子どもの肌は大人に比べて薄く、皮脂の分泌も少ないため、乾燥しやすい特徴があります。特に冬場は乾燥が悪化し、かゆみから掻き壊してしまうお子さんも多いです。適切なスキンケアは、乾燥肌の改善だけでなく、アトピー性皮膚炎やアレルギーの予防にもつながります。今回は、子どもの乾燥肌とスキンケアについてお伝えします。
子どもの肌はなぜ乾燥しやすいのですか?#
うちの子は冬になると全身がカサカサです
子どもの皮膚には、大人とは異なる特徴があります [1]。
| 特徴 | 子どもの皮膚 | 大人の皮膚 |
|---|---|---|
| 皮膚の厚さ | 大人の約半分 | 基準 |
| 皮脂の分泌 | 生後数か月〜思春期は少ない | 一定量を維持 |
| 角質層の水分保持 | 低い | 比較的高い |
| バリア機能 | 未熟 | 成熟 |
乾燥しやすい部位
- 頬、口の周り
- 手の甲、手首
- すねの前面
- おなか、背中
- 肘・膝の外側
ポイント
- 子どもの皮膚は薄く、バリア機能が未熟
- 皮脂分泌が少なく乾燥しやすい
- 冬場は特に乾燥が悪化
正しい保湿の方法は?#
保湿剤はどう塗ればいいですか?
保湿は毎日、入浴後5分以内に、十分な量を塗ることが大切です [2]。
| ポイント | 方法 |
|---|---|
| タイミング | 入浴後5分以内(肌に水分がある状態で) |
| 量の目安 | 塗った後にティッシュが貼りつく程度 |
| 塗り方 | 皮膚のシワに沿って優しく伸ばす |
| 頻度 | 1日2回(朝と入浴後)。乾燥が強ければ3回 |
| 範囲 | 乾燥が目立つ部分だけでなく全身に |
| 保湿剤の種類 | 特徴 |
|---|---|
| ヘパリン類似物質(ヒルドイド等) | 保湿力が高い。医療機関で処方 |
| ワセリン | 皮膚表面に膜を作り水分の蒸発を防ぐ |
| セラミド配合保湿剤 | バリア機能を補う。市販で購入可能 |
| 尿素配合保湿剤 | 水分保持力が高い。ただし刺激感あり |
「FTU(フィンガーチップユニット)を目安にしてください。大人の人差し指の先端から第一関節まで(約0.5g)で、大人の手のひら2枚分の面積を塗ります。」
ポイント
- 入浴後5分以内に保湿
- ティッシュが貼りつく程度の量
- 1日2回、全身に塗る
入浴で気をつけることは?#
お風呂の入り方で肌が変わりますか?
入浴方法は乾燥肌に大きく影響します [3]。
推奨
- 湯温
- 38-40℃のぬるめ
- 時間
- 10-15分以内
- 石鹸
- 低刺激性、泡タイプ
- 洗い方
- 手で泡を使って優しく
- すすぎ
- しっかり洗い流す
- 拭き方
- タオルで押さえるように
NG
- 湯温
- 42℃以上の熱いお湯
- 時間
- 長風呂
- 石鹸
- 殺菌成分入り、スクラブ
- 洗い方
- タオルでゴシゴシ
- すすぎ
- 石鹸が残る
- 拭き方
- こすって拭く
「石鹸は毎日使う必要はありません。汚れが目立つ部分(首のシワ、おむつ周り、手足)だけ石鹸を使い、他はお湯で洗うだけで十分です。」
ポイント
- ぬるめのお湯で短時間の入浴
- 石鹸は低刺激性を使い、毎日全身に使う必要はない
- タオルでゴシゴシ洗わない
乾燥肌とアトピーの違いは?#
単なる乾燥肌かアトピーか、見分けがつきません
乾燥肌とアトピー性皮膚炎の違いを整理します [4]。
乾燥肌
- かゆみ
- 軽度
- 発赤
- なし〜軽度
- 分布
- 全体的にカサカサ
- 経過
- 保湿で改善
- 家族歴
- 関係なし
アトピー性皮膚炎
- かゆみ
- 強い(掻き壊す)
- 発赤
- 赤み、ジュクジュクすることも
- 分布
- 特定の部位に集中(肘裏、膝裏等)
- 経過
- 保湿だけでは不十分、繰り返す
- 家族歴
- アレルギー家族歴が多い
「保湿を2週間続けても改善しない場合は、アトピー性皮膚炎の可能性がありますので、かかりつけ小児科を受診してください。」
ポイント
- かゆみの強さと分布で見分ける
- 保湿で改善しなければアトピーの可能性
- 2週間保湿しても改善しなければ受診
乾燥肌の予防はアレルギー予防になりますか?#
保湿がアレルギー予防になると聞きました
新生児期からの保湿がアトピー性皮膚炎の発症リスクを下げる可能性が示されています [5]。
| 研究 | 結果 |
|---|---|
| 日本の研究(2014年) | 新生児期からの保湿でアトピー発症リスクが約32%低下 |
| 国際的な追試 | 結果はまちまち(全てで再現されたわけではない) |
「皮膚のバリア機能が破綻すると、アレルゲンが皮膚から侵入しやすくなります(経皮感作)。これがアレルギーマーチの出発点になると考えられています。」
推奨されるスキンケアの開始時期
- 新生児期(生後すぐ)から保湿を開始
- 特にアレルギー家族歴がある場合は積極的に
- 保湿剤の種類は問わない(続けられるものを)
ポイント
- 新生児期からの保湿でアトピー予防の可能性
- 経皮感作がアレルギーマーチの出発点
- アレルギー家族歴がある場合は特に積極的に
今号のまとめ#
- 子どもの肌は薄く乾燥しやすい。毎日の保湿が基本
- 入浴後5分以内に十分な量の保湿剤を塗りましょう
- ぬるめのお湯、短時間の入浴、優しく洗うが鉄則
- 2週間保湿しても改善しなければかかりつけ医へ
- 新生児期からの保湿はアトピー予防につながる可能性