「りんごを食べると口の中がかゆくなる」「キウイを食べたら唇が腫れた」。こうした症状をお子さんから聞いたことはありませんか? 花粉症があるお子さんで、特定の果物や野菜を食べたときに口の中に症状が出る場合、それは「口腔アレルギー症候群(OAS)」かもしれません。花粉-食物アレルギー症候群(PFAS)とも呼ばれます。
今回は、OASの原因と対処法について解説します。
なぜ花粉症があると果物で症状が出るのですか#
花粉に含まれるアレルゲンタンパク質と、一部の果物・野菜に含まれるタンパク質の構造がよく似ているためです。これを「交差反応」と呼びます [1][2]。
免疫系は花粉に対してIgE抗体を作りますが、この抗体が構造の似た果物のタンパク質にも反応してしまい、口の粘膜に接触した瞬間にアレルギー症状を引き起こします。
| 花粉 | 交差反応しやすい食品 |
|---|---|
| シラカバ・ハンノキ(春) | りんご、もも、さくらんぼ、梨、キウイ、大豆、ヘーゼルナッツ |
| スギ・ヒノキ(春) | トマト(まれ) |
| カモガヤ(イネ科、初夏) | メロン、スイカ、トマト、オレンジ |
| ブタクサ(秋) | メロン、スイカ、バナナ、きゅうり、ズッキーニ |
| ヨモギ(秋) | セロリ、にんじん、マンゴー |
特にシラカバ・ハンノキの花粉症がある方は、バラ科の果物(りんご、もも、さくらんぼなど)でOASが出やすいことが知られています。
症状はどのくらい深刻ですか#
OASの症状の多くは口腔内に限られ、食べてから5〜10分以内に現れます [2][3]。
| 症状の程度 | 具体的な症状 | 頻度 |
|---|---|---|
| 軽症(大多数) | 口の中のかゆみ、唇の腫れ、のどのイガイガ感 | 約90% |
| 中等症 | 口腔症状に加え、じんましん、腹痛 | 約8〜9% |
| 重症 | アナフィラキシー(呼吸困難、血圧低下) | 約1〜2% |
多くの場合は軽症で、食べるのをやめれば15〜30分程度で自然に改善します。ただし、約1〜2%の方ではアナフィラキシーに進行するとの報告があり、油断は禁物です [3]。
特に注意が必要な場面:
- 大量に食べたとき
- 空腹時に食べたとき
- 運動と組み合わさったとき
- 体調が悪いとき
加熱すれば食べられますか#
OASの原因となるタンパク質(主にPR-10ファミリーやプロフィリン)は熱に弱いため、加熱すると変性してアレルゲン性が失われます [4]。
| 状態 | 食べられる可能性 | 例 |
|---|---|---|
| 生 | 症状が出る | 生のりんご、もも |
| 加熱調理 | 多くの場合食べられる | りんごジャム、コンポート、焼きりんご |
| 缶詰 | 多くの場合食べられる | 桃缶、みかん缶 |
| ジュース(加熱殺菌済み) | 食べられることが多い | 100%果汁ジュース |
ただし、ナッツ類(ヘーゼルナッツなど)やセロリに含まれるアレルゲンの一部は加熱に強いものもあるため、一概に「加熱すれば安全」とは言えません [4]。初めて加熱した状態で試す場合も、少量から始めてください。
治療法や対処法はありますか#
OASの基本的な対処法は、症状が出る食品を生の状態で避けることです [5]。
| 対処法 | 内容 |
|---|---|
| 原因食品の回避(生食) | 症状が出る果物・野菜を生で食べない |
| 加熱して食べる | 加熱調理で対応可能なことが多い |
| 花粉症の治療 | 舌下免疫療法などの花粉症治療で、OASが改善する報告もある |
| 抗ヒスタミン薬 | 軽症なら事前服用で症状を軽減できることがある |
花粉症そのものの治療(特に舌下免疫療法)によって、OASの症状も改善するという報告がありますが、まだエビデンスは限定的です [5]。
まとめ#
- OASは花粉症と関連した食物アレルギーの一種
- シラカバ花粉症ではバラ科の果物、ブタクサ花粉症ではウリ科の果物に注意
- 症状の約90%は口腔内に限られ軽症だが、約1〜2%でアナフィラキシーの報告あり
- 加熱で原因タンパク質が変性するため、加熱調理で食べられることが多い
- 花粉症の治療がOAS改善につながる可能性がある