生まれたばかりの赤ちゃんの肌を見て「これ何?」と驚くことは珍しくありません。赤いあざ、白いブツブツ、黄色いかさぶた、赤い発疹。初めてのお子さんだと、どれも心配になりますよね。今号では、新生児によくある皮膚所見を整理して、「これは普通」「これは相談を」の判断ポイントをお伝えします。
サーモンパッチ(正中部母斑、単純性血管腫)#
額の中央、まぶた、鼻の付け根、うなじなどに見られるピンクから薄赤色の平らなあざです。「天使のキス」(顔面)や「コウノトリのくちばし」(うなじ)とも呼ばれます。
新生児の30-80%に見られる、最も一般的な血管性母斑です [1]。皮膚の浅い部分の毛細血管が拡張しているだけで、腫瘍ではありません。泣いたり入浴したりすると赤みが強くなるのが特徴です。
顔面のサーモンパッチは多くが1-2歳までに消退します。一方、うなじ(ウンナ母斑)は成人まで残ることがありますが、髪に隠れるため気にならないことがほとんどです [1]。治療は不要です。
粟粒疹(ぞくりゅうしん、ミリア)#
鼻や頬に見られる直径1-2mmの白い小さな粒です。新生児の最大40%に見られます [2]。毛穴に角質(ケラチン)が溜まったもので、皮脂腺の発達に伴い自然に消えます。通常は数週間で治るため、何も塗る必要はありません。つぶそうとしないでください。
新生児ざ瘡(にきび)#
おでこや頬に赤いブツブツや白いプチプチが現れるもので、新生児の約20%に見られます [3]。お母さんからもらったホルモンの影響で皮脂の分泌が活発になることが原因です。生後2-4週頃に出現し、4ヶ月以内に自然に治ります。
石けんでやさしく洗って清潔を保つだけで十分です。大人のにきび用の洗顔料やクリームは使わないでください。
脂漏性湿疹(乳児脂漏性皮膚炎)#
頭皮やおでこ、眉毛に黄色っぽい脂っぽいかさぶた(鱗屑)ができます。見た目は気になりますが、かゆみはほとんどなく、ほとんどが生後1年以内に自然に軽快します [3]。
ケアのポイントは、お風呂の前にベビーオイルやワセリンを塗ってかさぶたをふやかし、やさしく洗い流すこと。無理にはがさないでください。
中毒性紅斑(新生児中毒性紅斑)#
「中毒性」という名前がついていますが、まったく危険なものではありません。生後1-3日頃に現れる赤い斑点で、中心に小さな白い膨らみがあります。顔、体幹、四肢に散在し、現れては消えてを繰り返します。
正期産児の約30-70%に見られ、通常5-14日で自然に消退します [4]。原因はまだ完全にはわかっていませんが、免疫系の正常な活性化過程と考えられています。治療は不要です。
蒙古斑#
おしりや背中に見られる青灰色のあざです。日本人の赤ちゃんのほぼ100%に見られます。皮膚の深い層にメラノサイト(色素細胞)が残っているためで、学童期までに徐々に薄くなり、多くは消えます。
四肢や体幹の広い範囲に及ぶ「異所性蒙古斑」は消えにくいことがありますが、健康上の問題はありません。
今号のまとめ#
- サーモンパッチは新生児の30-80%に見られる。顔面は1-2歳で消退、うなじは残ることも [1]
- 粟粒疹(ミリア)は最大40%の新生児に出現。数週間で自然消退 [2]
- 新生児ざ瘡は約20%に見られ4ヶ月以内に治る。脂漏性湿疹はかゆみなく1年以内に軽快 [3]
- 中毒性紅斑は30-70%の新生児に出現。名前は怖いが無害で5-14日で消える [4]