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「子どもに伝えるべき?」、発達障害の告知と自己理解
Vol.133発達

「子どもに伝えるべき?」、発達障害の告知と自己理解

- 告知は「プロセス」であり、一度の出来事ではない

発達全年齢6
おかもん先生小児科専門医愛育病院 小児科

参考文献 5·Q&A 5問収録

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この記事のポイント

  • - 告知は「プロセス」であり、一度の出来事ではない
  • - 適切な告知は自己肯定感を保つ
  • - 告知しないことにもリスクがある

愛育病院 小児科おかもん先生 だより Vol.133

「子どもに伝えるべき?」、発達障害の告知と自己理解

こんにちは。愛育病院小児科のおかもん先生です。

「子どもに、自分の障害のことを伝えるべきですか」。発達外来で本当によく聞かれる質問です。先に結論を言うと、伝える方が長期的にはお子さんの利益になります。ただし、いきなり診断名をボンと伝える、という話ではありません。今回は、いつ、どう伝えるかを整理します。

Q1.「子どもに告知するべきですか?」

——診断名を子どもに伝えるかどうか迷っています

伝える方向で考えてください [1]。ただし『告知』というのは診断名を一発で伝えるイベントではなく、お子さんの発達段階に合わせて少しずつ自己理解を積み上げていくプロセスです。1回で完結するものではありません。

告知のメリット告知しない場合のリスク
自分の特性を理解できる「自分はダメな人間だ」という誤った自己認識
適切な対処法を学べるなぜうまくいかないか分からず苦しむ
支援を受け入れやすくなる支援を拒否する
自己肯定感が保たれる二次障害(うつ、不登校等)のリスク

ポイント

  • 告知は「プロセス」であり、一度の出来事ではない
  • 適切な告知は自己肯定感を保つ
  • 告知しないことにもリスクがある

Q2.「いつ頃伝えるのが良いですか?」

——何歳頃に伝えるのがベストですか?

年齢で機械的に決めるのではなく、お子さん側のサインで判断してください [2]

お子さんの状態対応
「なぜ自分だけ通級に行くの?」と疑問を持つ自己理解の導入のチャンス
「自分はバカだ」と自己否定が始まる早めに特性を伝え、自己肯定感を守る
友人関係でトラブルが増える特性を知ることで対処法を一緒に考える
思春期に入る前(10歳前後)アイデンティティ形成に合わせて
年齢の目安伝え方
幼児期(3-6歳)「あなたは○○が得意で、△△は少し苦手。苦手なところを助けてもらおうね」
学童期前半(7-9歳)「みんな得意・苦手がある。あなたの脳は○○が得意な仕組みになっている」
学童期後半(10-12歳)特性の名前を伝え、同じ特性を持つ人の成功例を紹介
思春期(13歳〜)自分で情報を調べられるよう書籍やサイトを紹介

ポイント

  • お子さんの疑問や困り感が出た時がタイミング
  • 年齢に合わせて段階的に伝える
  • 思春期前(10歳前後)までに基礎的な自己理解を

Q3.「どのように伝えればいいですか?」

——傷つけてしまわないか心配です

順番が大事です。強み→苦手→対処法、この順で伝えると傷つきにくいです [3]

伝え方のポイント具体例
①強みから始める「あなたは記憶力がすごいね。好きなことにすごく集中できるね」
②苦手を中立的に説明「脳の仕組みで、急な変更が苦手なんだよ」
③対処法をセットで伝える「だから予定を先に教えてもらうと安心できるよね」
④同じ特性の成功者を紹介「アインシュタインも同じ特性だったと言われているよ」
⑤質問を受け付ける「分からないことがあったらいつでも聞いてね」

「避けたいのは『あなたは障害者だから』と人格にラベルを貼る伝え方です。特性はその子の一部であって、全てではありません。」

ポイント

  • 強み→苦手→対処法の順で伝える
  • 否定的なラベルは絶対に避ける
  • 質問にはいつでも答える姿勢を見せる

Q4.「自己理解を深めるにはどうすればいいですか?」

——告知の後、どう自己理解を深めていけばいいですか?

告知のあとが本番です。継続的なプロセスとして、5段階で考えてください [4]

段階取り組み
①特性を知る得意・苦手の整理、特性カードの作成
②対処法を見つける自分に合った工夫を実践・記録する
③ロールモデルを知る同じ特性を持つ人の体験談を読む
④支援を活用する必要な配慮を自分から伝えられるようになる
⑤将来を考える特性を活かした進路・職業を考える

「自己理解が進むと、自分から『これが苦手だから配慮してください』と言えるようになります。社会に出てから一生使うスキルです。」

ポイント

  • 自己理解は継続的なプロセス
  • 特性を知る→対処法→将来設計へ
  • 自分から配慮を求めるスキルの獲得が目標

Q5.「専門家の力を借りた方がいいですか?」

——家庭だけで伝えるのが不安です

家庭だけで抱え込まないでください [5]。チームで進める方が結果的にうまくいきます。

相談先役割
かかりつけ小児科告知の時期・方法のアドバイス
心理士自己理解プログラムの実施
通級・支援学級の教師学校での自己理解の取り組み
療育・放デイソーシャルスキルの中での自己理解
ペアレントトレーニング保護者の伝え方のスキルアップ

「実は、保護者自身が特性をどう受け止めているか、これが告知の成否に一番効きます。お母さんお父さんが不安なまま伝えると、その不安はそのまま子どもに伝わります。まずは大人側が腹落ちすることから始めてください。」

ポイント

  • 専門家と連携して進めると安心
  • 保護者自身のポジティブな受容が最重要
  • かかりつけ小児科にまず相談を

今号のまとめ

  • 告知は「プロセス」です。診断名を突然伝えることではありません
  • 強み→苦手→対処法の順で、年齢に合わせて段階的に伝えましょう
  • 自己理解は長期的な取り組み。特性を知り、対処法を見つけ、将来に活かす
  • 専門家と連携して進めることをお勧めします
  • 保護者のポジティブな受容が告知の成功の鍵です

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  • Vol.099「自閉スペクトラム症(ASD)の基礎」
  • Vol.101「ADHD(注意欠如・多動症)の基礎」
  • Vol.117「発達障害の二次障害」
  • Vol.138「ペアレントトレーニング」

ご質問・ご感想

「告知のタイミングに悩んでいます」「伝えてよかったです」など、ご経験やご質問がございましたら、お気軽にお寄せください。

愛育病院 小児科 おかもん先生

本メルマガの内容は一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。お子さまの症状についてはかかりつけの小児科医にご相談ください。

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※ この記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。お子さんの症状が心配な場合は、かかりつけの小児科医にご相談ください。

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