「肺炎球菌のワクチンが新しくなったと聞きました」「途中まで古いワクチンで打っていますが、大丈夫ですか?」。2024年以降、外来でこうしたご質問が増えています。
小児用肺炎球菌ワクチンは2024年に大きな変更がありました。長らく使用されてきた13価ワクチン(プレベナー13)に加え、15価(バクニュバンス)と20価(プレベナー20)が定期接種として使用可能になりました [1]。
何が変わったのか#
肺炎球菌ワクチンの歴史と変遷を整理します。
| 時期 | ワクチン | カバーする血清型 |
|---|---|---|
| 2013年まで | PCV7(7価) | 7つの血清型 |
| 2013年〜 | PCV13(13価) | 13の血清型 |
| 2024年4月〜 | PCV15(15価) | 13+22F, 33F [1] |
| 2024年10月〜 | PCV20(20価) | 13+8, 10A, 11A, 12F, 15B, 22F, 33F [1] |
PCV13の導入以降、カバーされている13の血清型による侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)は大幅に減少しました。しかし、カバーされていない血清型(特に22Fや33Fなど)による感染が相対的に増加してきたため、より広い血清型をカバーするワクチンが開発されました [2]。
切り替えの実際#
すでにPCV13で接種を開始している場合の対応が、保護者の方にとって最も気になるポイントです [3]。
| 接種状況 | 対応 |
|---|---|
| PCV13で1〜3回目まで完了 | 残りをPCV15またはPCV20で接種可能 |
| PCV15で接種開始 | PCV15で完遂が望ましい |
| これから接種を始める | PCV15またはPCV20で開始 |
日本小児科学会は、PCV13からPCV15またはPCV20への切り替え接種について、安全性と有効性が薬事審査で確認されていることを踏まえ、切り替えは可能としています [3]。
ただし、PCV15からPCV20への切り替えについては安全性・有効性のデータが確立していないため、PCV15で開始した場合はPCV15で完遂することが望ましいとされています [3]。
接種スケジュール#
肺炎球菌ワクチンの標準的な接種スケジュールは、ワクチンが変わっても同じです [4]。
| 回数 | 時期 | 間隔 |
|---|---|---|
| 1回目 | 生後2か月 | - |
| 2回目 | 生後3か月 | 1回目から27日以上 |
| 3回目 | 生後4か月 | 2回目から27日以上 |
| 追加接種 | 生後12〜15か月 | 3回目から60日以上かつ1歳以上 |
生後2か月の予防接種デビューで、ヒブワクチン、B型肝炎ワクチン、ロタウイルスワクチンと同時に接種を始めます。
追加された血清型の意義#
PCV15で新たに追加された22Fと33Fは、PCV13導入後に侵襲性肺炎球菌感染症の原因として増加してきた血清型です [2]。
| 血清型 | 臨床的意義 |
|---|---|
| 22F | PCV13時代のIPDの主要な原因血清型のひとつ |
| 33F | 小児の侵襲性感染で増加傾向 |
PCV20はさらに8, 10A, 11A, 12F, 15Bの5つを加え、合計20の血清型をカバーします [5]。臨床試験では、PCV15およびPCV20はPCV13と同等の免疫原性と安全性が確認されています [5]。
副反応について#
PCV15・PCV20の副反応はPCV13とほぼ同様です [5]。
| 副反応 | 頻度 |
|---|---|
| 接種部位の発赤・腫脹 | 20〜40% |
| 発熱(38度以上) | 10〜30% |
| 機嫌不良・食欲低下 | 10〜20% |
| 重篤な副反応 | 極めてまれ |
肺炎球菌ワクチンは他のワクチンと比べて接種部位の腫れが出やすいワクチンです。腫れが大きくて心配な場合もありますが、多くは数日でおさまります。
今号のまとめ#
- 2024年にPCV15とPCV20が定期接種に追加された
- PCV13から途中で切り替えて接種を完了できる
- PCV15で開始した場合はPCV15で完遂するのが望ましい
- 接種スケジュール(4回接種)は従来と変わらない
- 副反応もPCV13とほぼ同様で安全性が確認されている