自分の髪や眉毛を抜く行為を「抜毛症(トリコチロマニア)」と呼びます。DSM-5では衝動制御障害の一つに分類され、子どもでは1-2%に見られます [1]。
どんな行動ですか?#
| 特徴 | 内容 |
|---|---|
| 抜く場所 | 頭髪が最多、次いで眉毛・睫毛 |
| タイミング | 就寝前、集中時、退屈時 |
| 本人の認識 | 無意識のことが多い |
| 伴う行動 | 抜いた毛を触る・口に入れる |
ポイント
- 頭髪・眉毛・睫毛が主な対象
- 無意識行動が多い
- 毛を飲み込む場合は重症化リスク
原因と背景は?#
抜毛症は「身体集中反復行動(BFRB)」の代表で、強迫関連症と不安障害の間に位置づけられます [2]。
| 背景 | 説明 |
|---|---|
| 不安・ストレス | 学校・家庭環境 |
| 強迫傾向 | 完璧主義 |
| 孤独・退屈 | 一人の時間に増える |
| 遺伝要因 | 家族歴のことも |
| 自己鎮静 | 触覚的な安心感を得る |
ポイント
- BFRBの代表疾患 [2]
- 不安・強迫傾向が背景
- 自己鎮静が機能的意味
年齢別の特徴#
| 年齢 | 特徴 | 経過 |
|---|---|---|
| 2-5歳 | 無意識・一過性 | 多くは自然軽快 |
| 6-12歳 | 不安と関連 | 専門治療を検討 |
| 思春期 | 慢性化しやすい | CBT・薬物療法 |
幼児期の抜毛は「癖」の範疇で、多くは数か月で消失します。一方、学童期以降に始まった抜毛は慢性化しやすく、早めの介入が望ましいです [3]。
ポイント
- 幼児期は一過性が多い
- 学童期以降は慢性化しやすい
- 早期介入が予後を改善
家庭での対応#
| 対応 | 内容 |
|---|---|
| 気づきの訓練 | 「触っているよ」と穏やかに |
| 代替行動 | 髪ゴム・ストレスボール |
| 環境調整 | 髪を短く・帽子で物理的ブロック |
| 入眠儀式 | 絵本・スキンシップ |
| ストレスケア | 日々の話を聞く |
避けたい対応
- 叱責・恥じらせる
- 手を縛る
- 「やめないと禿げるよ」と脅す
ポイント
- 叱責は厳禁
- 気づき→代替→安心の順
- 入眠儀式の工夫が有効
受診の目安#
| 受診の目安 | 科 |
|---|---|
| 脱毛範囲が広がる | 小児科・皮膚科 |
| 毛を飲み込む | 小児科(消化器) |
| 強い不安・抑うつ | 児童精神科 |
| 登校しぶり | 小児科・心理 |
| 家庭内介入で改善しない | 小児科→専門医 |
標準的治療は習慣逆転法(HRT)を中心とする認知行動療法(CBT)です。薬物療法(N-アセチルシステインなど)は限定的に検討されます [4]。
ポイント
- 範囲拡大・嚥下・精神症状で受診
- 第一選択はHRT/CBT [4]
- 薬物は補助的
まとめ#
- 抜毛症はBFRBの代表で不安と関連
- 幼児期は一過性、学童期以降は専門介入を
- 家庭では叱責を避け気づき・代替行動を
- 毛嚥下は消化器合併症のリスク
- 早期受診が予後を改善
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