「朝どんなに起こしても起きない」「午前中はぐったりしているのに、夕方になると元気」。こうしたお子さんを見て、怠けているのではないかと不安になる保護者の方は少なくありません。今号では、起立性調節障害(OD)の仕組みと対応について、要点を絞ってお伝えします。
起立性調節障害とは何ですか#
起立性調節障害(Orthostatic Dysregulation: OD)は、立ち上がったときに自律神経による循環調節がうまく働かず、脳への血流が一時的に低下する病態です [1]。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 好発年齢 | 10〜16歳(思春期) |
| 有病率 | 小学生の約5%、中学生の約10% [1] |
| 性差 | 女子にやや多い(男女比 1:1.5〜2) |
| 本質 | 自律神経の調節不全による身体の病気 |
人は立ち上がると重力で血液が下半身に集まります。通常は自律神経がすぐに反応して心拍数を上げたり血管を収縮させたりして脳血流を維持しますが、ODではこの反応が遅れたり不十分だったりします [1][2]。
4つのサブタイプがあります#
新起立試験で客観的に評価でき、以下の4つのサブタイプに分類されます [1][3]。
| サブタイプ | 特徴 |
|---|---|
| 起立直後性低血圧(INOH) | 起立直後に血圧が大きく低下。最も多い |
| 体位性頻脈症候群(POTS) | 起立時に心拍が過剰に上昇(35拍/分以上) |
| 神経調節性失神(NMS) | 起立中に急に血圧が低下し失神する |
| 遷延性起立性低血圧 | 起立3〜10分後にじわじわ血圧が低下 |
家庭でできる対応#
| 対策 | 具体的な方法 |
|---|---|
| 水分摂取 | 1日1.5〜2リットルを目標に、こまめに飲む |
| 塩分摂取 | やや多めの塩分(1日10g程度)を意識する |
| 起き方の工夫 | 急に立ち上がらず、30秒ほど座位を挟んでからゆっくり立つ |
| 弾性ストッキング | 下半身への血液のたまりを防ぐ |
| 適度な運動 | 散歩や軽い筋トレで下肢の筋ポンプ機能を維持する |
| 規則正しい生活 | 夜更かしを避け、起床時間を一定にする(ただし無理強いしない) |
薬物療法としては、ミドドリン(昇圧薬)などが使われることがありますが、非薬物療法を十分に行ったうえで追加するのが基本です [4]。
学校との連携が大切です#
ODの子どもは午前中に症状が強く、午後から改善する傾向があります。そのため、以下のような配慮を学校と共有することが回復を助けます。
| 学校への相談内容 | 具体例 |
|---|---|
| 遅刻の柔軟な対応 | 午後からの登校を認めてもらう |
| 体育の配慮 | 長時間の起立や暑い環境での活動を避ける |
| 進路への影響の最小化 | 出席日数の扱いについて相談する |
| 教職員の理解 | 「怠けではなく身体の病気」であることを伝える |