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「生まれたときからおしりに青いあざがあるのですが、消えますか?」「背中に茶色いシミがいくつかあって心配です」、赤ちゃんの皮膚に"あざ"があると、親御さんはとても心配されます。あざは医学的には母斑(ぼはん)と呼ばれ、皮膚の色素細胞や血管の発生異常によって生じます [1] 。今回は、あざの種類ごとの特徴、経過、そして受診が必要なケースについてお話しします。
乳児血管腫は生後に現れ成長後に退縮しやすい一方、サーモンパッチなど自然消退する赤いあざもあります。
赤いあざにはどんな種類がありますか?#
生後2週間で額にイチゴのような赤いふくらみができてきました。生まれたときはなかったのですが……
それは乳児血管腫(いちご状血管腫)の可能性が高いです [2] 。赤いあざ(血管性母斑)にはいくつかの種類があり、それぞれ経過がまったく異なります [1] [2]
赤いあざの種類と経過 [1] [2] [3] :
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種類 特徴 好発部位 経過 乳児血管腫(いちご状血管腫) 生後1〜4週で出現。鮮紅色でイチゴのように盛り上がる [2] 顔、頭、体幹 生後4〜6ヶ月でピーク→1歳以降徐々に退縮→多くは5〜7歳までに消退 [2] サーモンパッチ 額の中央、上まぶた、鼻根部の淡いピンクの斑 [3] 顔の正中 1〜2歳までに自然消退するものが多い [3] ウンナ母斑 うなじ(後頸部)の淡いピンクの斑 [3] うなじ 消えないことが多いが、髪に隠れるため問題になりにくい [3] ポートワイン斑(単純性血管腫) 出生時から存在する濃い赤紫色の平坦な斑 [1] 顔、四肢 自然には消えない。加齢とともに暗色化・肥厚する [1]
特徴
生後1〜4週で出現。鮮紅色でイチゴのように盛り上がる [2]
経過
生後4〜6ヶ月でピーク→1歳以降徐々に退縮→多くは5〜7歳までに消退 [2]
特徴
額の中央、上まぶた、鼻根部の淡いピンクの斑 [3]
経過
消えないことが多いが、髪に隠れるため問題になりにくい [3]
特徴
出生時から存在する濃い赤紫色の平坦な斑 [1]
経過
自然には消えない。加齢とともに暗色化・肥厚する [1]
乳児血管腫は"待てば消える"ものが多いのですが、すべてを放置してよいわけではありません [2]
乳児血管腫で治療を検討すべきケース [2] [4] :
ケース 理由 目の周りにある 視力発達への影響(弱視のリスク)[2] 口や鼻の周りにある 哺乳・呼吸への影響 [2] 急速に増大している 潰瘍化・出血のリスク [2] 潰瘍・びらんができている 痛み、感染、瘢痕のリスク [4] 5個以上の多発血管腫 肝臓などの内臓血管腫の合併を精査 [4] 顔面の広範な血管腫 PHACES症候群の可能性を精査 [4]
ケース / 理由
目の周りにある
視力発達への影響(弱視のリスク)[2]
潰瘍・びらんができている
痛み、感染、瘢痕のリスク [4]
5個以上の多発血管腫
肝臓などの内臓血管腫の合併を精査 [4]
顔面の広範な血管腫
PHACES症候群の可能性を精査 [4]
乳児血管腫の治療にはプロプラノロール(ヘマンジオルシロップ)という内服薬が2016年から日本でも使えるようになりました [4] 。増大期に早期から使用すると効果が高いため、気になるあざがある場合は生後早期の受診をおすすめします
ポイント
乳児血管腫(いちご状血管腫)は多くが5〜7歳までに自然消退 [2]
ただし目・口・鼻の周りや急速増大する場合は早期治療が必要 [2] [4]
ポートワイン斑は自然消退しない。レーザー治療の適応がある [1]
サーモンパッチは1〜2歳で自然消退。心配不要 [3]
おしりの蒙古斑は日本人乳児の多くにみられ、学童期までにほぼ消えます。異所性は消えにくいことがあります。
青いあざは蒙古斑ですよね? 消えますか?#
おしり以外にも、背中や腕に青いあざがあります。これも蒙古斑でしょうか? いつ消えますか?
おしりの青いあざは蒙古斑で、日本人の赤ちゃんの約90%以上に見られます [5] 。ただし、おしり以外の場所にある青いあざは"異所性蒙古斑"と呼ばれ、経過が少し異なります [5]
青いあざの種類と経過 [1] [5] [6] :
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種類 特徴 好発部位 経過 蒙古斑 出生時からある青灰色の斑 [5] おしり、腰 学童期(5〜10歳)までにほぼ消退 [5] 異所性蒙古斑 おしり以外にある蒙古斑 [5] 背中、肩、四肢 通常の蒙古斑より消えにくいことがある [5] 太田母斑 顔面(三叉神経領域)の青褐色斑 [6] 目の周り、額、頬 自然消退しない。思春期に濃くなる [6] 青色母斑 小さな(1cm以下)青黒い結節 [1] 手背、足背 自然消退しない [1]
蒙古斑はメラノサイト(色素細胞)が真皮の深い層に残っているために青く見えます [5] 。通常の蒙古斑は成長とともにメラノサイトが減少して消えますが、異所性蒙古斑や太田母斑は消えにくい傾向があります [5] [6]
太田母斑は顔にできるんですね。治療はできますか?
はい。太田母斑にはQスイッチレーザーが非常に有効です [6] 。早期(乳児期〜幼児期)から治療を開始すると効果が高く、日本では保険適用で治療を受けられます [6] 。レーザー治療は複数回必要ですが、多くの場合きれいに薄くなります
青いあざの治療の要否 [5] [6] :
種類 治療の必要性 蒙古斑(おしり・腰) 不要。自然消退する [5] 異所性蒙古斑 多くは不要。消えにくい場合はレーザー治療を検討 [5] 太田母斑 レーザー治療が推奨。保険適用。早期治療が効果的 [6] 青色母斑 通常は不要。大きいもの(>1cm)は経過観察 [1]
種類 / 治療の必要性
異所性蒙古斑
多くは不要。消えにくい場合はレーザー治療を検討 [5]
太田母斑
レーザー治療が推奨。保険適用。早期治療が効果的 [6]
青色母斑
通常は不要。大きいもの(>1cm)は経過観察 [1]
ポイント
蒙古斑は学童期までにほぼ消退。心配不要 [5]
異所性蒙古斑(おしり以外)は消えにくいことがある [5]
太田母斑は自然消退しないがレーザー治療(保険適用)で改善できる [6]
太田母斑の治療は早期開始が効果的 [6]
カフェオレ斑が1〜2個なら多くは問題ありません。6個以上では神経線維腫症の精査を検討します。
茶色いあざが複数あるのですが、病気のサインですか?#
赤ちゃんの体に茶色いシミのようなものが4〜5個あります。"カフェオレ斑"というものだと聞いたのですが、何か病気に関係ありますか?
カフェオレ斑は、その名の通りカフェオレ色(薄茶色)の均一な色素斑です [7] 。1〜2個ならば健常な人にも見られ問題ありません [7] 。ただし、6個以上ある場合は"神経線維腫症1型(NF1)"という遺伝性疾患を疑う必要があります [7] [8]
カフェオレ斑と神経線維腫症1型(NF1)の診断基準 [7] [8] :
NF1の診断基準(以下のうち2つ以上で診断) 詳細 カフェオレ斑 6個以上 思春期前:最大径5mm以上が6個以上 / 思春期後:最大径15mm以上が6個以上 [8] 神経線維腫 2個以上 または叢状神経線維腫1個以上 [8] 腋窩・鼠径部の雀卵斑(そばかす様色素斑) "freckling" と呼ばれる [8] 視神経膠腫 視力障害の原因になる [8] 虹彩のリッシュ結節 2個以上 眼科的検査で確認 [8] 骨の異常 蝶形骨異形成、長管骨の弯曲など [8] 第一度近親者にNF1 親や兄弟にNF1がある [8]
NF1の診断基準(以下のうち2つ以上で診断) / 詳細
カフェオレ斑 6個以上
思春期前:最大径5mm以上が6個以上 / 思春期後:最大径15mm以上が6個以上 [8]
神経線維腫 2個以上
または叢状神経線維腫1個以上 [8]
腋窩・鼠径部の雀卵斑(そばかす様色素斑)
"freckling" と呼ばれる [8]
虹彩のリッシュ結節 2個以上
眼科的検査で確認 [8]
第一度近親者にNF1
親や兄弟にNF1がある [8]
NF1は約3,000人に1人の頻度で発生する比較的頻度の高い遺伝性疾患です [7] 。カフェオレ斑は出生時から存在し、年齢とともに数が増えることがあります [7] 。お子さんにカフェオレ斑が複数ある場合は、数を数えて小児科に相談してください
4〜5個の場合はまだ大丈夫ですか?
4〜5個の段階では経過観察で構いません [7] 。ただし、新たに増えていないか定期的に確認することと、腋窩のそばかす様色素斑がないかも確認してください [8] 。もし6個以上になったり、他の所見が出てきた場合は精査が必要です
その他の茶色いあざ [1] [7] :
種類 特徴 経過 扁平母斑 淡褐色の平坦な斑。カフェオレ斑より色が薄いことがある [1] 自然消退しない。美容的にQスイッチレーザーを試みるが再発しやすい [1] ベッカー母斑 思春期に出現する片側性の褐色斑+多毛 [1] 自然消退しない [1]
特徴
淡褐色の平坦な斑。カフェオレ斑より色が薄いことがある [1]
経過
自然消退しない。美容的にQスイッチレーザーを試みるが再発しやすい [1]
ポイント
カフェオレ斑は1〜2個なら問題なし。6個以上で神経線維腫症1型(NF1)を疑う [7] [8]
NF1の診断基準は7項目中2つ以上 [8]
カフェオレ斑が複数ある場合は数の変化を経過観察 [7]
心配な場合は小児科に相談を
黒いあざは大きさで経過が変わり、白いあざも種類があります。多くは経過観察ですが巨大母斑は注意です。
黒いあざと白いあざについても教えてください#
黒いあざや白いあざもあると聞きました。それぞれどんなものですか?
はい。黒いあざ(色素性母斑)と白いあざ(脱色素斑)について、それぞれ解説しますね [1] [9]
黒いあざ(色素性母斑)[1] [9] :
種類 特徴 注意点 先天性色素性母斑(先天性ほくろ) 出生時から存在する黒〜褐色の母斑 [9] 大きさによりリスクが異なる 小型(<1.5cm) 一般的なほくろと同様 悪性化リスクはきわめて低い [9] 中型(1.5〜20cm) 体表面の一部を占める 悪性化リスクはやや高い。経過観察が必要 [9] 巨大型(>20cm) 体幹や四肢の広範囲を覆う。「獣皮様母斑」とも呼ばれる [9] 悪性黒色腫のリスク(5〜10%)。専門施設でのフォローが必要 [9]
注意点
悪性化リスクはやや高い。経過観察が必要 [9]
特徴
体幹や四肢の広範囲を覆う。「獣皮様母斑」とも呼ばれる [9]
注意点
悪性黒色腫のリスク(5〜10%)。専門施設でのフォローが必要 [9]
巨大先天性色素性母斑は皮膚悪性黒色腫(メラノーマ)のリスク因子です [9] 。早期に専門施設(小児外科・形成外科・皮膚科)に紹介し、計画的な切除や経過観察を行います [9] 。小型のものは通常の"ほくろ"と同様に経過観察で問題ありません
白いあざ(脱色素性母斑)[1] [10] :
種類 特徴 注意点 脱色素性母斑 出生時から存在する白い斑 [1] 通常は問題ないが、以下を除外する 貧血性母斑 白く見えるが色素は正常(血管の反応が乏しい)[1] 問題なし 結節性硬化症の白斑(白色葉状斑) 木の葉型の白斑。3個以上で結節性硬化症を疑う [10] てんかん、知的障害、心臓腫瘍の合併を精査 [10] 尋常性白斑 後天性の脱色素斑。境界明瞭で徐々に拡大 [1] 自己免疫性疾患 [1]
特徴
白く見えるが色素は正常(血管の反応が乏しい)[1]
特徴
木の葉型の白斑。3個以上で結節性硬化症を疑う [10]
注意点
てんかん、知的障害、心臓腫瘍の合併を精査 [10]
特徴
後天性の脱色素斑。境界明瞭で徐々に拡大 [1]
結節性硬化症(TSC)で注意すべきサイン [10] :
皮膚所見 その他の所見 白色葉状斑(木の葉型白斑)3個以上 てんかん(点頭てんかん等)[10] 顔面血管線維腫(思春期以降) 心臓横紋筋腫(胎児〜乳児期)[10] シャグリンパッチ(腰の皮膚の隆起) 腎血管筋脂肪腫 [10] 爪周囲線維腫 脳の結節 [10]
皮膚所見 / その他の所見
白色葉状斑(木の葉型白斑)3個以上
てんかん(点頭てんかん等)[10]
顔面血管線維腫(思春期以降)
心臓横紋筋腫(胎児〜乳児期)[10]
シャグリンパッチ(腰の皮膚の隆起)
腎血管筋脂肪腫 [10]
白い斑が3つ以上ある赤ちゃんは、結節性硬化症の可能性を考えて検査を行うことがあります [10] 。ウッド灯(紫外線ランプ)で照らすと白斑がより明瞭に確認できます [10] 。てんかんの既往がある赤ちゃんに白斑がある場合は、特に注意が必要です
ポイント
巨大先天性色素性母斑(>20cm)は悪性黒色腫のリスクがあり、専門施設でのフォローが必要 [9]
白色葉状斑が3個以上ある場合は結節性硬化症を疑う [10]
結節性硬化症はてんかん・心臓腫瘍・腎腫瘍を合併しうる [10]
小型のほくろや1〜2個の白斑は通常問題ない [1] [9]
蒙古斑やサーモンパッチは経過観察が多い一方、急速増大、多数のカフェオレ斑、巨大母斑などは受診を。
あざで受診すべきケースを整理して教えてください#
あざにもいろいろな種類があることがわかりました。結局、どんなあざだったら病院に行くべきなのか、まとめていただけますか?
はい。経過観察でよいケースと受診が必要なケースを一覧にまとめますね [1] [2] [5] [7] [9] [10]
経過観察でよいあざ:
あざの種類 理由 蒙古斑(おしり・腰) 学童期までに自然消退する [5] サーモンパッチ 1〜2歳までに自然消退する [3] 小さなほくろ(<1.5cm) 悪性化リスクはきわめて低い [9] 1〜2個のカフェオレ斑 健常者にも見られる [7] 1〜2個の小さな白斑 脱色素性母斑として経過観察 [1]
あざの種類 / 理由
蒙古斑(おしり・腰)
学童期までに自然消退する [5]
小さなほくろ(<1.5cm)
悪性化リスクはきわめて低い [9]
1〜2個の小さな白斑
脱色素性母斑として経過観察 [1]
受診が必要なあざ:
あざの種類 受診先 理由 乳児血管腫(目・口・鼻の近く) 小児科・皮膚科 視力・呼吸への影響 [2] [4] 急速に増大する乳児血管腫 小児科・皮膚科 潰瘍化リスク。プロプラノロール治療の適応 [4] ポートワイン斑(顔面) 皮膚科・形成外科 自然消退しない。レーザー治療は早期が効果的 [1] 太田母斑 皮膚科 自然消退しない。レーザー治療(保険適用)[6] カフェオレ斑 6個以上 小児科 神経線維腫症1型(NF1)の精査 [7] [8] 巨大先天性色素性母斑(>20cm) 小児外科・形成外科・皮膚科 悪性黒色腫のリスク [9] 白色葉状斑 3個以上 小児科 結節性硬化症の精査 [10] あざの形・色・大きさが変化した 皮膚科 悪性変化の除外
理由
潰瘍化リスク。プロプラノロール治療の適応 [4]
理由
自然消退しない。レーザー治療は早期が効果的 [1]
理由
自然消退しない。レーザー治療(保険適用)[6]
理由
神経線維腫症1型(NF1)の精査 [7] [8]
"あざ=すべて心配"ではありませんし、"あざ=すべて放置でよい"でもありません [1] 。大切なのはあざの種類を正しく診断してもらうことです。心配なあざがある場合は、まず小児科や皮膚科を受診して、経過観察でよいのか、治療が必要なのかを判断してもらいましょう
レーザー治療は何歳から受けられますか?
あざの種類によりますが、太田母斑やポートワイン斑は早期(乳児期〜)からの治療が推奨されています [1] [6] 。皮膚が薄い時期のほうがレーザーの効果が高く、治療回数も少なくて済む傾向があります [6] 。ただし、すべてのあざに早期治療が必要なわけではないので、専門医と相談して最適なタイミングを決めましょう
ポイント
蒙古斑・サーモンパッチは自然消退するので経過観察でOK [3] [5]
6個以上のカフェオレ斑、3個以上の白斑は精査が必要 [7] [10]
顔面のあざや急速に変化するあざは早めに受診を [1] [2]
レーザー治療は早期開始が効果的なタイプがある [6]
まとめ#
あざ(母斑)は赤・青・茶・黒・白の5色に分類でき、それぞれ原因と経過が異なる [1]
乳児血管腫は多くが自然消退するが、目・口の近くや急速増大するものは早期治療が必要 [2] [4]
蒙古斑は学童期までに消退。太田母斑は消えないがレーザー治療(保険適用)で改善できる [5] [6]
カフェオレ斑が6個以上で神経線維腫症1型(NF1)を疑う [7] [8]
白色葉状斑が3個以上で結節性硬化症を疑う。てんかんなどの合併症に注意 [10]
巨大先天性色素性母斑は悪性黒色腫のリスクがあり、専門施設でのフォローが必要 [9]