「計算は得意だけど、集団行動が苦手」「漢字は書けるのに、お友達の気持ちが読めない」。こうした「得意と苦手の落差」を発達のでこぼこ(uneven profile)と呼びます。今号では、最新のメタ解析をもとに、発達のでこぼこの意味と向き合い方を整理します。
発達のでこぼことは#
子どもの発達は、言語・運動・社会性・認知など複数の領域で進みます。それぞれが同じペースで進むとは限りません。ASDやADHDの子どもでは、この「領域間の差」が大きくなりやすいことが、多くの研究で示されています [1]。
2024年のClinical Neuropsychology誌のメタ解析(Mayes ら)では、ASD・ADHDの子どもはWISC-VなどのIQ検査で、相対的に「視空間認知・抽象的推論」が得意で、「処理速度・言語的作業記憶」が苦手、という特徴的なプロフィールを示すことが報告されました [1]。また、2024年のNeuropsychologia誌のレビューでは、神経発達症に共通する認知的強み(記憶・細部処理・パターン認識)にも光が当てられています [2]。
でこぼこは「欠けている」ではない#
ここで強調したいのは、「でこぼこ」は「欠け」ではなく「形」だということです [2][3]。定型発達の子どもでも、得意・苦手はあります。ただ、その幅が大きいと、本人も周囲も戸惑います。算数が学年1位なのに、体育だけ0点のような子は、「努力不足」と誤解されがちです。
MDPI Intelligence誌の2022年の研究では、ASDの子どもは言語・心理運動スキル・参加度など複数の領域で通常児より低い一方、視空間の切り出しや細部処理では優位を示すと報告されています [3]。一方向の評価では、その強みが見えなくなるのです。
外来で伝えたいこと#
今号のまとめ#
- 発達のでこぼこは神経発達症でよく見られる
- 総合IQ一つで子どもを評価しない
- 得意(視空間・記憶・細部)を見つけ、苦手(処理速度・作業記憶)を補助する
- 「欠け」ではなく「形」として捉える
愛育病院 小児科
本記事の内容は一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。お子さまの症状についてはかかりつけの小児科医にご相談ください。