愛育病院 小児科おかもん だより Vol.342
「色覚異常と言われました」、学校の色覚検査の正しい理解
今号のポイント
- 2色覚異常は男子の約5%(20人に1人)に見られる。女子は約0.2%
- 4「色が見えない」のではなく「色の見え方が違う」だけ。日常生活への支障は軽度が大半
- 6進路制限は大幅に緩和。パイロット・自衛官など一部を除き、ほぼ制限なし
こんにちは。愛育病院小児科のおかもんです。
学校の色覚検査で「色覚異常の疑い」と言われると、親御さんはとても不安になります。しかし、色覚異常は決して珍しいものではなく、多くのお子さんが普通に生活しています。
今回は、色覚異常の正しい理解と対応を整理します。
Q1.「色覚異常ってどういう状態ですか?」
——学校の検査で引っかかりました。色が見えていないということですか?
色が見えないのではなく、色の見え方が多数派と少し違うだけです。正確には3つのタイプがあります [1]
色覚異常のタイプ:
見分けにくい色
- 1型(赤色覚異常)
- 赤と暗い色
- 2型(緑色覚異常)
- 赤と緑
- 3型(青色覚異常)
- 青と黄
頻度(男子)
- 1型(赤色覚異常)
- 約1.5%
- 2型(緑色覚異常)
- 約3.5%
- 3型(青色覚異常)
- 極めてまれ(常染色体遺伝で男女差なし)
X染色体連鎖の劣性遺伝なので、男子に多いのが特徴です。お母さんが保因者で、息子さんに現れるというパターンが典型的です。男子の約5%(20人に1人)、女子は約0.2%です [1]
ポイント
- 「色が見えない」ではなく「見え方が違う」
- 男子の約5%(20人に1人)に見られる [1]
- X連鎖劣性遺伝で男子に多い
Q2.「日常生活に支障はありますか?」
——困ることはありますか?今まで全然気づきませんでした
気づかなかったということは、日常生活にほとんど支障がないということです。実際、軽度〜中等度の方がほとんどで、本人も自覚していないことが多いです
日常生活で困る場面(軽度の場合):
- 焼肉の焼き加減がわかりにくい
- 紅葉の赤が鮮やかに見えにくい
- 色で分類された図表が読みにくい
- LED表示の赤と橙が区別しにくい
信号の色は形と位置で判断できるので、運転免許も取得できます。実際、色覚異常のある方のほとんどが問題なく免許を取得しています
ポイント
- 気づかなかったなら日常生活への支障はほぼなし
- 運転免許は取得可能(信号は位置で判断)
- 困る場面は限定的で工夫で対処可能
Q3.「学校では何に気をつければいいですか?」
お父さん「先生に伝えたほうがいいですか?」
担任の先生への情報共有は推奨します。色を使った授業での配慮が受けられます [2]
学校での配慮のポイント:
- 色だけで区別する指示を避ける(「赤い線を引いて」→「波線を引いて」)
- 色チョークの配慮: 赤チョークは見えにくい → 白・黄色を主に使う
- 理科の実験: リトマス試験紙、BTB液の色変化は隣の子と確認
- 美術: 色の名前を教えてもらう。作品の評価に色の正確さを求めない
2003年に学校での色覚検査が廃止されましたが、2014年から希望者には再開されています [2]。検査をきっかけに本人が自分の特性を知ることは、将来の進路選択にとって大切です
ポイント
- 担任への情報共有を推奨
- 色だけで区別する指示を避けてもらう
- 検査は本人が自分の特性を知る良い機会
Q4.「将来の進路に制限はありますか?」
お父さん「パイロットにはなれないと聞きましたが……」
以前は多くの職業で制限がありましたが、現在は大幅に緩和されています [3]
現在の進路制限(2024年時点):
| 制限あり | 制限なし |
|---|---|
| 航空パイロット | 医師・看護師 |
| 自衛官(一部職種) | 教員 |
| 鉄道運転士(一部) | 薬剤師 |
| 海上保安官(一部) | エンジニア |
| 公務員(一般) |
医師・看護師も色覚異常があっても問題なく仕事ができます。私の同僚にも色覚異常のある医師がいますが、デジタル機器の発達もあり、まったく支障なく診療しています
お子さんに伝えるタイミングは、本人が理解できる年齢(小学校中〜高学年)が適切です。『見え方が少し違うだけで、困ることはほとんどない。なりたいものにほぼ何でもなれる』と伝えてあげてください
ポイント
- 進路制限は大幅に緩和。ほとんどの職業に就ける [3]
- 医師・看護師も問題なし
- 伝え方はポジティブに。「見え方が少し違うだけ」
まとめ
- 頻度: 男子の約5%(20人に1人)。珍しくない
- 日常生活: ほとんどの場合、支障は軽微
- 学校: 担任に伝えて色の配慮をお願い
- 進路: 制限は一部のみ。ほぼ何でもなれる
色覚異常は「障害」ではなく「個性」です。正しく知って、お子さんの可能性を広げましょう。
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