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「体重が増えません……」、成長曲線の見方と母乳不足の判断
Vol.307健診

「体重が増えません……」、成長曲線の見方と母乳不足の判断

赤ちゃんの体重増加不良の目安・原因・受診タイミング

健診0〜6ヶ月・6〜12ヶ月10
おかもん先生小児科専門医愛育病院 小児科

参考文献 0·Q&A 4問収録

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この記事のポイント

  • 体重増加の目安は0〜3ヶ月で25〜30g/日、3〜6ヶ月で15〜20g/日。ただし個人差が大きい
  • 成長曲線のパーセンタイルに沿って増えていれば大丈夫。「母乳不足感」と「実際の母乳不足」は別物
  • おしっこが1日6回以上・体重が成長曲線に沿っていれば母乳は足りている。脱水サインを知っておくことが大切

愛育病院 小児科おかもん だより Vol.307

「体重が増えません……」、成長曲線の見方と母乳不足の判断

今号のポイント

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    体重増加の目安は0〜3ヶ月で25〜30g/日、3〜6ヶ月で15〜20g/日。ただし個人差が大きい
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    成長曲線のパーセンタイルに沿って増えていれば大丈夫。「母乳不足感」と「実際の母乳不足」は別物
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    おしっこが1日6回以上・体重が成長曲線に沿っていれば母乳は足りている。脱水サインを知っておくことが大切

こんにちは。愛育病院小児科のおかもんです。

今回のテーマは体重が増えない不安です。

「他の子より小さい気がする」「母乳だけで足りているか不安」「ミルクを足したほうがいいですか?」、体重の相談は健診のたびに本当にたくさん寄せられます。まず知っておいてほしいのは、赤ちゃんの体重は個人差がとても大きいということ。今号では成長曲線の見方と、本当に心配すべきサインを整理します。

Q1.「体重はどのくらい増えていれば大丈夫ですか?」

——1ヶ月健診で体重増加が少ないと言われました。目安はどのくらいですか?

月齢ごとの体重増加の目安をお伝えしますね [1]

月齢1日あたりの体重増加の目安
0〜3ヶ月25〜30g/日
3〜6ヶ月15〜20g/日
6〜9ヶ月10〜15g/日
9〜12ヶ月8〜12g/日

ただし、これはあくまで平均値です。特に母乳栄養の赤ちゃんは、最初の1〜2週間は体重増加がゆっくりなことが多く、その後ぐっと増えるパターンもあります。1回の測定で判断するのではなく、数日〜数週間の傾向を見ることが大切です [1]

——毎日体重を測ったほうがいいですか?

いいえ、毎日測る必要はありません。赤ちゃんの体重は授乳の前後やおしっこ・うんちの前後で数十g変動しますので、毎日測ると誤差に振り回されてしまいます [2]。理想的には1〜2週間に1回、同じ条件(同じ時間帯、授乳前、裸で)で測ると正確な傾向がつかめます。体重計がない場合は、健診や地域の子育て支援施設の体重計を利用してください

ポイント

  • 0〜3ヶ月は25〜30g/日、3〜6ヶ月は15〜20g/日が目安 [1]
  • 1回の測定で判断せず、数週間の傾向を見る
  • 毎日測定は不要。1〜2週間に1回が適切 [2]

Q2.「成長曲線はどう見ればいいですか?」

——母子手帳の成長曲線を見ても、見方がよくわかりません。うちの子は下の方にいるんですが大丈夫ですか?

成長曲線のポイントを3つお伝えします [3]

1つ目:パーセンタイルの意味を理解する

成長曲線の帯は3パーセンタイル〜97パーセンタイルの範囲を示しています [3]。3パーセンタイルとは、同じ月齢の赤ちゃん100人のうち3番目に小さいということです。帯の中にいれば正常範囲ですし、帯のどの位置にいるかよりも、カーブに沿って増えているかどうかが重要です

2つ目:カーブの傾きを見る

最も注意すべきなのは、カーブが急に横ばいになったり、大きなパーセンタイルの線を2本以上下に横切ったりした場合です [4]。例えば50パーセンタイル付近にいた赤ちゃんが急に10パーセンタイルまで落ちた場合は、何か原因がないか調べる必要があります

3つ目:他の子と比べない

10パーセンタイルの赤ちゃんがずっと10パーセンタイル付近で成長しているなら、それはその子の正常な成長パターンです [3]。親御さんの体格も影響しますし、お父さんお母さんが小柄な場合、赤ちゃんも小柄に育つのは自然なことです。また、早産で生まれた赤ちゃんは修正月齢(出産予定日からの月齢)で評価することも忘れずに

ポイント

  • 帯の中の位置よりも、カーブに沿って増えているかが重要 [3]
  • カーブが横ばいやパーセンタイル2本以上の低下は要注意 [4]
  • 他の子との比較は不要。その子なりのカーブで評価する [3]

Q3.「母乳が足りていないのではないかと不安です」

——おっぱいが張らなくなってきたし、赤ちゃんがすぐ泣くので、母乳が足りていないのではないかと心配です。ミルクを足したほうがいいですか?

これは非常に多いご相談です。まず知っていただきたいのは、『母乳不足感』と『実際の母乳不足』は別物だということです [5]

母乳不足感(実際は足りている)実際の母乳不足のサイン
おっぱいが張らなくなった(実は需要と供給が安定した証拠)おしっこが1日6回未満
赤ちゃんがすぐ泣く(母乳以外の理由も多い)便が極端に少ない(数日に1回は正常なこともある)
1回の授乳時間が短い(効率よく飲めるようになった証拠)体重増加が1日15g未満
片方のおっぱいだけで終わる赤ちゃんがぐったりしている
搾乳してもあまり出ない(搾乳量と実際の分泌量は異なる)皮膚のツルゴール低下(お腹の皮膚をつまんで離しても戻りが遅い)

母乳分泌は生後6〜12週頃に安定期に入り、張りが減るのは正常な変化です [5]。搾乳量も実際の分泌量を反映しません(赤ちゃんの方が搾乳機より効率よく飲めます)。おしっこが1日6回以上出ていて、体重が成長曲線に沿って増えていれば、母乳は足りています [5]

——それでも不安な場合は?

不安な場合は、授乳前後の体重を測る『哺乳量測定』を行うことができます。健診や母乳外来で相談してください。安易にミルクを足すと、赤ちゃんの哺乳刺激が減り、かえって母乳分泌が低下する悪循環に入ることがあります [5]。混合栄養にする判断は、体重増加の客観的データに基づいて医師・助産師と一緒に行いましょう

ポイント

  • 「おっぱいが張らない」「すぐ泣く」は母乳不足ではないことが多い [5]
  • おしっこ1日6回以上+体重が曲線に沿って増加なら足りている [5]
  • 混合栄養の判断は客観的データに基づいて。安易なミルク追加は逆効果の可能性

Q4.「体重減少や脱水が心配です。どんなサインに注意すればいいですか?」

——体重が減っている場合や脱水の場合、どんなサインが出ますか?

生後数日間は生理的体重減少といって、出生体重の5〜10%程度の減少は正常です [6]。通常は生後7〜14日で出生体重に戻ります。ただし、以下のサインがある場合は脱水を疑い、早めに受診してください [6]

脱水のサイン具体的な観察ポイント
おしっこの回数が減る生後4日以降で1日6回未満(おむつが6枚以上濡れないか確認)
おしっこの色が濃い通常は薄い黄色。オレンジ色〜濃い黄色は注意
涙が出ない泣いても涙が出ない
口の中が乾いている唇や舌が乾燥している
大泉門の陥没頭のてっぺんの柔らかい部分がへこんでいる
皮膚のハリがないお腹の皮膚をつまんで離すと戻りが遅い(ツルゴール低下)
ぐったりしている元気がない、反応が鈍い、眠り続ける

特に注意していただきたいのは、生後2週間を過ぎても出生体重に戻らない場合と、体重減少が出生体重の10%を超える場合です [6]。また、キャッチアップ成長という言葉をご存じですか? 低出生体重児や早産児が、ある時期に急に成長が追いつくことをいいます [7]。最初はゆっくりでも、後から追いつく赤ちゃんも多いんです。ただし、キャッチアップするかどうかは個別に経過を見る必要がありますので、かかりつけ医と定期的にフォローしていきましょう

ポイント

  • 生後数日の体重減少は5〜10%まで正常。7〜14日で出生体重に戻る [6]
  • おしっこの回数・色・大泉門の陥没・ぐったりは脱水サイン [6]
  • 2週間で出生体重に戻らない場合は受診を [6]
  • キャッチアップ成長で後から追いつく赤ちゃんも多い [7]

今号のまとめ

  • 体重増加の目安は0〜3ヶ月で25〜30g/日。ただし個人差が大きい [1]
  • 成長曲線はカーブに沿って増えているかが最重要。他の子との比較は不要 [3]
  • 「母乳不足感」と「実際の母乳不足」は別物。おしっこ1日6回以上なら足りている [5]
  • 脱水サイン(おしっこ減少・大泉門陥没・ぐったり)を知っておくことが大切 [6]
  • 不安な場合は健診や母乳外来で哺乳量測定を。一人で悩まないで [5]

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ご質問・ご感想をお待ちしています

「成長曲線の見方がわからない」「ミルクを足すべきか迷っている」など、ご質問がございましたらお気軽にお寄せください。外来受診時にお声がけいただくか、質問フォームからお寄せください。

愛育病院 小児科 おかもん

※ この記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。お子さんの症状が心配な場合は、かかりつけの小児科医にご相談ください。記事中の情報は掲載時点の医学的知見に基づいており、今後の研究の進展により変更される可能性があります。

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※ この記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。お子さんの症状が心配な場合は、かかりつけの小児科医にご相談ください。

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