「子ども 熱 下がらない」で検索すると、数百万件の結果が出ます。その中には正確な情報もあれば、根拠のない民間療法もあれば、サプリメントの広告記事もある。どれが正しいのか、不安な夜中に冷静に判断するのは難しいですよね。
今号では、ネット上の医療情報を見分けるための具体的なチェックポイントをお伝えします。
検索上位 = 正しい情報、ではありません#
まず知っておいてほしいのは、Googleの検索順位と情報の正確さは別物だということです。
検索順位はSEO(検索エンジン最適化)と呼ばれるテクニックで上げることができます [1]。つまり、医学的に正確かどうかではなく、検索されやすいキーワードを使っているか、サイトの構造が最適化されているかで順位が決まります。
2017年には医療情報キュレーションサイト「WELQ」の問題が大きく報道されました。医学的根拠のない記事が大量に公開され、検索上位を占めていたのです [2]。この事件をきっかけにGoogleは医療情報の検索アルゴリズムを改善しましたが、それでも不正確な情報が上位に表示されるケースはなくなっていません。
5つのチェックポイント#
僕が保護者の方にお伝えしている、ネット医療情報の5つのチェックポイントがあります。
1つ目、誰が書いているか。著者名が明記されているか。医師や医療専門職か。所属する医療機関や大学名が書かれているか。匿名の記事は信頼度が下がります。
2つ目、根拠は何か。「〜と言われています」で終わっていないか。参考文献やガイドラインの引用があるか。数字やデータの出典が示されているか。根拠が書かれていない医療情報は、個人の感想と区別がつきません。
3つ目、いつ書かれたか(更新されたか)。医学情報は数年で変わることがあります。5年以上前の記事は、現在のガイドラインと異なっている可能性があります [3]。
4つ目、何かを売ろうとしていないか。サプリメントや健康食品の広告記事は、不安を煽ってから商品を勧めるパターンが多いです。「医師も推奨」と書いてあっても、その医師が広告主から報酬を受けていることがあります。
5つ目、極端な主張をしていないか。「〜するだけで治る」「病院に行くな」「ワクチンは毒」。こうした極端な主張は、ほぼ確実に信頼できません。医学はグレーゾーンが多い分野です。白か黒かで断言する記事には注意が必要です。
医療情報の信頼度ランキング#
すべての医療情報が同じ重みではありません。情報の信頼度にはおおよその序列があります [4]。
最も信頼度が高いのは、システマティックレビューやメタアナリシスです。複数の研究結果を統合的に分析したもので、診療ガイドラインの基盤になっています。
次に信頼度が高いのは、ランダム化比較試験(RCT)の結果です。対象者をランダムに群分けして効果を比較するため、バイアスが最も少ない研究デザインです。
その次が、診療ガイドラインや学会の公式見解です。上記のエビデンスを臨床経験と統合して作られるため、実用性が高いです。
専門家の意見や解説記事は、それだけでは「エビデンス」とは呼べませんが、エビデンスを解釈して伝えてくれる点で有用です。
個人のブログやSNS投稿、体験談は、参考にはなりますが、「その人に起こったこと」と「あなたの子どもに起こること」は別です。
検索するより聞いたほうが早いこともある#
ネットで30分調べて不安が増すより、かかりつけの小児科に電話したほうが早く安心できることは多いです。
「こんなことで電話していいのかな」と思うかもしれません。でも、僕たち小児科医にとって「これ受診したほうがいいですか?」という電話は日常です。迷惑だと思ったことは一度もありません。
東京都では小児救急電話相談(#8000)が毎日利用できます [5]。看護師や小児科医が電話で対応してくれます。夜間や休日の不安なときは、まずここに電話してみてください。
今号のまとめ#
- Google検索の上位 = 正しい、ではない。SEOと正確性は別物
- 5つのチェックポイント: 著者、根拠、更新日、広告の有無、極端さ
- 厚労省、日本小児科学会、国立成育医療研究センターは信頼できる情報源
- 体験談やSNS投稿は「参考」であって「エビデンス」ではない
- 検索するより#8000に電話するほうが早いこともある