小児科おかもん先生 だより Vol.396
「おやつの与え方」
こんにちは。愛育病院小児科のおかもん先生です。 「おやつ何を何回あげればいいですか?」「ジュースは毎日でも大丈夫?」。離乳食期を終えた後によくいただく相談です。 日本と欧米の基準を踏まえて、現実的なおやつルールをお話しします。
おやつは1日何回くらいが適切ですか?
2歳の娘におやつをあげる回数に迷います。1回?2回?
幼児(1〜5歳)のおやつは、1日1〜2回が原則です [1]。
厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)」および日本小児栄養学会の指針では、1〜2歳では午前と午後に各1回、3歳以降は午後に1回を基本としています [1]。
おやつ回数
- 1〜2歳
- 1〜2回
- 3〜5歳
- 1回
- 6歳以降
- 0〜1回
時間の目安
- 1〜2歳
- 10時頃・15時頃
- 3〜5歳
- 15時頃
- 6歳以降
- 15時〜16時頃
幼児のおやつは「お菓子」ではなく第4の食事として捉えるのが正解です。3食だけでは必要なエネルギーを胃のキャパシティで賄えないので、補食として機能します [1]。
この意味で、理想的なおやつは以下のようなものです:
- おにぎり・食パン・サンドイッチ
- 蒸しパン・焼き芋
- バナナ・いちご・みかん
- ヨーグルト・チーズ
- 麦茶・牛乳
市販のお菓子・ジュースを完全に禁止する必要はありませんが、「お菓子はおやつのごく一部」として位置づけることが大切です。

おかもん先生より
「うちの子がご飯食べないんです」で外来に来られて、よく伺うと「15時にポテチとお菓子、17時に牛乳200ml」。これでは夕食が入らないのは当然です。順番を変えるだけで食欲が戻るケースが8割以上あります。
ポイント
- 幼児のおやつは「補食」として1日1〜2回
- 市販のお菓子よりも食事寄りのおやつが理想
- お菓子はおやつの一部として位置づける
だらだら食いはなぜダメなのですか?
ちょこちょこ食べる方が量は摂れていいような気もしますが、どうでしょう。
「だらだら食い」は2つの点で望ましくありません。
第1に、虫歯リスクの上昇です [2]。
米国小児歯科学会(AAPD)は、1日3回を超える間食は虫歯リスクを高い状態に分類しています [2]。糖分や炭水化物が口の中にあるたびに、虫歯菌が酸を作り、歯が溶け出します。食事後の唾液による再石灰化が追いつかなくなります。
第2に、食欲リズムの崩壊です。少量ずつ頻回に食べていると、胃は常に中等量の内容物がある状態になり、明確な空腹サインが出にくくなります [3]。結果として「食事時間になっても食欲がない」状態が常態化します。
| だらだら食いの影響 | メカニズム |
|---|---|
| 虫歯増加 | 口腔内の酸性時間が長い |
| 食欲不振 | 空腹サインが鈍る |
| 満腹感覚の鈍化 | 自律的食欲調整が崩れる |
| 栄養バランス低下 | お菓子中心になりがち |
外来で「夕食を食べない」と相談された時、私は必ずおやつの時間・内容・量を確認します。たいていの場合、そこに原因が見つかります。
おやつの時間を「15時ちょうど」と固定し、量も決めて出す。それ以外の時間は水・麦茶・白湯だけにする。これだけで食欲リズムが1週間で整うケースが多いです。
ポイント
- だらだら食いは虫歯と食欲不振の主因
- 1日3回を超える間食は虫歯リスク「高」に分類
- 時間を固定するだけで食欲リズムが戻る
ジュースや甘いお菓子はどれくらいOKですか?
ジュースやクッキーが大好きで、毎日ほしがります。どこまで許していいですか?
米国小児科学会(AAP)と米国心臓協会(AHA)は、添加糖について以下の基準を示しています [3]。
| 年齢 | 添加糖の上限(1日) |
|---|---|
| 2歳未満 | 添加糖を避ける |
| 2歳以上 | 25g未満(小さじ約6杯) |
| 成人 | 女性25g、男性36g未満 |
また、100%果汁ジュースについては [3]:
| 年齢 | 100%ジュース上限(1日) |
|---|---|
| 1歳未満 | 与えない |
| 1〜3歳 | 120ml以下 |
| 4〜6歳 | 120〜180ml |
| 7〜18歳 | 240ml以下 |
実は市販の果汁飲料や清涼飲料水のほとんどが、1本で1日の上限を超えてしまいます。代表的な例:
- コーラ500ml:添加糖約55g
- オレンジジュース200ml:約20g
- 乳酸菌飲料65ml:約12g
- 市販の甘いクッキー3枚:約10g
これらを日常的に与えていると、ほぼ確実に上限オーバーになります。
2歳未満への添加糖(ジュース・お菓子・甘いヨーグルトなど)は避けるのがWHO・AAPの共通推奨です。味覚形成に影響し、将来の甘味嗜好を強くします。
ポイント
- 2歳以上は添加糖1日25g未満が目安
- 100%ジュースは1〜3歳で120ml以下
- 2歳未満は添加糖を避ける
おやつの時間のルールを教えてください
何時にあげればいいか、量はどれくらいか、具体的に知りたいです。
外来でお伝えしている基本ルールは以下の通りです [1][3]。
| 原則 | 内容 |
|---|---|
| 時間を決める | 毎日同じ時間(例:10時・15時) |
| 場所を決める | 食卓やテーブルで |
| 量を決めて出す | 袋ごと渡さない |
| 食事の2時間前まで | 直前は避ける |
| 水分は水・麦茶 | ジュースは例外的に |
| テレビを見ながらはNG | 食べる量の感覚が鈍る |
| 食後は歯磨きor口ゆすぎ | 虫歯予防 |
量の目安は、1〜2歳で1回100〜150kcal、3〜5歳で1回150〜200kcal程度です [1]。
具体例:
- 1〜2歳:おにぎり小1個+牛乳100ml
- 3〜5歳:バナナ1本+チーズ1個+麦茶
- 小学生:食パン1枚+りんご半分+牛乳150ml

おかもん先生より
外来で「おやつはダメって書いてあるから、あげていいか迷う」と相談されることがありますが、幼児のおやつは制限対象ではなく必要な補食です。量と時間を整えれば「たっぷり堂々と」与えていいんです。そのメッセージが伝わると、親御さんの表情がホッと緩みます。
ポイント
- 時間・場所・量を決めて計画的に
- 食事の2時間前までに終える
- 幼児のおやつは制限対象ではなく補食
今号のまとめ
- 幼児のおやつは1日1〜2回、時間を固定して与える補食
- 添加糖は2歳以上で1日25g未満、2歳未満は避ける
- 100%ジュースは1〜3歳で120ml以下
- だらだら食いは虫歯と食欲不振の主因
- 時間・場所・量を決めれば堂々とあげてOK
あわせて読みたい
- Vol.390「食事量の目安、本当の話」
- Vol.397「おかわりと食べ過ぎ」
- Vol.393「食べムラがひどい」
ご質問・ご感想
お子さんの食事についてお悩みのことがありましたら、お気軽にご相談ください。次回の Vol.397 では「おかわりと食べ過ぎ」についてお話しします。
おかもん先生
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