「4月から保育園に入るけれど、卵アレルギーがあるので心配です」。入園シーズンになると、このご相談が急増します。保育園は一日の大半を過ごす場所であり、給食やおやつの提供があるため、食物アレルギーへの対応は園と保護者の密な連携が必要です。
今回は、お子さんが保育園で安全に過ごすための具体的な準備と対応についてお伝えします。
入園前にどんな書類を準備すればいいですか#
食物アレルギーのある子どもが保育園に入園する際には、以下の書類が基本となります [1][2]。
| 書類 | 内容 | 記入者 |
|---|---|---|
| 保育所におけるアレルギー疾患生活管理指導表 | アレルギーの診断名、除去食品、緊急時対応 | かかりつけ医 |
| 緊急時個別対応計画書 | 症状が出たときの対応手順、薬の使い方 | かかりつけ医 + 園 |
| 食物アレルギーに関する連絡票 | 家庭での食事状況、食べられる範囲 | 保護者 |
「生活管理指導表」は厚生労働省が定めた様式で、多くの自治体が採用しています [1]。毎年更新が必要ですので、年度初めにかかりつけ医を受診して最新の状態を記入してもらってください。

保育園の除去食はどのように進めるのですか#
保育園での除去食対応の基本方針は「完全除去」か「提供」かの二択です [1][2]。
| 対応パターン | 内容 | メリット |
|---|---|---|
| 完全除去 | 当該食材を完全に除いた食事を提供 | 誤食リスクが最も低い |
| 提供(除去なし) | 医師の指導のもと、安全が確認された食品は通常通り提供 | 不必要な除去を避けられる |
「少しなら大丈夫」「加熱したものだけOK」のような段階的な対応は、調理現場でのミスにつながりやすいため、保育園では推奨されていません [1]。家庭では段階的に進めていても、園では安全のために完全除去とすることが一般的です。
誤食事故の実態 [3]:
日本の保育園を対象にした全国調査では、食物アレルギー児の誤食事故が報告されており、リスク因子として以下が挙げられています。
| リスク因子 | 内容 |
|---|---|
| 配膳時の確認不足 | トレイの色分けや名札の確認漏れ |
| 他児のおかわりや食べ残し | 他の子どもの食事に手を伸ばす |
| おやつ・行事食 | 通常の給食と異なるメニューでの見落とし |
| 職員間の情報共有不足 | 担任以外の職員が対応する場面 |
園で緊急事態が起きたときの対応は#
保育園でアナフィラキシーが起きた場合の対応手順を、入園前に園と保護者で確認しておくことが重要です [4][5]。
| 手順 | 内容 |
|---|---|
| 1. 発見 | 症状を認識する(じんましん、嘔吐、呼吸困難、ぐったり) |
| 2. 判断 | アナフィラキシーの症状があればエピペンを使用 |
| 3. 対応 | エピペン投与 + 119番通報 + 保護者に連絡 |
| 4. 体位 | 仰向けに寝かせ、足を高くする。嘔吐がある場合は横向きに |
| 5. 記録 | 症状の経過、エピペン投与時刻を記録 |
保育士によるエピペンの投与は、2008年の学校保健安全法の考え方に基づき、緊急時のやむを得ない措置として法的に認められています [5]。「医療行為だから保育士は打てない」ということはありません。
エピペンを園に預ける場合:
- 保管場所を複数の職員が把握する
- 練習用トレーナーで職員研修を行う
- 有効期限を園と保護者の双方で管理する
まとめ#
- 入園前に「生活管理指導表」をかかりつけ医に記入してもらう
- 除去食は「完全除去」か「提供」の二択が安全
- 行事食やクッキング保育は特に注意
- エピペンの預け入れと職員研修を入園前に完了させる
- 正確な情報共有が事故予防の基盤