愛育病院 小児科おかもん だより Vol.343
「注射がこわい!」、採血・注射の恐怖を和らげる方法
今号のポイント
- 2子どもの採血・注射の恐怖は正常な反応。「泣くな」「痛くない」は逆効果
- 4年齢に合った事前説明(プレパレーション)で不安を大幅に軽減できる
- 6リドカインテープ(麻酔テープ)は有効。事前に医療機関に確認を
こんにちは。愛育病院小児科のおかもんです。
「注射がこわい!」は子どもの病院嫌いの最大の原因です。しかし、事前の準備と適切な対応で、恐怖を大幅に和らげることができます。
今回は、年齢別の対応法と、やりがちなNG対応を整理します。
Q1.「注射を怖がって暴れます。どうすればいいですか?」
——3歳の子が採血のたびに大暴れします。押さえつけるしかないですか?
押さえつけは最終手段です。事前の準備(プレパレーション)で恐怖を軽減できることがわかっています [1]
年齢別のプレパレーション:
| 年齢 | 説明のポイント |
|---|---|
| 1〜2歳 | 直前に簡潔に。「チクンするけどすぐ終わるよ」 |
| 3〜5歳 | 当日朝に説明。おもちゃの注射器でごっこ遊び |
| 6歳以上 | 前日に説明。なぜ必要かを理解させる |
嘘をつかないことが最も重要です。『痛くないよ』は嘘になります。代わりに『チクンとするけど、ギュッと握っていたらすぐ終わるよ』と正直に伝えてください
ポイント
- プレパレーション(事前説明)が有効 [1]
- 「痛くない」と嘘をつかない。正直に+見通しを伝える
- 年齢に合ったタイミングと方法で説明する
Q2.「注射のとき、親はどうすればいいですか?」
——看護師さんに『お母さんは外で待っていて』と言われたことがあります
現在は親が同席するほうが良いとされています。お子さんの安心感が全く違います [2]
親の役割:
- 抱っこの姿勢: 正面から抱きしめて、採血する腕だけ出す
- 声かけ: 「上手だね」「あと少しだよ」「終わったらお出かけしよう」
- 注意をそらす: 動画・絵本・シャボン玉・好きな歌
- 深呼吸を一緒に: 「フーッと息を吐いて」(力が抜ける)
やってはいけないNG対応:
| NG対応 | なぜダメか |
|---|---|
| 「泣くな!」「男でしょ!」 | 恐怖の否定。余計に不安になる |
| 「痛くないよ」 | 嘘。信頼を失う |
| 「悪い子は注射されるよ」 | 罰としての注射。病院恐怖が悪化 |
| 「お兄ちゃんは泣かなかったよ」 | 比較。自己肯定感を傷つける |
泣いていいんです。泣くことは正常な反応です。泣いても終わったら『頑張ったね!』と褒めてあげてください
ポイント
- 親は同席するほうが良い [2]
- 「泣くな」「痛くない」は逆効果
- 泣いてもOK。終わったら褒める
Q3.「痛みを減らす方法はありますか?」
お父さん「麻酔テープがあると聞きましたが」
はい。リドカインテープ(ペンレステープ)は採血・注射の痛みを大幅に軽減できます [3]
リドカインテープの使い方:
- 貼るタイミング: 採血の30〜60分前に貼る
- 貼る場所: 採血予定の部位(肘の内側が多い)
- 効果: 針を刺す痛みを有意に軽減(Cochraneレビューで確認)[3]
- 副作用: 貼った場所が少し白くなるが、すぐ戻る
当院でも希望があれば使用しています。予約時に『麻酔テープを使いたい』と伝えていただければ準備します。費用は数十円程度です
その他の痛み軽減法:
- 氷で冷やす: 直前に保冷剤を当てると感覚が鈍くなる
- 振動デバイス: バイブレーション付き冷却器具(Buzzy®など)
- 細い針を使う: 採血量が少なければ細い針で対応可能
ポイント
- リドカインテープで痛みを有意に軽減(Cochrane)[3]
- 採血の30〜60分前に貼る
- 予約時に事前リクエストする
Q4.「注射恐怖が強すぎて予防接種ができません」
お父さん「5歳なのに注射を見ただけでパニックになります」
注射への強い恐怖は珍しくありません。子どもでは20〜50%、成人でも20〜30%が注射への恐怖を持つと報告されています [4]。重度の場合は対策が必要です
段階的な対応:
- 2ステップ1: 病院に行くだけ(注射なし)→ 「楽しかった」体験を作る
- 4ステップ2: おもちゃの注射器で遊ぶ → 注射器に慣れる
- 6ステップ3: アルコール綿で拭くだけ → 採血の「動き」に慣れる
- 8ステップ4: リドカインテープ+注意そらし → 実施
接種後のご褒美も有効です。シールやお気に入りのおやつなど、『注射の後にはいいことがある』という経験を積み重ねてください。ただし、『注射しないとおやつなし』という罰はNGです
それでも難しい場合は、笑気吸入鎮静で対応できる医療機関もあります。かかりつけ医にご相談ください
ポイント
- 注射恐怖は子どもで20-50%・成人で20-30%に見られる [4]
- 段階的な慣らしが有効
- ご褒美OK、罰はNG
まとめ
- 事前準備: 年齢に合ったプレパレーションで不安を軽減
- 親の対応: 嘘をつかず、泣いてもOK、終わったら褒める
- 痛み軽減: リドカインテープが有効。事前に依頼を
- 恐怖が強い場合: 段階的に慣らす。焦らない
「注射こわい」を「頑張れた!」に変えるのは、周りの大人の関わり方次第です。
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