生まれてから初めての健診。緊張されている方も多いのではないでしょうか。1ヶ月健診では、赤ちゃんの全身を頭からつま先まで丁寧に診察します。「何のためにここを見ているのか」がわかると、安心して健診を受けられるはずです。今号では、1ヶ月健診の主な検査項目とその目的を解説します。
体重・身長・頭囲の測定#
最初に行うのが身体計測です。出生時からの体重増加を確認し、成長曲線にプロットします。
1ヶ月健診時の体重増加の目安は、出生体重から約1kgの増加、または1日あたり25-30gの増加です [1]。ただしこれは平均であり、個人差があります。成長曲線のカーブに沿って増えていれば問題ありません。
身長と頭囲も同時に測定します。体重・身長・頭囲の3つのバランスを見ることで、栄養状態や脳の発達を評価します。
黄疸のチェック#
1ヶ月健診の時点でまだ黄疸が残っている場合は、母乳性黄疸と病的黄疸の鑑別が必要です。
ほとんどは母乳性黄疸(無害で自然に消える)ですが、見逃してはいけないのが胆道閉鎖症です。胆道閉鎖症は胆汁の流れが滞る疾患で、生後2ヶ月以内の発見と手術(葛西手術)が予後を大きく左右します [2]。
健診では便色カードの確認が行われます。便が白っぽい(クリーム色、灰色、淡黄色)場合は胆道閉鎖症の可能性があるため、必ず医師に伝えてください。母子手帳に入っている便色カードを使って、日頃から便の色を確認する習慣をつけましょう。
股関節のスクリーニング#
発育性股関節形成不全(DDH、旧称:先天性股関節脱臼)のスクリーニングは1ヶ月健診の重要な項目です。早期発見・早期治療が極めて重要で、発見が遅れると歩行に影響が出ることがあります [3]。
健診で行う主な検査は2つ。Ortolani(オルトラーニ)テスト:股関節を外側に開いたとき、脱臼していた関節が「コクン」と整復される感覚の有無を確認します。Barlow(バーロー)テスト:股関節を内側に押したとき、関節が「スルッ」と外れる感覚の有無を確認します [3]。
これらのテストで異常が疑われる場合や、リスク因子がある場合(骨盤位分娩、家族歴、女児など)は、超音波検査が行われます。超音波検査は生後4-6週以降が正確とされているため、1ヶ月健診はちょうどよいタイミングです [3]。
おむつ替えのときに両脚を均等に開けない(開排制限がある)場合は、健診時に必ず伝えてください。
心音の聴取と先天性心疾患#
先天性心疾患は出生1,000人に約8-10人に見られ、先天異常の中で最も多いものです [4]。入院中のパルスオキシメトリースクリーニング(手と足の酸素飽和度を測定する検査)で発見されることが多くなりましたが、1ヶ月健診での心音聴取も重要な役割を果たします。
健診で心雑音が聴取された場合、必ずしも心疾患があるとは限りません。新生児期には「無害性心雑音」(構造的な異常がないのに聴こえる雑音)が非常に多く、その多くは成長とともに消えます [4]。
ただし、心雑音に加えて、哺乳時の疲れやすさ、多呼吸、チアノーゼ(唇や爪が紫色になる)などの症状がある場合は、速やかに精密検査が行われます。
その他の確認項目#
1ヶ月健診ではこのほかにも多くの項目を確認しています。
大泉門の状態:頭頂部のやわらかい部分の大きさと緊張を確認します。膨隆している場合は頭蓋内圧亢進、陥没している場合は脱水の可能性があります。
眼の確認:赤色反射(眼底が赤く光るか)を確認し、白色瞳孔(網膜芽細胞腫や白内障のサイン)がないかをチェックします。
外性器:男児では停留精巣(精巣が陰嚢内に降りていない状態)の有無を確認します。
原始反射:モロー反射、把握反射、吸啜反射など、神経系の発達を評価する反射を確認します [5]。
今号のまとめ#
- 体重増加は出生時から約1kg増が目安。成長曲線のカーブに沿っていれば順調 [1]
- 便色カードで胆道閉鎖症のスクリーニング。白っぽい便は要注意 [2]
- 股関節のOrtolani/Barlowテストで発育性股関節形成不全を早期発見 [3]
- 先天性心疾患は1,000人に8-10人。心雑音があっても無害なことが多いが、精査は必要 [4]