愛育病院 小児科おかもん先生 だより Vol.245
「顔色が悪いと言われました」、鉄欠乏性貧血
こんにちは。愛育病院小児科のおかもん先生です。
「検診で貧血と言われて…」外来でよく聞くご相談のひとつです。小児で一番多い貧血が、鉄欠乏性貧血。特に乳児期後半と思春期の女の子で目立ちます。食事からの鉄分が足りないことが一番の原因で、貧血だけでなく発達にも響くことがあります。今回は、子どもの鉄欠乏性貧血のお話です。
Q1.「鉄欠乏性貧血とは?」
——検診で貧血と言われました
体の中の鉄が足りなくて、赤血球がうまく作れない状態なんです [1]。
| 基本情報 | 詳細 |
|---|---|
| 頻度 | 小児の貧血で最も多い |
| 好発年齢 | 生後9か月〜2歳、思春期女児 |
| 原因 | 鉄分の摂取不足が最多 |
| 貧血の基準(Hb) | 乳児: <11g/dL、学童: <11.5g/dL |
| 鉄が不足しやすい時期 |
|---|
| 生後6か月以降(母体由来の鉄が枯渇) |
| 牛乳を多量に飲む乳幼児 |
| 偏食のある幼児 |
| 月経開始後の女児 |
ポイント
- 小児で最も多い貧血
- 生後6か月以降と思春期女児に多い
- 牛乳の多飲は鉄欠乏のリスク
Q2.「どんな症状ですか?」
——貧血の症状はどんなものですか?
軽いうちは意外と症状が出ないんです [2]。気づかれないまま進むことも多いです。
| 症状 | 詳細 |
|---|---|
| 顔色不良 | 唇やまぶたの裏が白い |
| 疲れやすい | 活動量の低下 |
| 食欲低下 | 食が細い |
| 異食症 | 氷や土を食べたがる(鉄欠乏のサイン) |
| 集中力低下 | 学業成績の低下 |
| 易感染性 | 風邪をひきやすい |
「鉄は脳の材料にもなります。乳幼児期に不足すると、認知や運動の発達に響くことがあります。」
ポイント
- 軽度では症状がないことが多い
- 氷を食べたがるのは鉄欠乏のサイン
- 脳の発達にも影響する
Q3.「治療はどうしますか?」
——鉄剤を飲むのですか?
はい、鉄剤をしばらく飲んでいただきます。これが治療の基本です [3]。
| 治療 | 詳細 |
|---|---|
| 鉄剤内服 | 元素鉄として3-6mg/kg/日 |
| 治療期間 | 貧血改善後もさらに2-3か月継続 |
| 効果判定 | 2-4週間でヘモグロビンが上昇 |
| 飲み方 | ビタミンCと一緒に(吸収促進) |
| 鉄剤の副作用と対策 |
|---|
| 便が黒くなる(正常な反応) |
| 腹痛・吐き気(食後に内服で軽減) |
| 便秘(水分をしっかり摂る) |
「貧血の数値が戻っても、あと2-3か月は続けてください。体に鉄の貯金を作っておくイメージです。」
ポイント
- 鉄剤は2-3か月継続が必要
- ビタミンCと一緒に飲むと吸収が良い
- 便が黒くなるのは正常
Q4.「食事でできることは?」
——食事で鉄分を増やすにはどうしたらいいですか?
鉄の多い食品を、普段の食事に少しずつ入れてみてください [4]。
| 食品 | 鉄含有量(目安) |
|---|---|
| レバー | 非常に多い(最も効率的) |
| 赤身の肉 | ヘム鉄(吸収が良い) |
| 魚(まぐろ、かつお) | ヘム鉄 |
| 大豆製品 | 非ヘム鉄 |
| ほうれん草 | 非ヘム鉄(ビタミンCと一緒に) |
| 鉄強化シリアル | 離乳期に便利 |
| 鉄の吸収を妨げるもの |
|---|
| 牛乳の多飲(1日500mL以上は注意) |
| お茶・コーヒー(タンニンが鉄吸収を阻害) |
| 食物繊維の過剰摂取 |
ポイント
- ヘム鉄(肉・魚)は吸収が良い
- ビタミンCが吸収を促進
- 牛乳の多飲は控える
Q5.「予防はできますか?」
——貧血を予防するにはどうしたらいいですか?
離乳食の頃から鉄を意識しておくと、後が楽です [5]。
| 年齢別の予防 | 内容 |
|---|---|
| 離乳食期 | 鉄強化シリアル、レバー、赤身の肉を取り入れる |
| 幼児期 | 牛乳は1日500mL以内。バランスの良い食事 |
| 学童期 | 偏食の改善。給食をしっかり食べる |
| 思春期女児 | 月経開始後は鉄分を意識した食事 |
| 9か月健診での確認 |
|---|
| 離乳食の進み具合 |
| 牛乳の摂取量 |
| 顔色の確認 |
| 必要に応じて血液検査 |
ポイント
- 離乳食から鉄分を意識
- 牛乳は1日500mL以内に
- 思春期女児は特に注意
今号のまとめ
- 鉄欠乏性貧血は小児で最も多い貧血
- 乳児期後半と思春期女児に多い
- 鉄剤は改善後も2-3か月継続
- 離乳食期からの鉄分補給が予防の鍵
- 牛乳の多飲は鉄欠乏のリスク
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