愛育病院 小児科おかもん先生 だより Vol.276
「地震の後、子どもが不安がっています」、災害時の子どもの対応
こんにちは。愛育病院小児科のおかもん先生です。
地震のあと、お子さんが急に夜泣きが増えたり、抱っこから離れなくなったり、おねしょが復活したり。「なぜうちの子だけ」と思われるかもしれませんが、これは異常ではなく、ほぼ全ての子に何らかの形で出る正常な反応です。今回は、災害後の子どもへの接し方を整理します。
Q1.「災害後の子どもの反応は?」
——地震の後、子どもの様子がおかしいです
結論から言うと、それは『異常な状況に対する正常な反応』です [1]。年齢ごとに出方が違うので、お子さんの年齢で当てはまるものを見てみてください。
| 年齢 | 反応 |
|---|---|
| 乳幼児 | 夜泣き、かんしゃく、親から離れない |
| 幼児 | 赤ちゃん返り、地震ごっこ、悪夢 |
| 学童 | 頭痛、腹痛、集中力低下、攻撃性 |
| 思春期 | 引きこもり、イライラ、無力感 |
「多くのお子さんは数週間から数か月で自然に落ち着いていきます。叱らず、無理にやめさせようとしないことが大事です。」
ポイント
- 災害後の反応は正常なストレス反応
- 年齢によって表れ方が異なる
- 多くは数週間で改善
Q2.「子どもへの接し方は?」
——どう接すればいいですか?
特別なことは要りません。普段より少しだけ近くにいる、それだけで十分です [2]。
| 対応 | 内容 |
|---|---|
| そばにいる | 物理的に近くにいる |
| スキンシップ | ハグ、手をつなぐ |
| 話を聞く | 気持ちを受け止める |
| 正直に伝える | 年齢に合わせた説明 |
| 日常を取り戻す | できるだけ普段の生活リズムに |
| 安全を確認 | 「今は安全だよ」と伝える |
| してはいけないこと |
|---|
| 「大丈夫、何もなかったでしょ」と否定 |
| テレビの災害映像を繰り返し見せる |
| 自分の不安を子どもにぶつける |
| 「泣かないの」と感情を抑制させる |
ポイント
- そばにいて安心感を与える
- テレビの災害映像は見せない
- 日常を取り戻すことが回復の鍵
Q3.「災害への備えは?」
——子どもがいる家庭の備えは?
大人の備蓄に加えて、子ども専用の物が必要です [3]。災害時はミルクもおむつも手に入りません。
| 備蓄品 | 内容 |
|---|---|
| ミルク・離乳食 | 液体ミルクが便利(最低3日分) |
| おむつ・おしりふき | 多めに |
| 常備薬 | 持病の薬は多めに確保 |
| 着替え | 季節に合ったもの |
| お気に入りのもの | ぬいぐるみ、毛布(安心アイテム) |
| 母子手帳のコピー | 予防接種歴、アレルギー情報 |
| 液体ミルクの活用 |
|---|
| 常温保存可能 |
| お湯不要ですぐに使える |
| 災害時に非常に有用 |
ポイント
- 液体ミルクは災害備蓄に有用
- 安心アイテムを備蓄に入れる
- 母子手帳のコピーを準備
Q4.「避難所での子どもの過ごし方は?」
——避難所で子どもにどうしてあげたらいいですか?
遊びの時間を確保してあげてください [4]。子どもにとって遊びは贅沢ではなく、回復のための仕事です。
| 対応 | 内容 |
|---|---|
| 遊び | お絵描き、折り紙、トランプ |
| 生活リズム | できるだけ規則正しく |
| お手伝い | 年齢に合った役割を与える |
| プライバシー | 着替えや授乳の場所を確保 |
| 感染予防 | 手洗い、マスク |
「折り紙、お絵描き、トランプ、何でも構いません。集中して遊べる時間が、子どもの中で恐怖を整理する作業になります。」
ポイント
- 遊びの時間を確保
- 生活リズムをできるだけ維持
- 役割を与えると安心感につながる
Q5.「専門家に相談すべき場合は?」
——ストレス反応が長引いています
目安は1か月です。それを超えて症状が続く、あるいは日常生活に支障が出ているなら、専門家につなぎましょう [5]。
| 相談すべきサイン | 詳細 |
|---|---|
| 1か月以上の症状持続 | 睡眠障害、不安、攻撃性 |
| フラッシュバック | 災害の場面が繰り返し浮かぶ |
| 回避行動 | 特定の場所や状況を極端に避ける |
| 退行の持続 | 赤ちゃん返りが改善しない |
| 日常生活に支障 | 園・学校に行けない |
「PTSD(心的外傷後ストレス障害)の可能性があれば、児童精神科や小児科に相談してください。早めに介入する方が回復は早いです。」
ポイント
- 1か月以上続く場合は相談
- フラッシュバックはPTSDの可能性
- 早期介入が回復を早める
今号のまとめ
- 災害後の反応は正常なストレス反応
- 安心感を与え、日常を取り戻すことが大切
- テレビの災害映像は見せない
- 子ども用の災害備蓄を準備
- 1か月以上続く場合は専門家に相談
あわせて読みたい
- Vol.275「子どものストレス」
- Vol.274「自己肯定感」
- Vol.255「熱中症」
ご質問・ご感想
「災害後の子どもの対応に悩んでいます」「備蓄について知りたい」など、ご経験やご質問がございましたら、お気軽にお寄せください。
愛育病院 小児科 おかもん先生
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