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「予防接種の後に熱が出ました。大丈夫ですか?」「副反応が怖くてワクチンを打つか迷っています」。予防接種に関する相談で最も多いのが、副反応への不安です。
お子さんのことを心配する気持ちは当然です。ただ、「怖いから打たない」という判断をする前に、副反応のリスクと、ワクチンを打たないことで得るリスクを正しく比較する必要があります。今号では、予防接種の副反応について科学的に整理し、安心して接種に臨めるようお伝えします。
副反応と副作用、有害事象は何が違うんですか?#
ニュースで『ワクチンの副反応』とか『有害事象』とか聞きますが、違いがわかりません
とても大事な質問です。この3つの用語は混同されやすいのですが、意味が異なります [1]
ニュースで報道される『ワクチン接種後の○○』は、多くの場合有害事象(接種との因果関係が証明されていない出来事)です [1]。因果関係が証明された副反応とは明確に区別する必要があります。この違いを知っているだけで、ニュースの受け取り方が変わります
よくある副反応にはどんなものがありますか?#
昨日ワクチンを打って、今朝から37.8度の熱があって不機嫌です。これは副反応ですか?
はい、典型的な副反応です。ほとんどのワクチンに共通する副反応を整理しますね [2]
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これらはすべて免疫システムがワクチンに反応して働いている証拠です [2]。いわば、体が『訓練を受けている』状態。1〜2日で自然に治まりますので、過度に心配する必要はありません
解熱剤を使ってもワクチンの効果は落ちませんか?
以前はそのような懸念もありましたが、現在の研究では解熱剤(アセトアミノフェン)の使用がワクチンの免疫応答を臨床的に有意に低下させるという明確なエビデンスはないとされています [4]。お子さんが辛そうであれば、使っていただいて構いません
同時接種だと副反応が増えませんか?#
一度に4本も打つと聞いて心配です。副反応が強くなりませんか?
ご心配はもっともですが、同時接種で副反応の頻度や重症度が増加するというエビデンスはありません [5]。Vol.19でも詳しくお伝えしましたが、改めて整理します
赤ちゃんの免疫システムは、日常的に数千〜数万の抗原に同時に対応しています [5]。ワクチン数本分の抗原は、その能力からすればごくわずかです。同時接種で副反応が増えることはなく、むしろ接種が遅れることでVPD(ワクチンで防げる病気)にかかるリスクのほうが問題です
アナフィラキシーが怖いです。どのくらいの確率で起こりますか?#
ワクチンでアナフィラキシーが起きたという話を聞いて、怖くなりました
アナフィラキシーへの不安は自然な感情です。まず、事実を確認しましょう。ワクチン接種後のアナフィラキシーの発生率は約100万回に1〜2回です [6]
そして、アナフィラキシーは接種後30分以内に起こることがほとんどです [6]。だからこそ、接種後15〜30分間は医療機関で待機していただいています。万が一起きても、医療機関にはアドレナリン(エピネフリン)が常備されており、適切に対応すれば致命的になることは極めてまれです [6]
接種後、家に帰ってからアナフィラキシーが起こることはありますか?
非常にまれですが、可能性はゼロではありません。帰宅後に全身の発疹、顔や唇の腫れ、呼吸困難、ぐったりするなどの症状が出た場合は、直ちに救急車を呼んでください [6]。ただし、繰り返しますがこれは100万回に1〜2回の頻度であり、接種しないことによるリスクと比較すると接種するメリットのほうが圧倒的に大きいです
副反応が怖いから打たない、という選択はどうですか?#
周りに『ワクチンは危険だから打たない』という方がいます。実際どうなんでしょう?
これは非常に重要なテーマです。『副反応のリスク』と『VPDにかかるリスク』を比較していただきたいのです [7]
表を見ていただければわかるように、ワクチンの副反応はほとんどが軽微で一過性です。一方、VPDにかかった場合の合併症は重篤で、命に関わることがあります [7]。『副反応が怖い』という感情は理解できますが、ワクチンを打たないことで引き受けるリスクのほうがはるかに大きいのです
みんなが打っていれば、うちの子は打たなくても大丈夫じゃないですか?
これは集団免疫(herd immunity)への"ただ乗り"と呼ばれる考え方です [10]。たしかに周囲の接種率が高ければ流行は起きにくくなりますが、接種率が下がると集団免疫が崩壊し、大流行が起こります。2018〜2019年のヨーロッパでの麻疹大流行はまさにそのケースでした [10]。お子さんを守るためには、お子さん自身がワクチンで免疫を持つことが最も確実です
万が一、重い副反応が出た場合の補償はありますか?#
本当にまれだとわかっていても、万が一のことが心配です
そのご心配に応えるために、日本には予防接種健康被害救済制度があります [11]
日本の救済制度は、因果関係を完全に証明しなくても『否定できない場合』は救済するという、比較的広い基準を採用しています [11]。つまり、万が一の場合のセーフティネットはしっかり用意されています。このような制度があることを知った上で、安心して接種に臨んでいただければと思います
まとめ#
- 副反応と有害事象は違う。副反応は因果関係が認められたもの、有害事象は因果関係不問 [1]
- よくある副反応(発熱、腫脹、不機嫌)は1〜2日で治まる軽微なもの [2]
- 同時接種で副反応は増加しない [5]
- アナフィラキシーは100万回に1〜2回。院内待機で対応可能 [6]
- 「副反応が怖いから打たない」はVPDのリスクを引き受けること。リスク比較が重要 [7]
- 予防接種健康被害救済制度で万が一の補償がある [11]