愛育病院 小児科おかもん先生 だより Vol.464
「まだ仕上げ磨きが必要?」、幼児期の歯磨き・虫歯予防・指しゃぶり
こんにちは。愛育病院小児科のおかもん先生です。
「仕上げ磨きを嫌がるようになりました」「おやつの後の歯磨きは必要ですか」「指しゃぶりが歯並びに悪いと聞きました」、3〜6歳の幼児期は乳歯列が完成し、奥歯の溝や歯と歯の間に虫歯ができやすくなる時期です。令和4年度の歯科疾患実態調査では3歳児の虫歯有病率は全国平均で約11%、5歳児では約30%に達します [1]。今回は、幼児期の歯磨き・フッ素・おやつ・指しゃぶりについて整理します。
Q1.「仕上げ磨きはいつまで必要ですか?」
——4歳になり自分で磨きたがります。仕上げ磨きはもう不要ですか?
幼児期は自分で磨く力がまだ未熟で、特に奥歯・歯と歯の間・上の前歯の裏側は磨き残しが多い部位です [2]。日本小児歯科学会は、少なくとも就学前(6歳頃)まで、可能であれば小学校低学年まで保護者の仕上げ磨きを継続することを推奨しています [2]。
| 仕上げ磨きのポイント [2] |
|---|
| 寝かせ磨きで口の中がよく見える姿勢に |
| 1日1回、就寝前は必ず行う |
| 1〜2分を目安に時間をかけすぎない |
| 上唇小帯(上の前歯の裏のスジ)を指で押さえて痛みを防ぐ |
| 奥歯の溝・歯と歯の間を重点的に |
| 磨き残しが多い部位 [2] |
|---|
| 上の前歯の唇側(唾液が届きにくい) |
| 奥歯の咬合面の溝 |
| 歯と歯の間 |
| 歯と歯肉の境目 |
ポイント
- 就学前まで仕上げ磨きを継続 [2]
- 就寝前は必ず行う [2]
- 奥歯と歯間を重点的に [2]
Q2.「フッ素はどれくらい使えばよいですか?」
——歯磨き粉のフッ素量とうがいの方法を教えてください
日本口腔衛生学会・日本小児歯科学会等の4学会合同推奨では、3〜5歳は1,000ppmのフッ化物配合歯磨剤を『グリーンピース大』(5mm)使用します [2]。歯磨き後は少量の水でうがいを1回のみ、もしくはうがい無しにすると、フッ素が口腔内に残り効果が持続します [2]。
| 年齢別フッ素使用基準(4学会合同推奨 2023) [2] |
|---|
| 歯が生えてから2歳:1,000ppm、米粒大(1〜2mm) |
| 3〜5歳:1,000ppm、グリーンピース大(5mm) |
| 6歳以上:1,000〜1,500ppm、えんどう豆大(1〜2cm) |
| 歯科医院でのフッ素塗布 [2] |
|---|
| 3〜6か月ごとの高濃度フッ化物塗布 |
| 自宅の歯磨剤と併用で効果倍増 |
| 港区の医療費助成で自己負担が軽減 |
| うがいの注意点 [2] |
|---|
| うがいは少量の水(5〜15mL)で1回 |
| 歯磨き後30分は飲食を控える |
| ブクブクうがいができない幼児はガーゼで拭うだけでも可 |
ポイント
- 3〜5歳は1,000ppm・グリーンピース大 [2]
- うがいは少量・1回がコツ [2]
- 歯科でのフッ素塗布を併用 [2]
Q3.「おやつが多いと虫歯になりやすいですか?」
——ダラダラ食べが虫歯に悪いと聞きました。回数と内容、どちらが大事ですか?
虫歯リスクは『糖分の摂取量』より『摂取頻度』の影響が大きいことが知られています [4]。食事や間食のたびに口腔内は酸性に傾き、唾液で中性に戻るまでに30〜60分かかります。間食の回数が多いほど歯が酸にさらされる時間が長くなり、虫歯リスクが上昇します [4]。
| おやつの与え方 [4] |
|---|
| 1日2回までにまとめる |
| 時間を決めてダラダラ食べを避ける |
| ジュース・乳酸菌飲料を哺乳瓶で飲ませない |
| 就寝前の飲食は避ける(唾液分泌が減る) |
| 水・お茶で口をすすぐ習慣 |
| 虫歯になりにくい間食の例 [4] |
|---|
| チーズ・ヨーグルト(無糖) |
| 果物(生) |
| おにぎり・蒸しパン |
| 煮干し・小魚 |
| キシリトール配合のタブレット(3歳以降) |
| 虫歯になりやすい間食 [4] |
|---|
| キャラメル・グミ(歯に付着しやすい) |
| ラムネ・飴(長時間口内に留まる) |
| 清涼飲料水・スポーツドリンク(酸性+糖分) |
| ダラダラ食べのビスケット |
ポイント
- 頻度が量より重要 [4]
- 1日2回までにまとめる [4]
- 飲み物の選び方も大事 [4]
Q4.「指しゃぶりは歯並びに悪いですか?」
——4歳でもまだ指しゃぶりをしています。やめさせるべきですか?
指しゃぶりは乳児期には自然な行動で、多くは4〜5歳までに自然に消失します [3]。しかし4歳以降も続くと開咬(前歯が噛み合わない)・上顎前突(出っ歯)・交叉咬合などの不正咬合との関連が報告されています [3]。日本小児歯科学会は4歳頃までを目安に卒業を促すことを推奨しています [3]。
| 指しゃぶりが歯並びに及ぼす影響 [3] |
|---|
| 開咬:前歯の間に隙間ができる |
| 上顎前突:上の前歯が前に傾く |
| 交叉咬合:上下の奥歯の噛み合わせがずれる |
| 構音障害:サ行・タ行が不明瞭になる |
| やめさせ方のコツ [3] |
|---|
| 叱らず、本人の気持ちを受け止める |
| 日中の手持ち無沙汰な時間を減らす |
| 就寝時は手をつないで入眠 |
| カレンダーに記録してがんばりを可視化 |
| 4歳以降も継続する場合は歯科・小児科に相談 |
| 受診の目安 [3] |
|---|
| 4歳を過ぎても日中も頻繁に続く |
| すでに開咬・上顎前突が目立つ |
| 発音が不明瞭 |
| 爪噛み・舌突出癖なども重なる |
ポイント
- 4歳頃までに卒業が目標 [3]
- 開咬・上顎前突との関連あり [3]
- 叱らず環境調整から [3]
Q5.「歯医者さんを嫌がります。定期健診は本当に必要ですか?」
——診察を怖がって泣きます。無理に連れて行くべきですか?
幼児期の虫歯は進行が早く、痛みが出た時には歯髄(神経)まで達していることも珍しくありません [1]。定期健診は虫歯の早期発見とフッ素塗布・ブラッシング指導を目的とし、3〜6か月ごとの受診が推奨されます [2]。歯科医院に慣れる『トレーニング受診』としても役立ちます [2]。
| 定期健診で行うこと [2] |
|---|
| 虫歯のチェック |
| 歯石・プラークの除去 |
| 高濃度フッ化物塗布 |
| ブラッシング指導 |
| 咬合・歯列のチェック |
| 歯科嫌いを減らす工夫 [2] |
|---|
| 痛くない時に受診する |
| 絵本・動画で事前にイメージづくり |
| 小児歯科専門医を選ぶ |
| 初回は診察台に座るだけでもOK |
| 受診後にご褒美でなく言葉で褒める |
| 港区の歯科助成 [5] |
|---|
| 子ども医療費助成で自己負担なし |
| 区内の多くの歯科で利用可能 |
| 健診・予防処置にも適用 |
ポイント
- 3〜6か月ごとの定期健診 [2]
- 痛くない時の受診が大事 [2]
- 港区は自己負担なし [5]
Q6.「おしゃぶりの使用は問題ありますか?」
——2歳ですがまだおしゃぶりを使っています。いつまでに卒業すべきですか?
日本小児歯科学会はおしゃぶりの使用は2歳頃までに減らし、遅くとも3歳までには卒業することを推奨しています [3]。3歳以降の継続使用は開咬・上顎前突との関連が報告されています [3]。指しゃぶりと比べると物理的に取り外せるため卒業は比較的容易です [3]。
| おしゃぶり卒業の目安 [3] |
|---|
| 2歳頃から使用時間を減らす |
| 3歳までには完全卒業 |
| 日中→就寝前の順で減らす |
| 言葉の発達の時期は使用を控える |
| 開咬・上顎前突が生じた場合 [3] |
|---|
| 多くは卒業後1〜2年で自然改善 |
| 4歳以降も残る場合は歯科相談 |
| 混合歯列期に矯正相談を検討 |
ポイント
- 3歳までに卒業が目標 [3]
- 言葉の発達期は控える [3]
- 卒業後1〜2年で改善することが多い [3]
今号のまとめ
- 就学前まで仕上げ磨きを継続、就寝前は必ず行う [2]
- 3〜5歳は1,000ppm・グリーンピース大のフッ化物歯磨剤 [2]
- 虫歯リスクは糖分の「摂取頻度」が重要、1日2回までに [4]
- 指しゃぶりは4歳頃まで、おしゃぶりは3歳までの卒業が目標 [3]
- 3〜6か月ごとの定期歯科健診で早期発見・フッ素塗布 [2]
- 港区は子ども医療費助成で歯科治療も自己負担なし [5]
あわせて読みたい
- Vol.463「学童期の歯のトラブルと矯正のタイミング」
- Vol.178「小児の虫歯予防」
- Vol.245「歯のケガ」
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