疥癬(かいせん)は、ヒゼンダニ(疥癬虫)が皮膚に寄生して起こる感染症です。強いかゆみが特徴で、特に夜間に悪化します。集団生活の場での感染が問題になることがあり、正確な診断と治療が重要です。今回は、小児の疥癬についてお伝えします。
疥癬とは?#
夜になるととてもかゆがります
疥癬はヒゼンダニ(Sarcoptes scabiei)が皮膚の角質層に寄生して起こる皮膚感染症です [1]。
| 基本情報 | 詳細 |
|---|---|
| 原因 | ヒゼンダニ(体長0.2-0.4mm、肉眼ではほぼ見えない) |
| 感染経路 | 肌と肌の直接接触(5-15分以上の密接な接触) |
| 潜伏期間 | 4-6週間(初感染の場合) |
| 特徴的な症状 | 強いかゆみ(特に夜間)、疥癬トンネル |
小児の疥癬の特徴
- 大人と分布が異なる(手掌、足底、顔にも出る)
- かゆみで不機嫌になる
- 掻き壊しで二次感染を起こしやすい
- アトピー性皮膚炎と間違われやすい
ポイント
- ヒゼンダニによる皮膚感染症
- 5-15分以上の密接な肌の接触で感染
- 夜間の強いかゆみが特徴
疥癬の症状は?#
どんな発疹が出ますか?
疥癬には特徴的な症状があります [2]。
| 症状 | 特徴 |
|---|---|
| 疥癬トンネル | ダニが皮膚内を掘り進んだ跡。灰白色の線状 |
| 赤い丘疹 | 小さな赤いブツブツ、強いかゆみ |
| 小水疱 | 小さな水ぶくれ |
| かゆみ | 非常に強い。夜間に悪化 |
小児での好発部位
- 手のひら、指の間
- 足の裏
- 腋窩(わきの下)
- おへその周り
- 陰部
- 顔、頭皮(乳児の場合)
「乳児では顔や頭皮にも出るのが特徴です。大人では通常顔には出ないため、乳児の疥癬は見逃されやすいです。」
ポイント
- 疥癬トンネルが特徴的
- 夜間の強いかゆみ
- 乳児では顔・頭皮にも出る
疥癬の治療は?#
どうやって治療しますか?
外用薬と内服薬で治療します [3]。
| 治療法 | 方法 | 特徴 |
|---|---|---|
| ペルメトリンクリーム | 全身に塗布、8-14時間後に洗い流す | 第一選択。1-2回で効果 |
| イベルメクチン内服 | 体重あたりの量を内服 | 簡便。2週間後に2回目 |
| クロタミトンクリーム | 全身に5日間連続塗布 | 効果はやや劣る |
| 硫黄軟膏 | 乳児に安全に使用可能 | 匂いが強い |
治療のポイント
- 外用薬は首から下の全身に塗る(症状がない部分も)
- 乳児は頭・顔も含めて全身に塗る
- 家族全員を同時に治療する
- シーツ・衣類は50℃以上で10分間洗濯
- 治療後もかゆみは2-4週間続くことがある
「治療後のかゆみは、死んだダニへのアレルギー反応です。かゆみが続いても再感染とは限りません。治療後2-4週間はかゆみ止めで対応します。」
ポイント
- 外用薬は全身に塗る
- 家族全員を同時に治療
- 治療後もかゆみは2-4週間続く
家族への感染予防は?#
家族にうつっていないか心配です
家庭内での対策は以下の通りです [4]。
| 対策 | 内容 |
|---|---|
| 家族全員の診察 | 症状がなくても感染している可能性がある |
| 同時治療 | 家族全員を同じ日に治療開始 |
| 寝具の洗濯 | 50℃以上で10分間、または乾燥機 |
| 掃除機 | マットレス、ソファに掃除機をかける |
| 接触の制限 | 治療開始後24時間は密接な接触を避ける |
「疥癬は5-15分以上の肌の密接な接触で感染します。握手や短時間の接触では通常感染しません。ただし、同じ寝具で寝ている家族は感染リスクが高いです。」
ポイント
- 家族全員を同時に治療
- 同じ寝具で寝ている人はリスクが高い
- 短時間の接触では通常感染しない
登園・登校はできますか?#
園を休まなければいけませんか?
治療開始後は登園・登校が可能です [5]。
| 対応 | 内容 |
|---|---|
| 治療開始前 | 園・学校に報告し、対応を相談 |
| 治療開始後 | 外用薬を塗布した翌日から登園可能 |
| 園への情報提供 | 感染拡大防止のため情報共有 |
| 昼寝の対策 | 布団の共有を避ける |
「疥癬は出席停止の対象ではありませんが、集団生活の場での感染拡大を防ぐため、園・学校と連携して対応することが大切です。」
ポイント
- 治療開始後は登園・登校可能
- 出席停止の対象ではない
- 園・学校と連携して対応
今号のまとめ#
- 疥癬はヒゼンダニによる皮膚感染症。夜間の強いかゆみが特徴
- 外用薬は全身に塗る。乳児は顔・頭皮も含む
- 家族全員を同時に治療することが重要
- 治療後のかゆみは2-4週間続くことがある
- 治療開始後は登園・登校可能