愛育病院 小児科おかもん だより Vol.352
保育園デビューの「洗礼」、入園後の発熱ラッシュ、何回休むのが普通?
今号のポイント
- 2入園1年目は年間10〜15回の感染症にかかるのが「正常」。免疫の学校に通っていると思って
- 4RSウイルス、アデノウイルス、ヒトメタニューモウイルスが三大犯人
- 6「また熱?」と思ったら、受診の目安は38.5℃以上が3日続くとき
こんにちは。愛育病院小児科のおかもん先生です。
「4月に入園してから、もう5回目の発熱です」「職場に電話するのが怖くて」。春の外来はこんな相談であふれます。保育園の「洗礼」、耳にしたことがある方も多いはずです。
今回は、入園後の発熱ラッシュの正体、よく出会うウイルス、受診と仕事を休む目安をQ&Aで整理します。
Q1.「入園してから毎月熱を出します。何回くらいが普通なんですか?」
——もう数えるのが嫌になるくらい熱を出しています。これって異常ですか?
年間10〜15回の感染症は、入園1年目の"標準コース"です [1]。異常ではありません
入園前後の感染頻度の違い:
年間の感染回数
- 家庭保育
- 6〜8回
- 保育園1年目
- 10〜15回
- 保育園2年目以降
- 6〜8回
備考
- 家庭保育
- 主に家族からの感染 [1]
- 保育園1年目
- 月1〜2回ペース [2]
- 保育園2年目以降
- 家庭保育児と同程度に収束 [3]
つまり、入園1年目だけ一時的に感染回数が倍になるイメージです。免疫の"学校"に通い始めたと考えてください [2]。200種類以上あるウイルスに一つずつ出会い、抗体を獲得していく過程なのです [1]
ポイント
- 入園1年目は 年間10〜15回の感染が正常 [1][2]
- 2年目以降は 目に見えて減る [3]
- 今の発熱は、将来の欠席を減らすための"投資"
Q2.「毎回違う病気をもらってきます。犯人はどんなウイルスですか?」
——先週はRSウイルス、今週はアデノウイルスって言われました。種類が多すぎて……
保育園で流行する"三大犯人"を押さえておきましょう [4]
保育園の三大犯人ウイルス:
| ウイルス | 主な症状 | 流行ピーク | 特徴 |
|---|---|---|---|
| RSウイルス | 咳・鼻水 → ゼーゼー | 秋〜冬 | 0歳児で重症化しやすい [4] |
| アデノウイルス | 高熱5日前後 + 咽頭痛 | 夏〜秋 | プール熱・流行性角結膜炎の原因 [5] |
| ヒトメタニューモウイルス(hMPV) | RSウイルスに似た咳・喘鳴 | 春 | 3〜6月に流行する"春のRS" [6] |
この3つに加えて、ライノウイルス、パラインフルエンザウイルス、ノロウイルス、ロタウイルスなどが入れ替わり立ち替わりやってきます。一度かかったウイルスには免疫がつくので、2年目には同じ病気を繰り返す頻度がぐっと下がります [3]
ポイント
- RSウイルス・アデノウイルス・hMPVが三大犯人 [4][5][6]
- 一度かかれば免疫がつき、2回目以降は軽症で済むことが多い [3]
- ウイルスの種類が多いから、何度も違う病気にかかるように見える
Q3.「『また熱?』と思ったとき、受診の目安はどこですか?」
——正直、毎回病院に連れて行くべきか迷います。微熱でも受診したほうがいいですか?
すべての発熱で受診する必要はありません。ただし、以下の『赤信号』が1つでもあれば、早めに受診してください [7]
受診の目安チェックリスト:
すぐに受診(赤信号)
- 38.5℃以上の発熱が 3日以上 続く(一般的な受診の目安)
- 生後3ヶ月未満 の38℃以上の発熱(無条件で受診)[7]
- 水分が摂れない(半日以上おしっこが出ない)
- ぐったりして反応が鈍い
- 呼吸が速い・肩で息をしている
- けいれんを起こした
翌日の受診でOK(黄信号)
- 38℃台だが 機嫌が良く水分も摂れている
- 鼻水・咳はあるが 眠れている
- 発熱2日目で 症状が悪化していない
自宅で様子見(青信号)
- 37.5℃未満の微熱で 食欲・機嫌ともに普通
- 鼻水だけで 発熱なし
特に覚えておいてほしいのは、生後3ヶ月未満の発熱は"無条件で受診"です [7]。この月齢では重症細菌感染症の可能性があり、血液検査が必要になることがあります
ポイント
- 38.5℃以上が3日続いたら受診 [7]
- 生後3ヶ月未満の38℃以上は即受診(例外なし)[7]
- 機嫌が良く水分が摂れていれば、翌日受診で大丈夫なことが多い
Q4.「仕事を何日休むのが普通ですか? 休みすぎでしょうか?」
——入園してから、もう有給を10日使いました。周りのママはどのくらい休んでいるんですか?
入園1年目の欠勤日数について、率直にお話しします
入園1年目の欠勤の実態:
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 1回の風邪での欠勤 | 2〜5日(発熱期間+解熱後1日) |
| 年間の子どもの病欠日数 | 15〜25日 [2] |
| 保護者の看護休暇取得 | 年間10〜20日が多い(実感ベース) |
年間15〜25日の病欠は珍しくありません [2]。あなたが休みすぎなのではなく、保育園1年目とはそういうものなのです。3つの対策を提案します
看護負担を減らす3つの工夫:
- 2夫婦で交互に休む: 「月水金は私、火木はパートナー」と事前に決めておく
- 4病児保育を事前登録: 港区の病児保育施設は複数あります。発熱してから探すのでは遅いので、元気なうちに登録を済ませましょう
- 6子の看護等休暇を活用: 小学3年生修了までの子について、年5日(2人以上で年10日)の看護等休暇が法律で認められています(2025年4月改正で対象が小学校就学前から拡大) [8]
2年目になると病欠日数は半分以下になるケースがほとんどです [3]。今が一番きつい時期ですが、必ず楽になります
ポイント
- 入園1年目の病欠は 年間15〜25日が目安 [2]
- あなたが休みすぎなのではない。1年目はそういう時期
- 病児保育の事前登録・夫婦の役割分担・看護休暇の活用で負担を分散 [8]
Q5.「何度も熱を出すのは、免疫が弱いからですか? 検査したほうがいいですか?」
——あまりに繰り返すので、免疫不全とか何か病気があるんじゃないかと心配で……
お気持ちはよくわかります。ただ、ほとんどの場合、免疫に問題はありません [1]。免疫不全を疑うべきサインは限られています
"普通の風邪ラッシュ"と"免疫不全を疑うサイン"の違い:
| 普通の風邪ラッシュ | 免疫不全を疑うサイン |
|---|---|
| 1回の風邪は5〜7日で治る | 1回の感染が2週間以上 長引く |
| 発熱のたびに元気に回復する | 入院を繰り返す(年2回以上の肺炎など) |
| 鼻風邪・胃腸炎が中心 | 深部臓器の感染(肝膿瘍・骨髄炎など) |
| 抗生物質なしで治る | 抗生物質を使っても なかなか治らない |
| 成長・発達は正常 | 体重増加不良・発育の遅れ |
上の"右側"に当てはまる項目が複数ある場合は、免疫機能の検査を検討します。しかし、入園1年目に月1〜2回風邪をひくだけでは、検査の適応にはなりません [1]。毎回きちんと回復しているなら、免疫は正常に働いています
ポイント
- 入園1年目に風邪を繰り返すだけなら 免疫不全の心配は不要 [1]
- 1回の感染が長引く・入院を繰り返す・成長が遅れる場合は相談を
- 毎回きちんと治っていれば、免疫は正常に鍛えられている証拠
まとめ
- 入園1年目は 年間10〜15回の感染症が正常。免疫の"学校"に通っている
- RSウイルス・アデノウイルス・hMPV が保育園の三大犯人ウイルス
- 受診の目安: 38.5℃以上が3日続く、生後3ヶ月未満の発熱、水分が摂れない
- 保護者の看護欠勤は 年間10〜20日が現実的な目安。休みすぎではない
- 毎回きちんと治っているなら、免疫は正常。検査は不要
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