「歯が1本生えてきました。歯磨きはいつからですか?」「歯磨きを嫌がって大泣きするんですが……」。6〜7ヶ月健診から1歳半健診にかけて、歯のケアに関するご質問は本当に多いです。今回は、歯磨きのスタートから仕上げ磨きの卒業まで、知っておいていただきたいポイントをまとめました。
歯磨きはいつから始めればいいですか#
はい。最初の歯が生えたその日から口腔ケアを始めましょう [1]。とは言っても、いきなり歯ブラシを使う必要はありません。最初は湿らせたガーゼや綿棒で歯の表面をやさしく拭くことから始めてください。口の中を触られることに慣れることが最初のステップです。歯が数本生えてきたら、乳児用の毛先が柔らかい歯ブラシに切り替えていきます。歯磨きを嫌がる以前に、口の中を触られること自体に慣れておくと、のちの仕上げ磨きがスムーズになります。
ポイント
- 最初の歯が生えたら口腔ケア開始
- 最初はガーゼ・綿棒 → 慣れたら乳児用歯ブラシへ
- 「口を触られる」ことに慣れさせるのが第一歩
歯磨きを嫌がって大泣きします。どうすればいいですか#
歯磨きを嫌がるお子さんは非常に多いです。でも、嫌がるからやらない、という選択は虫歯のリスクを高めてしまいます [2]。工夫としては、①歌を歌いながら(お気に入りの歌1曲分で完了を目指す)、②鏡を見せながら(何をされているかわかると安心する)、③親が先に自分の歯を磨いて見せる(模倣の力を使う)、④歯磨き絵本を活用する。それでもダメな時は、膝の上に仰向けに寝かせて短時間で手早く磨く方法も有効です。完璧を目指す必要はありません。1日1回、寝る前の仕上げ磨きだけは最低限行えれば十分です [3]。
ポイント
- 嫌がっても仕上げ磨きは大切。虫歯リスクに直結
- 歌・鏡・親の手本・絵本の4つの工夫
- 最低限「1日1回、寝る前の仕上げ磨き」だけでもOK
フッ素入り歯磨き粉はいつから使えますか#
日本小児歯科学会は、歯が生えたらフッ化物配合歯磨き粉の使用を開始してよいとしています [4]。使用量の目安は以下の通りです。
| 年齢 | フッ化物濃度 | 使用量 |
|---|---|---|
| 歯の萌出〜2歳 | 1000ppmF | 米粒大(切った爪程度) |
| 3〜5歳 | 1000ppmF | グリーンピース大 |
| 6歳以上 | 1500ppmF | 歯ブラシの約2/3 |
「フッ素は危険」というイメージをお持ちの方もいますが、上記の量を守れば安全性に問題はありません [4]。フッ素は歯のエナメル質を強化し、初期の虫歯を修復する作用があります。心配な方はVol.88「フッ素は危険?」もあわせてお読みください。
ポイント
- 歯が生えたらフッ化物配合歯磨き粉を開始してよい
- 使用量は年齢ごとに異なる(米粒大 → グリーンピース大)
- 適切な量であれば安全性に問題なし
仕上げ磨きは何歳まで必要ですか#
お子さんが自分で磨きたいという意欲は素晴らしいことです。ぜひ自分磨きはさせてあげてください。ただし、仕上げ磨きは小学校低学年〜中学年(8〜9歳頃)まで続けることが推奨されています [5]。理由は、子どもの手先の器用さ(巧緻性)が大人のレベルに達するのが9〜10歳頃であること、また第二乳臼歯が生え変わる時期(10歳前後)まで磨き残しが起きやすいためです。『自分で磨く → 親が仕上げ磨き』の流れを習慣化するのがベストです。
ポイント
- 仕上げ磨きは8〜9歳頃まで推奨
- 手先の器用さが大人レベルに達するのは9〜10歳
- 「自分磨き → 仕上げ磨き」の流れを習慣化
虫歯予防で他にできることはありますか#
歯磨き以外に効果的な虫歯予防策がいくつかあります [6]。①だらだら食べ・飲みを避ける(食事・おやつの時間を決め、間食の回数を制限する。口の中が酸性になる時間を短くすることが重要)、②ジュース・スポーツドリンク・乳酸菌飲料を制限する(糖分が多く虫歯の最大リスク因子)、③かかりつけ歯科医で定期健診を受ける(1歳を目安に歯科デビュー)、④奥歯が生えたらシーラント(溝を樹脂で埋めて虫歯を予防する処置)を検討する。特に①の『だらだら食べ』は歯磨きと同じくらい重要な予防因子です。
ポイント
- だらだら食べ・飲みを避けることが非常に重要
- ジュース・スポーツドリンクは虫歯の最大リスク因子
- 1歳を目安にかかりつけ歯科医を持ち、定期健診を
今号のまとめ#
- 最初の歯が生えたその日から口腔ケアを開始しましょう
- 歯磨きを嫌がっても、最低1日1回の寝る前の仕上げ磨きは続けてください
- フッ化物配合歯磨き粉は歯が生えたら使用OK。量を守れば安全です
- 仕上げ磨きは8〜9歳頃まで続けましょう
- だらだら食べの防止は歯磨きと同じくらい大切です