愛育病院 小児科おかもん先生 だより Vol.206
「耳がかゆい、痛い」、外耳炎
こんにちは。愛育病院小児科のおかもん先生です。
「プールの帰り道から耳を痛がって……」、夏場によく聞く訴えです。鼓膜の手前の皮膚(外耳道)に炎症が起きた状態、これが外耳炎で、海外では「スイマーズイヤー」と呼ばれています。中耳炎と混同されがちですが、原因も治療もまったく別物です。
Q1.「外耳炎って、どんな病気ですか?」
——プールの後から耳が痛いと言っていて。中耳炎でしょうか?
耳たぶを軽く引っ張ってみてください。『痛い!』となれば、中耳炎ではなく外耳炎のサインです [1]。外耳道の皮膚に細菌が感染して腫れている状態ですね
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 主な原因菌 | 緑膿菌、黄色ブドウ球菌 [1] |
| 誘因 | 水泳、耳かき、湿気のこもる環境 |
| 症状 | 耳の痛み、かゆみ、耳だれ |
| 典型所見 | 耳介牽引痛(耳たぶを引っ張ると痛い)[1] |
中耳炎との違いを一言で:
炎症の場所
- 外耳炎
- 鼓膜より外側(外耳道)
- 中耳炎
- 鼓膜より奥(中耳)
耳たぶを引っ張ると
- 外耳炎
- 痛い
- 中耳炎
- 痛くない
ポイント
- 鼓膜の手前の皮膚の炎症
- 耳たぶを引っ張ると痛いのが外耳炎の特徴
- プールや耳かきのあとに多い
Q2.「どうしてなるんですか?」
——うちはお風呂上がりにいつも耳掃除をしていました。それが原因でしょうか
可能性は高いです。外耳道の皮膚バリアが壊れると細菌が入り込みやすくなります [2]。耳かきはその皮膚を削っているようなものなんですね
| きっかけ | 何が起きているか |
|---|---|
| 耳かきのしすぎ | 外耳道の皮膚を微細に傷つける |
| 水泳・プール | 水で皮膚がふやけてバリアが低下 |
| イヤホンの長時間使用 | 湿度が上がり細菌が増えやすい |
| アトピー性皮膚炎 | もともとバリア機能が弱い |
| 異物 | 小さな物が入って炎症を起こす |
大原則として、耳かきは基本的に不要です。耳あかは外耳道の自浄作用で自然に外へ出てきます。かえって耳かきで押し込んだり皮膚を傷つけたりして外耳炎をつくっているケースが圧倒的に多いです
ポイント
- 耳かきのしすぎが最大の原因
- 耳あかは自然に出るので深追いしない
- 水泳後は耳の入り口を軽く乾かす
Q3.「治療はどうするんですか?」
——飲み薬を出されるのでしょうか?
外耳炎は『耳の表面の感染』なので、飲み薬よりも点耳薬(耳に入れる薬)が主役です [3]。抗菌薬とステロイドが一緒に入ったものを使うことが多いです
| 治療 | 内容 |
|---|---|
| 点耳薬 | 抗菌薬+ステロイドの配合剤が第一選択 [3] |
| 外耳道の清掃 | 耳鼻科で膿や耳あかを取り除く |
| 鎮痛薬 | アセトアミノフェンで痛みを抑える |
| 内服抗菌薬 | 重症例や周囲に炎症が広がっている場合に追加 |
点耳薬の使い方(家でやるとき):
| 手順 | 内容 |
|---|---|
| 1 | 患側の耳を上にして横になる |
| 2 | 処方された滴数を耳に垂らす |
| 3 | そのまま5分じっとしている |
| 4 | 1日2〜3回、7〜10日続ける [4] |
多くは24〜48時間で痛みが和らぎはじめます。ただ『楽になったから』と早くやめると再燃するので、処方された日数は最後まで続けてください [4]
ポイント
- 主役は点耳薬、飲み薬は重症時のみ
- 正しい姿勢で5分キープが効き目のコツ
- 7〜10日は途中でやめない
Q4.「プールに入ってもいいですか?」
——スイミングスクールがあるのですが、休ませた方がいいですか?
治療中はプールはお休みしてください [4]。せっかく治りかけた外耳道をまた水で浸してしまうと、ぶり返しやすくなります
| 時期 | 対応 |
|---|---|
| 治療中 | プール・水泳は中止 |
| 治癒後 | 医師の確認を受けてから再開 |
| 再開後の予防 | 水泳後はタオルで耳の入り口を拭く |
| 耳栓 | 繰り返すお子さんは使用を検討 |
プール再開後は、泳いだ後に頭を左右に傾けて水を出し、タオルで軽く押さえて水気を取る、この習慣だけでも再発はぐっと減ります
ポイント
- 治療中はプールを休む
- 再開後は水泳後に耳を乾かす
- 繰り返す子は耳栓も一手
Q5.「耳掃除はまったくしなくていいんですか?」
——全然しないのも不衛生じゃないかと思って……
よくあるご心配ですね。でも実は、耳あかには抗菌作用と保湿作用があって、外耳道の皮膚を守る役目をしています [5]。取りすぎる方がデメリットが大きいんです
| 耳あかについて | 内容 |
|---|---|
| 自然排出 | 顎の動きに合わせて入口側へ押し出される |
| 保護作用 | 抗菌・保湿で外耳道を守る [5] |
| 耳かきの害 | 奥に押し込む、皮膚を傷つける |
| 綿棒の使い方 | 耳の入り口を軽く拭く程度に留める |
| 耳垢栓塞 | 詰まって聞こえが悪い時は耳鼻科へ |
気になる時は月1回、お風呂上がりに綿棒で耳の入口だけ軽く拭う、それで十分です。奥まで入れる必要はありません
ポイント
- 耳かきは基本的に不要
- 耳あかは保護物質と理解する
- 詰まって困る時だけ耳鼻科で除去
今号のまとめ
- 外耳炎は外耳道の炎症。耳を引っ張ると痛い
- 耳かきのしすぎが最大の原因
- 点耳薬が治療の基本
- 治療中はプールは休む
- 耳かきは基本的に不要。耳垢は自然に出る
あわせて読みたい
- Vol.204「急性中耳炎」
- Vol.205「滲出性中耳炎」
- Vol.174「子どもの乾燥肌とスキンケア」
ご質問・ご感想
「プールの後に耳が痛くなりました」「耳かきの頻度が気になります」など、ご経験やご質問がございましたら、お気軽にお寄せください。
愛育病院 小児科 おかもん先生
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