愛育病院 小児科おかもん先生 だより Vol.160
「牛乳がダメでも栄養は大丈夫?」、牛乳アレルギーと代替栄養の考え方
今号のポイント
- 2牛乳アレルギーは乳児期の食物アレルギーで卵に次いで多く、多くは学童期までに耐性を獲得する
- 4牛乳除去時はカルシウム・ビタミンDの代替摂取が重要。代替ミルクの選択にも注意が必要
- 6アレルギー用ミルク(加水分解乳・アミノ酸乳)と植物性ミルクは性質が異なる
こんにちは。愛育病院小児科のおかもん先生です。
「牛乳アレルギーと言われて、ミルクは何を飲ませたらいいですか?」「カルシウムは足りますか?」、牛乳アレルギーのお子さんをお持ちの保護者の方から、栄養面のご不安をよく伺います。
牛乳は子どもの重要なカルシウム源ですが、除去が必要な場合でも適切な代替栄養で十分に補えることをお伝えします [1]。
Q1.「牛乳アレルギーの頻度と症状について教えてください」
——牛乳アレルギーの子どもはどのくらいいますか?
乳児の約2〜3%が牛乳アレルギーを持つとされ、卵に次いで2番目に多い食物アレルギーです [1]
牛乳アレルギーの基本情報 [1][2]:
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 頻度 | 乳児の約2〜3% |
| 主要アレルゲン | カゼイン、β-ラクトグロブリン、α-ラクトアルブミン [2] |
| 耐性獲得 | 日本の食物アレルギー診療ガイドライン2021では、3歳時点で50〜60%、6歳までに約75%が耐性獲得 [1] |
| 交差反応 | ヤギ乳・羊乳とは約90%の交差反応あり [2] |
牛乳アレルギーの症状分類 [1][3]:
症状
- 即時型(IgE依存性)
- 蕁麻疹、嘔吐、喘鳴、アナフィラキシー
- 遅延型(非IgE依存性)
- 血便、下痢、嘔吐、体重増加不良
- FPIES
- 繰り返す嘔吐、下痢、ぐったり
発症時期
- 即時型(IgE依存性)
- 摂取後2時間以内
- 遅延型(非IgE依存性)
- 摂取後数時間〜数日
- FPIES
- 摂取後1〜4時間 [3]
乳児の牛乳アレルギーは遅延型(非IgE依存性)のタイプも多く、血液検査(IgE)が陰性でも牛乳アレルギーのことがあります [3]。便に血液が混じる(血便)がきっかけで見つかるケースもよくあります
ポイント
- 乳児の約2〜3%が牛乳アレルギー [1]
- 日本の診療ガイドラインでは3歳で50〜60%、6歳までに約75%が耐性獲得 [1]
- IgE検査が陰性でも非IgE依存性の牛乳アレルギーがある [3]
Q2.「アレルギー用ミルクはどれを選べばいいですか?」
——普通のミルクが飲めない場合、何を飲ませたらいいですか?
牛乳アレルギーの乳児にはアレルギー用ミルクを使用します [4]
アレルギー用ミルクの種類 [4]:
製品例
- 高度加水分解乳
- ミルフィーHP、MA-mi
- アミノ酸乳
- エレンタールP、ニューMA-1
- 大豆乳
- ボンラクトi
特徴
- 高度加水分解乳
- 牛乳タンパクを高度に分解。軽〜中等度に対応
- アミノ酸乳
- 牛乳タンパクを含まない完全アミノ酸ベース。重症用
- 大豆乳
- 大豆タンパクベース。約10〜14%は大豆にも反応 [4]
——豆乳やアーモンドミルクではダメですか?
植物性ミルクとアレルギー用ミルクは全く異なります [4][5]
アレルギー用ミルク
- 栄養設計
- 乳児の栄養基準に準拠
- タンパク質
- 適切量含有
- カルシウム
- 強化済み
- 乳児への使用
- 可能
市販の植物性ミルク
- 栄養設計
- 乳児の栄養には不十分
- タンパク質
- 不足しがち
- カルシウム
- 製品による
- 乳児への使用
- 不可(1歳未満) [5]
1歳未満のお子さんに豆乳やアーモンドミルクを主なミルク代替として使用しないでください [5]。栄養が不十分で、成長障害を起こすリスクがあります。必ず医師が推奨するアレルギー用ミルクを使ってください
ポイント
- アレルギー用ミルクは高度加水分解乳・アミノ酸乳が基本 [4]
- 植物性ミルクは乳児のミルク代替にはならない [5]
- 1歳未満は必ず医師推奨のアレルギー用ミルクを使用 [5]
Q3.「牛乳を除去するとカルシウムが不足しませんか?」
——牛乳を飲まないとカルシウムが足りないのでは?
牛乳除去で最も注意すべきはカルシウムとビタミンDの不足です [6]。しかし、適切な食品選択で補うことは十分可能です
カルシウムの年齢別推奨摂取量と代替食品 [6]:
| 年齢 | カルシウム推奨量 |
|---|---|
| 0〜5ヶ月 | 200mg/日 |
| 6〜11ヶ月 | 250mg/日 |
| 1〜2歳 | 400mg/日 |
| 3〜5歳 | 600mg/日 |
牛乳以外のカルシウム豊富な食品 [6]:
| 食品 | カルシウム含有量(目安) |
|---|---|
| しらす干し | 520mg/100g |
| 小松菜 | 170mg/100g |
| 木綿豆腐 | 93mg/100g |
| ひじき(乾燥) | 1,000mg/100g |
| 切り干し大根 | 500mg/100g |
| カルシウム強化豆乳 | 120mg/100ml |
| ししゃも | 330mg/100g |
小魚、海藻、緑黄色野菜、大豆製品を意識して取り入れましょう [6]。必要に応じてカルシウムサプリメントの使用も検討します。また、カルシウムの吸収にビタミンDが不可欠ですので、日光浴も大切です
ポイント
- 牛乳除去時はカルシウムとビタミンDの代替が重要 [6]
- 小魚・海藻・緑黄色野菜・大豆製品で補える [6]
- 日光浴でビタミンD合成も忘れずに
Q4.「牛乳アレルギーの経過と負荷試験について教えてください」
——いつか牛乳が飲めるようになりますか?
多くのお子さんは成長とともに耐性を獲得します [1]。定期的な食物経口負荷試験で確認していきましょう
耐性獲得の目安 [1][7]:
| 時期 | 耐性獲得率 |
|---|---|
| 1歳 | 約30〜40% |
| 3歳 | 約50〜60% |
| 6歳 | 約75% |
| 学童以降 | 多くが耐性獲得するが、一部は成人まで残存 |
負荷試験の進め方 [7]:
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| Step 1 | 加熱乳製品(パン、ビスケット等に含まれる牛乳) |
| Step 2 | チーズ、ヨーグルト |
| Step 3 | 加熱牛乳(ホットミルク、シチュー) |
| Step 4 | 非加熱牛乳(冷たい牛乳) |
卵と同様に、加熱した乳製品から段階的に進めます [7]。パンやクッキーに含まれる牛乳成分は十分に加熱されているため、アレルゲン性が低下しています。約75%のお子さんが加熱乳製品は食べられるとの報告もあります
ポイント
- 多くは3歳までに耐性獲得 [1]
- 加熱乳製品から段階的に進める [7]
- 約75%が加熱乳製品は食べられる [7]
Q5.「食品表示の注意点と日常生活のコツを教えてください」
——牛乳が隠れている食品を見分けるコツはありますか?
牛乳は特定原材料として表示義務があります [8]。以下の表示に注意してください
牛乳関連の表示名 [8]:
| 表示 | 内容 |
|---|---|
| 表示義務あり | 乳、牛乳、ミルク、バター、チーズ、クリーム、ヨーグルト |
| 見落としやすい成分 | カゼイン、乳清(ホエイ)、ラクトアルブミン、乳糖(通常は問題ないが重症者は注意) |
| 意外な含有食品 | ハム・ソーセージ、カレールウ、チョコレート、マーガリン |
日常生活のコツ [8]:
| 場面 | 対策 |
|---|---|
| 外食 | アレルギー表示を必ず確認。乳製品は見えない形で使われていることが多い |
| おやつ | 牛乳不使用のお菓子リストを作っておく |
| 緊急時 | 誤食時の対応を家族全員で共有。エピペンが処方されている場合は常時携帯 |
| 代替おやつ例 | フルーツゼリー、せんべい、芋ようかん、乳不使用アイス |
ポイント
- 牛乳は特定原材料として表示義務あり [8]
- 見えない形で使われている食品に注意(ハム、カレールウ等) [8]
- 誤食時の対応を家族全員で共有しておく
まとめ
- 牛乳アレルギーは乳児の約2〜3%。3歳で約50〜60%、6歳までに約75%が耐性獲得 [1]
- 1歳未満はアレルギー用ミルクを使用。植物性ミルクは代替にならない [4][5]
- 牛乳除去時はカルシウム・ビタミンDの代替摂取が重要 [6]
- 加熱乳製品から段階的に進める管理が標準 [7]
- IgE陰性でも非IgE依存性の牛乳アレルギーがある [3]
- 食品表示を毎回確認し、誤食時の対応を家族で共有 [8]
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