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歩くのが遅い子、大丈夫?
Vol.379発達

歩くのが遅い子、大丈夫?

同じ月齢の子が歩き出すと、うちの子はまだ……と焦る気持ち。最新ガイドラインと外来での実感から、歩行遅延の境界線を整理します

発達・1〜3歳5
おかもん先生小児科専門医愛育病院 小児科

参考文献 4·Q&A 3問収録

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この記事のポイント

  • 独り歩きは9〜18ヶ月の間が正常範囲。18ヶ月が一つのラインになる
  • 歩き方だけでなく、他の運動・言葉の遅れがないかが重要
  • 18ヶ月を過ぎても歩かないときは必ず受診を

愛育病院 小児科おかもん先生 だより Vol.379

歩くのが遅い子、大丈夫?

こんにちは。愛育病院小児科のおかもん先生です。

「同じ月齢のお友達はもうトコトコ歩いているのに、うちの子はまだハイハイばかりで……」というご相談は、毎月のようにいただきます。今号では、最新のCDCマイルストーン改訂やWHOの大規模研究をもとに、歩き始めの正常範囲と受診の目安を整理します。

正常範囲はどれくらい幅があるのですか

WHO Multicentre Growth Reference Studyの大規模データでは、独り歩き(unassisted walking)の獲得は「8.2〜17.6ヶ月」という非常に幅のある分布を示します [1]。およそ97%の子が18ヶ月までに独り歩きを始めるということです。

米国CDCは2022年にマイルストーンを改訂し、独り歩きの目安を従来の「12ヶ月」から「15ヶ月(75%の子が達成する月齢)」に引き上げました [2]。さらにAAPの発達スクリーニング指針では「18ヶ月までに独り歩きがなければ精査」が現場の受診ラインとして広く使われています [3]。「12ヶ月で歩いていないと心配」という従来の感覚は、エビデンス上はもう少し待ってよい、ということです。

ポイント

  • 独り歩きの正常範囲はおよそ9〜18ヶ月(WHOデータ) [1]
  • CDC 2022改訂で「15ヶ月までに歩く(75%が達成)」が新しい目安 [2]
  • 「18ヶ月で歩かないなら必ず受診」が現場の受診ライン [3]

歩き始めが遅い子の背景にあるもの

原因はさまざまです。多くは「個人差の範囲」や「家庭環境(ハイハイが楽しすぎる、床がすべる、抱っこが多い等)」に収まります [3]。一方で、以下のような背景が隠れていることもあります。

背景特徴
体質・家族性両親のどちらかも歩き始めが遅かった
低筋緊張全体的にふにゃっとしている、お座りも遅かった
神経発達症言葉の遅れ・対人面の気になりが併存
脳性麻痺左右差、つま先立ち、筋緊張亢進
代謝・筋疾患哺乳時から体力が続かない、血液検査で異常

「歩き方が遅い」だけを単独で見るのではなく、「他の運動発達(お座り・ハイハイ・つかまり立ち)」「言葉」「手の使い方」まで合わせて評価するのがポイントです [3]。

⚠️こんなときは急いで受診を

・18ヶ月を過ぎても独り歩きがない ・左右で手足の動きに明らかな差がある ・いったん歩けていたのに歩けなくなった ・全体的に筋肉がふにゃふにゃしている いずれかがあれば、早めに小児科・小児神経科にご相談ください [2][3]。

日常でできることと、受診のタイミング

コンコン先生
🏥

おかもん先生より

「歩かないんです」と外来に来られると、私はまず「ハイハイとつかまり立ちはどうですか」と聞きます。お座り、ハイハイ、つかまり立ちまで揃っていて、つかまり立ちで世界を見渡しているタイプの子は、ある日いきなり歩き出します。逆に、お座りやハイハイの段階からゆっくりだった子は、歩くのも遅れる傾向があります。「歩くか歩かないか」より「発達全体のバランス」のほうが、診察室では情報量が多いと感じます。

家庭でできることもあります。裸足で過ごす時間を増やす、少し高さのあるソファーや椅子を「伝い歩きの練習台」にする、靴は歩き始めてから選ぶ、などです [3]。ベビーウォーカー(歩行器)は歩き始めを早めるエビデンスに乏しく、転倒事故が多いのでAAPは推奨していません [3]。

受診の目安は、まず「18ヶ月で独り歩きなし」。加えて、15ヶ月でつかまり立ちもできない場合は、18ヶ月を待たずに相談してよいと考えます [2]。

今号のまとめ

  • 独り歩きの正常範囲は9〜18ヶ月(WHO大規模データ)
  • CDC 2022改訂で「15ヶ月までに歩く」が目安、「18ヶ月で歩かない」が受診ライン
  • 歩きだけを切り出さず、他の運動・言葉・左右差まで合わせて評価する
  • 18ヶ月を過ぎても歩かない、左右差がある、退行があるときは必ず受診

愛育病院 小児科 おかもん先生

本記事の内容は一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。お子さまの症状についてはかかりつけの小児科医にご相談ください。

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※ この記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。お子さんの症状が心配な場合は、かかりつけの小児科医にご相談ください。

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