先天性鼻涙管閉塞は、涙の排出路が生まれつき塞がっているために、涙が溢れる(流涙)状態です。新生児の約5-20%に見られますが、多くは自然に改善します。今回は、先天性鼻涙管閉塞についてお伝えします。
鼻涙管閉塞とは?#
| 基本情報 | 詳細 |
|---|---|
| 頻度 | 新生児の約5-20% |
| 原因 | 鼻涙管の下端の膜が開通していない |
| 症状 | 流涙、目やに |
| 自然治癒率 | 約90%が1歳までに自然開通 |
涙の流れ
- 涙腺で涙を作る → 目の表面を潤す → 涙点(目頭の小さな穴)から排出 → 涙嚢 → 鼻涙管 → 鼻腔
- 鼻涙管が詰まると涙が溢れる
ポイント
- 新生児の5-20%に見られる
- 涙の排出路が塞がっている
- 90%が1歳までに自然治癒
結膜炎との違いは?#
| 特徴 | 鼻涙管閉塞 | 結膜炎 |
|---|---|---|
| 充血 | 通常なし | あり |
| 目やに | 慢性的に少量 | 急性に多量 |
| 流涙 | 常にある | 通常なし |
| 経過 | 生後早期から持続 | 急性発症 |
| 涙嚢部の圧迫 | 目やにが出る | 変化なし |
目頭を指で押した時に目やにがにじみ出る場合は、鼻涙管閉塞の特徴的な所見です。
ポイント
- 充血がないのが結膜炎との違い
- 慢性的な流涙と少量の目やに
- 目頭を押すと目やにが出る
涙嚢マッサージの方法は?#
涙嚢マッサージの方法
- 1. 手をよく洗う
- 2. 赤ちゃんの目頭のやや下(涙嚢部)に人差し指を置く
- 3. 鼻の方向に向かって優しく押し下げる(5-10回)
- 4. 1日2-3回行う
注意点
- 爪を短く切る
- 強く押しすぎない
- 目やにが出たら清潔なガーゼで拭く
- 目やにがひどい時は点眼薬を併用
ポイント
- 1日2-3回、目頭を優しくマッサージ
- 自然開通を促す効果がある
- 強く押しすぎない
いつまで待っていいですか?#
| 時期 | 対応 |
|---|---|
| 0-6か月 | 涙嚢マッサージ+目やにに対する抗菌点眼 |
| 6-12か月 | 改善傾向があれば継続 |
| 1歳頃 | 改善なければプロービング(通水テスト・ブジー)を検討 |
| 1歳以降 | プロービングの成功率が下がる |
プロービングは細い棒を涙道に挿入して詰まりを解消する処置です。1歳頃までに行うと成功率は約90%です。
ポイント
- 1歳頃まで経過観察が基本
- 涙嚢マッサージを継続
- 改善なければプロービングを検討
プロービング後の注意は?#
| 処置後のケア | 内容 |
|---|---|
| 抗菌点眼薬 | 1-2週間使用 |
| 涙嚢マッサージ | 処置後も続ける |
| 経過観察 | 2-4週間後に再診 |
| 再閉塞 | 約10%で再閉塞することがある |
受診すべき場合
- 処置後に涙・目やにが再発
- 目の周りが赤く腫れた(涙嚢炎の可能性)
- 発熱を伴う目やに
ポイント
- 処置後も点眼薬とマッサージを継続
- 約10%で再閉塞の可能性
- 涙嚢炎のサインに注意
今号のまとめ#
- 先天性鼻涙管閉塞は新生児の5-20%に見られる
- 約90%が1歳までに自然治癒
- 涙嚢マッサージが自然開通を促す
- 1歳頃までに改善なければプロービングを検討
- 結膜炎との区別が大切