愛育病院 小児科おかもん先生 だより Vol.207
「聞こえの検査は必要?」、子どもの難聴スクリーニング
こんにちは。愛育病院小児科のおかもん先生です。
新生児のおよそ1,000人に1〜2人は、生まれつき聞こえに問題を持っています [1]。早く見つけて早く手を打てば、ことばの発達への影響はかなり減らせます。今回は、産院で受ける聴覚スクリーニングの話です。
Q1.「新生児聴覚スクリーニングとは?」
——産院で聞こえの検査をしましたが、どんな検査ですか?
新生児聴覚スクリーニングは、生後数日以内に行う聞こえの検査です [1]。
| 基本情報 | 詳細 |
|---|---|
| 目的 | 先天性難聴の早期発見 |
| 時期 | 生後2-3日(退院前) |
| 方法 | OAE(耳音響放射)またはABR(聴性脳幹反応) |
| 所要時間 | 数分〜10分 |
| 痛み | なし(赤ちゃんが寝ている間に実施) |
| 先天性難聴の頻度 |
|---|
| 約1,000人に1-2人(新生児疾患の中で最も頻度が高い) |
| 早期発見・早期介入が言語発達に重要 |
ポイント
- 生後数日以内に実施
- 痛みのない簡単な検査
- 先天性難聴は1,000人に1-2人
Q2.「検査で『要再検』と言われました」
——要再検と言われて心配です
要再検=難聴ではありません [2]。
| 要再検の理由 | 詳細 |
|---|---|
| 耳垢や羊水の残存 | 検査の精度に影響 |
| 検査時に動いた | 正確な結果が得られない |
| 外耳道が小さい | 新生児は外耳道が狭い |
| 実際の難聴 | 可能性の一つ |
「要再検(リファー)となっても、最終的に聴力に問題がないと判明する赤ちゃんが多いです。特にOAEは耳垢や羊水の残りで引っかかりやすいので、再検査でパスするケースが少なくありません [2]。焦らず、指示された日に精密検査を受けてください。」
| 精密検査の流れ |
|---|
| 1. 生後1か月頃に再検査 |
| 2. 必要に応じて精密聴力検査(ABR等) |
| 3. 生後3か月までに確定診断 |
| 4. 生後6か月までに介入開始 |
ポイント
- 要再検でも正常とわかるケースが多い(※要確認:数値は施設・検査法で差あり)
- 焦らず精密検査を受ける
- 生後6か月までの介入が目標
Q3.「難聴の種類は?」
——難聴にも種類があるのですか?
大きく3種類に分けられます [3]。
特徴
- 伝音難聴
- 音が伝わりにくい
- 感音難聴
- 内耳や聴神経の問題
- 混合性難聴
- 両方の要素
原因
- 伝音難聴
- 中耳炎、耳垢栓塞
- 感音難聴
- 先天性、遺伝、薬剤
- 混合性難聴
- 複合的原因
「伝音難聴は治療で改善することが多いですが、感音難聴は補聴器や人工内耳が必要になることがあります。」
ポイント
- 難聴は3種類ある
- 伝音難聴は治療で改善しやすい
- 感音難聴は補聴器等が必要なことも
Q4.「後天性の難聴はありますか?」
——生まれた後に難聴になることもありますか?
はい、後天性の難聴にも注意が必要です [4]。
| 原因 | 詳細 |
|---|---|
| 滲出性中耳炎 | 一時的な難聴の最多原因 |
| 髄膜炎 | 内耳障害による感音難聴 |
| おたふくかぜ | 片側の重度感音難聴 |
| 騒音暴露 | 大きな音への持続的暴露 |
| 薬剤性 | 一部の抗菌薬(アミノグリコシド系) |
| 聞こえが心配なサイン |
|---|
| 名前を呼んでも振り向かない |
| 言葉の発達が遅い |
| テレビの音量が大きい |
| 大きな音に反応しない |
ポイント
- 後天性の難聴もある
- おたふくかぜは重度難聴の原因になる
- 聞こえのサインに注意
Q5.「難聴が見つかったらどうしますか?」
——もし難聴と分かったら、どうなりますか?
早期介入が言語発達に非常に重要です [5]。
| 介入方法 | 内容 |
|---|---|
| 補聴器 | 残存聴力を活用 |
| 人工内耳 | 重度感音難聴に対して |
| 言語訓練 | 聴覚活用訓練、読唇 |
| 療育 | 難聴児通園施設等 |
「生後6か月までに介入を始めた子は、聞こえに問題がない子とほぼ同じペースで言葉が育つ、という報告があります [5]。だからこそ、新生児期のスクリーニングをスキップしないでほしいんです。」
ポイント
- 生後6か月までの介入が重要
- 補聴器や人工内耳が利用可能
- 早期介入で良好な言語発達が期待
今号のまとめ
- 先天性難聴は1,000人に1-2人と頻度が高い
- 新生児聴覚スクリーニングで早期発見が可能
- 要再検の約90%は正常。焦らず精密検査を
- 生後6か月までの介入開始が言語発達に重要
- 聞こえのサインに日頃から注意
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- Vol.205「滲出性中耳炎」
- Vol.204「急性中耳炎」
- Vol.128「言葉の発達の目安」
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