(CBT) | 自傷につながる考え方のパターンを修正 [4] |
| メンタライゼーションに基づく治療(MBT) | 自分と他者の心の状態を理解する力を育てる [5] |
| 安全計画 | 自傷したくなった時の対処行動リストを作成 [4] |
| 基礎疾患の治療 | うつ病等がある場合はその治療も [4] |
自傷したくなった時の代替行動(安全計画の例)
- 氷を握る(痛みの代替)
- 赤いペンで腕に線を引く
- 激しい運動をする
- 信頼できる人に連絡する
- 相談窓口に電話する
自殺のリスクはどう評価しますか?#
| 緊急性が高いサイン | 対応 |
|---|---|
| 「死にたい」「消えたい」という明確な発言 | 直ちに専門家に相談 |
| 自殺の方法を調べている | 直ちに専門家に相談 |
| 遺書を書いている | 救急受診 |
| 大切な物を人にあげ始める | 専門家に相談 |
| 急に穏やかになる(決意した可能性) | 専門家に相談 |
相談窓口
- いのちの電話:0570-783-556
- チャイルドライン:0120-99-7777(18歳以下)
- よりそいホットライン:0120-279-338
- #いのちSOS:0120-061-338
ポイント
- 自傷行為は将来の自殺リスク因子 [2]
- 「死にたい」という発言は必ず真剣に受け止める
- 相談窓口を本人と保護者の両方に伝える
今号のまとめ#
- 自傷行為は中高生の約10〜20%が経験する
- 多くは感情調節の手段であり、自殺の意図とは異なる
- ただし将来の自殺リスクを高める重要な警告サイン
- 冷静に、共感的に対応し、専門家につなぐ
- 感情調節スキルの獲得が治療の柱