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1歳を過ぎてもまだ歩かない、「18ヶ月まで」が一つの目安です
Vol.121発達

1歳を過ぎてもまだ歩かない、「18ヶ月まで」が一つの目安です

独歩の正常範囲は9〜18ヶ月。平均12ヶ月だが、15ヶ月で歩き始める子も珍しくない

発達全年齢12
おかもん先生小児科専門医愛育病院 小児科

参考文献 11·Q&A 5問収録

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この記事のポイント

  • 独歩の正常範囲は9〜18ヶ月。平均12ヶ月だが、15ヶ月で歩き始める子も珍しくない
  • 歩行器は転倒・転落事故のリスクが高く、歩行開始を早める効果もないため推奨されない
  • 18ヶ月を過ぎても歩かない場合は小児科に相談を。ただし多くは正常範囲の個人差

愛育病院 小児科おかもん先生 だより Vol.121

1歳を過ぎてもまだ歩かない、「18ヶ月まで」が一つの目安です

今号のポイント

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    独歩の正常範囲は9〜18ヶ月。平均12ヶ月だが、15ヶ月で歩き始める子も珍しくない
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    歩行器は転倒・転落事故のリスクが高く、歩行開始を早める効果もないため推奨されない
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    18ヶ月を過ぎても歩かない場合は小児科に相談を。ただし多くは正常範囲の個人差

こんにちは。愛育病院小児科のおかもん先生です。

「1歳の誕生日を過ぎたのに、まだ歩きません」。外来でよく聞く相談です。1歳がちょうど平均時期なので、その日を過ぎると一気に焦りやすいのだと思います。ただ、独歩の正常範囲は思っているより広いです。今回は歩行発達の目安、遅れる原因、ファーストシューズ、そして歩行器をすすめない理由をお話しします。

Q1.「独歩の標準的な時期を教えてください」

——うちの子は1歳2ヶ月ですが、まだつかまり立ちと伝い歩きだけです。遅いですよね?

1歳2ヶ月で伝い歩きまでできているなら、とても順調です。独歩(一人歩き)の正常範囲は9〜18ヶ月と非常に幅広く、中央値は約12ヶ月ですが、15ヶ月で歩き始める子も珍しくありません [1][2]

歩行発達のマイルストーン:

時期の目安

つかまり立ち
8〜10ヶ月
伝い歩き
9〜12ヶ月
立位保持
10〜14ヶ月
独歩
9〜18ヶ月
安定歩行
14〜20ヶ月

特徴

つかまり立ち
家具などにつかまって立ち上がる [1]
伝い歩き
家具を伝って横歩き [2]
立位保持
何にもつかまらずに数秒立てる [1]
独歩
支えなしで数歩歩ける [1]
安定歩行
転ばずにスムーズに歩ける [2]

独歩の達成時期(WHO基準)[1]:

月齢達成率
9〜10ヶ月約5〜10%(非常に早い子)
12ヶ月約50%(中央値)
14ヶ月約75〜80%
15ヶ月約85〜90%
18ヶ月約99%(99%タイル=17.6ヶ月)[1]

「WHOの大規模研究では、独歩達成の99%タイル範囲は8.2〜17.6ヶ月と報告されています [1]。つまり、18ヶ月までに歩き始めれば、ほぼ全員が正常範囲ということです。1歳2ヶ月で伝い歩きまでできているお子さんは、あと数週間〜数ヶ月で歩き始める可能性が高いです。」

ポイント

  • 独歩の正常範囲は 9〜18ヶ月。中央値は約12ヶ月 [1]
  • 15ヶ月で歩き始める子も珍しくない
  • つかまり立ち・伝い歩きができていれば独歩は近い [2]

Q2.「歩行開始が遅れる原因にはどんなものがありますか?」

——何か原因があるのでしょうか?心配です

歩行開始が遅れる原因はさまざまですが、最も多いのは"正常範囲の個人差"です [2][3]

歩行開始が遅れる原因:

頻度

正常な個人差
最も多い
シャフリングベビー
約2〜3%(1/40程度)
早産
該当児
筋緊張低下(hypotonia)
まれ
脳性麻痺
まれ
筋疾患
まれ
知的発達の遅れ
まれ

説明

正常な個人差
体質、性格(慎重な子)、体格など [2]
シャフリングベビー
お尻歩きの子は歩行開始が平均21ヶ月前後と遅めだが、最終的には正常に歩ける [4]
早産
修正月齢で評価する必要がある [3]
筋緊張低下(hypotonia)
筋肉の張りが低い。Vol.119参照 [5]
脳性麻痺
筋緊張の異常、左右差、反射の異常 [6]
筋疾患
筋ジストロフィー、SMAなど [5]
知的発達の遅れ
運動以外の発達も遅れることが多い [3]

歩行開始に影響する要因:

要因影響
体格体が大きい子はやや遅い傾向 [2]
性格慎重な子は手を離すのを怖がる [3]
環境広いスペースで練習できる環境は促進的 [7]
移動手段ハイハイが上手すぎると歩く必要を感じにくい [3]
兄弟上の子がいると刺激になりやすい [2]

「特にシャフリングベビー(Vol.120参照)のお子さんは、歩行開始が遅れる傾向がありますが、最終的には問題なく歩けるようになります [4]。また、早産のお子さんは修正月齢で評価する必要があります。例えば、2ヶ月早く生まれた場合、生後14ヶ月は修正月齢では12ヶ月に相当します [3]。」

ポイント

  • 最も多い原因は正常な個人差。体格、性格、環境も影響 [2][3]
  • シャフリングベビーは平均21ヶ月前後で歩行開始。最終的には正常に歩ける [4]
  • 早産児は修正月齢で評価 [3]

Q3.「歩行器を使ったほうが早く歩けるようになりますか?」

——おばあちゃんから歩行器をもらったのですが、使ったほうがいいですか?

結論からお伝えすると、歩行器は推奨されません [7][8]。AAP(アメリカ小児科学会)は歩行器の販売禁止を提言しているほどです [8]

歩行器が推奨されない理由:

理由エビデンス
歩行開始を早めない歩行器の使用は独歩の達成を早める効果がない。むしろ遅らせる可能性 [7]
転倒・転落事故が多い米国では歩行器による救急受診が年間約2,000件以上。階段からの転落が最多 [8]
正常な運動発達を妨げる体幹やバランスの発達に必要な経験を奪う [7]
やけど・溺水リスク移動速度が速くなり、キッチンや浴室への到達が早くなる [8]

歩行器が発達に悪影響を与える理由:

「歩行器の中では、赤ちゃんはつま先で蹴って進むため、正常な歩行パターン(かかとから着地)を学ぶ機会がありません [7]。また、転倒してバランスを取り直す経験ができないため、バランス感覚の発達が遅れます。さらに、床にいる時間が減ることで、ハイハイやつかまり立ちなどの重要な運動経験も減ってしまいます [7]。」

歩行器の代わりに:

代替案メリット
手押し車(プッシュウォーカー)自分の足で床を踏んで歩く練習になる [7]
家具伝い歩き自然な環境でバランスを学べる
手をつないで歩く正しい歩行パターンを体験できる
広い安全なスペース自由に探索し、動く意欲を育てる

ポイント

  • 歩行器は推奨されない。AAPは販売禁止を提言 [8]
  • 歩行を早めず、むしろ遅らせる可能性。事故リスクも高い [7][8]
  • 代わりに手押し車や家具伝い歩きを

Q4.「ファーストシューズはいつ、どう選べばいいですか?」

——靴はいつから履かせればいいですか?足にいい靴ってどういうものですか?

ファーストシューズは、屋外で歩くようになった時に必要になります。室内では裸足が最も足の発達に良いとされています [9][10]

ファーストシューズのタイミング:

段階靴の必要性
室内でつかまり立ち・伝い歩き裸足でOK。靴は不要 [9]
室内で独歩裸足が望ましい。滑りやすい床なら滑り止めソックス [10]
屋外で歩くファーストシューズの出番 [9]

ファーストシューズの選び方:

ポイント理由
柔らかいソール足裏の感覚を保ち、自然な歩行パターンを妨げない [9]
軽量重い靴は歩行を妨げる [10]
つま先に余裕(+1cm程度)足指が自由に動けるスペース [9]
かかとがしっかりかかとのホールドがしっかりしているもの [10]
通気性蒸れにくい素材
脱ぎ履きしやすいマジックテープ式が便利

避けるべき靴:

  • ハイカットで足首を固定するもの(足首の可動域を制限する)[9]
  • 硬いソール(足裏の感覚入力を妨げる)[10]
  • 大きすぎる靴(転倒リスク)
  • お下がりの靴(前の子の足型に変形している可能性)

「室内での裸足歩行は、足裏の感覚受容器を刺激し、バランス感覚と足のアーチの発達を促進することがわかっています [9]。できるだけ長く裸足で過ごす時間を確保してあげてください。」

ポイント

  • 室内では 裸足が最も良い [9]
  • ファーストシューズは 屋外歩行が始まったら [9]
  • 柔らかいソール、つま先に余裕、かかとしっかり が基本 [9][10]

Q5.「18ヶ月を過ぎても歩きません。受診すべきですか?」

——1歳6ヶ月健診が近づいているのに、まだ独り歩きしません。とても心配です

18ヶ月を過ぎても独歩がない場合は、小児科に相談していただくタイミングです [1][3]。ただし、"18ヶ月で歩かない=異常"ではありません。

18ヶ月で歩かない場合の考え方:

状況対応
つかまり立ち・伝い歩きはしている多くは間もなく歩く。経過観察でOKの場合も [3]
シャフリングベビー歩行開始は遅いが正常に発達。2歳頃までフォロー [4]
つかまり立ちもできない早めに受診が必要 [3]
他の発達領域も遅い早めに受診が必要 [6]
以前できたことができなくなった至急受診 [3]

受診チェックリスト、歩行について:

  • 18ヶ月を過ぎても独歩がない [1]
  • 15ヶ月を過ぎてもつかまり立ちができない [3]
  • 左右差がある(片方の足だけ引きずる、片方の手だけ使う)[6]
  • つま先立ちでしか歩かない(常時) [6]
  • 以前立っていたのに立たなくなった(退行) [3]
  • 歩行以外の発達も遅い(言葉が出ない、指差しをしないなど)[3]

1歳6ヶ月健診は、歩行を含めた発達全般を評価する大切な機会です [11]。歩かないことだけでなく、言語、社会性、認知も含めて総合的に評価してもらえます。"歩かないから異常"と決めつけず、全体像を見てもらうつもりで健診に臨んでください。

「それと、もう一つお伝えしたいことがあります。"遅い=追いつけない"ではありません。歩行開始が遅い子でも、2〜3歳になれば、歩行開始が早かった子との運動能力の差はほとんどなくなることがわかっています [2]。今は心配かもしれませんが、多くのお子さんが追いつきます。」

ポイント

  • 18ヶ月で独歩なし → 小児科に相談 [1][3]
  • つかまり立ちまでできていれば間もなく歩く可能性が高い [3]
  • 左右差、常時つま先立ち、退行 は早めに受診 [6]
  • 歩行開始が遅くても 2〜3歳で差はほとんどなくなる [2]

今号のまとめ

  • 独歩の正常範囲は9〜18ヶ月。15ヶ月で歩き始める子も珍しくありません
  • 最も多い「遅れ」の原因は正常な個人差です。シャフリングベビーも歩行開始が遅い
  • 歩行器は推奨されません。事故リスクが高く、歩行を早める効果もありません
  • 室内では裸足が最も良い。ファーストシューズは屋外歩行開始時に
  • 18ヶ月で独歩なしは相談の目安。ただし多くは正常範囲
  • 歩行開始の遅さは2〜3歳でほぼ追いつきます。焦らず見守りましょう

あわせて読みたい

  • Vol.119「首すわり・寝返りが遅い?」
  • Vol.120「お座り・ハイハイの個人差」
  • Vol.97「健診で要経過観察と言われたら」

ご質問・ご感想

「1歳半でまだ歩かなくて焦っていました」「歩行器、使っていました……」など、ご感想やご質問がございましたら、お気軽にお寄せください。

愛育病院 小児科 おかもん先生

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