「昨日ワクチンを打って、今朝から熱が出ています。大丈夫でしょうか?」。予防接種の翌日にいただくお電話で最も多いのが、このご連絡です。
ワクチン後の発熱は、体の免疫系がワクチンの成分に反応して抗体を作り始めているサインです [1]。多くの場合は心配のない正常な反応ですが、対応のポイントを知っておくと安心です。
発熱はなぜ起こるのか#
ワクチンを接種すると、体の免疫系が「異物が入ってきた」と認識して活性化します。このとき放出されるサイトカインという物質が体温調節中枢に作用して、発熱が起こります [1]。
| ワクチンの種類 | 発熱の頻度 | 発熱の時期 |
|---|---|---|
| 不活化ワクチン(四種混合など) | 5〜10% | 接種後6〜24時間 |
| 肺炎球菌ワクチン | 10〜30% | 接種当日〜翌日 |
| 麻しん風しん(MR)ワクチン | 10〜20% | 接種後5〜14日(遅れて出る) [2] |
| BCG | まれ | - |
| ロタウイルス | 数% | 接種後数日 |
注意が必要なのは、MRワクチンなどの生ワクチンは接種後1〜2週間経ってから発熱することがある点です [2]。接種直後に熱が出なくても、1〜2週間は体調の変化に気を配ってください。
発熱時の対応#
ワクチン後の発熱への基本的な対応は以下の通りです [3]。
| 対応 | 内容 |
|---|---|
| 水分補給 | 母乳、ミルク、麦茶などをこまめに |
| 薄着にする | 厚着にしすぎない。熱がこもらないように |
| 室温の調整 | 快適な温度を保つ |
| 安静 | 無理に活動させない |
| 経過観察 | 機嫌、食欲、尿の量をチェック |
発熱そのものは体が免疫を作っている証拠であり、熱を下げること自体が治療の目的ではありません [3]。お子さんの全身状態(機嫌、食欲、活気)を見て判断することが大切です。
解熱剤の使い方#
解熱剤(アセトアミノフェン)は、発熱でつらそうなときに使います [4]。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 使う薬 | アセトアミノフェン(カロナール等) |
| 使う目安 | 38.5度以上でつらそうなとき |
| 使い方 | 体重あたりの適切な量を使用 |
| 間隔 | 最低4〜6時間あける |
| 禁忌 | 生後3か月未満は自己判断で使わない |
解熱剤をワクチン接種の前や直後に予防的に使うことは推奨されていません [4]。予防的な解熱剤使用がワクチンの免疫応答を低下させる可能性を示す研究があるためです。発熱して、お子さんがつらそうにしている場合にのみ使いましょう。
小児にアスピリン(アセチルサリチル酸)を使うことは禁忌です。ライ症候群のリスクがあるため、必ずアセトアミノフェンを使用してください [4]。イブプロフェンは日本の添付文書では5歳以上が対象です(5歳未満への安全性は未確立)。使う場合は必ずかかりつけ医の指示に従ってください。
受診が必要なサイン#
以下の場合は、ワクチンの副反応ではなく別の原因の可能性もあるため、医療機関を受診してください [5]。
| サイン | 対応 |
|---|---|
| 発熱が3日以上続く | 受診 |
| 40度以上の高熱が続く | 受診 |
| ぐったりして反応が乏しい | 早めに受診 |
| 痙攣(けいれん)を起こした | 救急受診 |
| 呼吸が苦しそう | 救急受診 |
| 発疹が広がっている | 受診 |
| 接種部位の腫れがひどい | 受診 |
| 水分が全くとれない | 受診 |
ワクチン後の発熱は通常1〜2日でおさまります [5]。3日以上続く場合は、偶然同時期に別の感染症にかかった可能性も考えられますので、かかりつけ医に相談してください。
今号のまとめ#
- ワクチン後の発熱は免疫が働いている正常な反応
- 多くは1〜2日でおさまる。MRワクチンは1〜2週間後に出ることも
- 解熱剤は予防的に使わず、つらそうなときだけ使う
- 生後3か月未満は自己判断で解熱剤を使わない
- 3日以上続く発熱やぐったりは受診のサイン