鉄欠乏性貧血は小児で最も多い貧血です。特に乳児期後半と思春期の女児に多く、食事からの鉄分摂取不足が主な原因です。鉄不足は貧血だけでなく、発達にも影響する可能性があります。今回は、子どもの鉄欠乏性貧血についてお伝えします。
鉄欠乏性貧血とは?#
| 基本情報 | 詳細 |
|---|---|
| 頻度 | 小児の貧血で最も多い |
| 好発年齢 | 生後9か月〜2歳、思春期女児 |
| 原因 | 鉄分の摂取不足が最多 |
| 貧血の基準(Hb) | 乳児: <11g/dL、学童: <11.5g/dL |
鉄が不足しやすい時期
- 生後6か月以降(母体由来の鉄が枯渇)
- 牛乳を多量に飲む乳幼児
- 偏食のある幼児
- 月経開始後の女児
ポイント
- 小児で最も多い貧血
- 生後6か月以降と思春期女児に多い
- 牛乳の多飲は鉄欠乏のリスク
どんな症状ですか?#
| 症状 | 詳細 |
|---|---|
| 顔色不良 | 唇やまぶたの裏が白い |
| 疲れやすい | 活動量の低下 |
| 食欲低下 | 食が細い |
| 異食症 | 氷や土を食べたがる(鉄欠乏のサイン) |
| 集中力低下 | 学業成績の低下 |
| 易感染性 | 風邪をひきやすい |
鉄は脳の発達にも重要で、乳幼児期の鉄欠乏は認知機能や運動発達に影響する可能性があります。
ポイント
- 軽度では症状がないことが多い
- 氷を食べたがるのは鉄欠乏のサイン
- 脳の発達にも影響する
治療はどうしますか?#
| 治療 | 詳細 |
|---|---|
| 鉄剤内服 | 元素鉄として3-6mg/kg/日 |
| 治療期間 | 貧血改善後もさらに2-3か月継続 |
| 効果判定 | 2-4週間でヘモグロビンが上昇 |
| 飲み方 | ビタミンCと一緒に(吸収促進) |
鉄剤の副作用と対策
- 便が黒くなる(正常な反応)
- 腹痛・吐き気(食後に内服で軽減)
- 便秘(水分をしっかり摂る)
鉄剤は貧血が改善しても2-3か月は継続します。これは体内の鉄の貯蔵を回復するためです。
ポイント
- 鉄剤は2-3か月継続が必要
- ビタミンCと一緒に飲むと吸収が良い
- 便が黒くなるのは正常
食事でできることは?#
| 食品 | 鉄含有量(目安) |
|---|---|
| レバー | 非常に多い(最も効率的) |
| 赤身の肉 | ヘム鉄(吸収が良い) |
| 魚(まぐろ、かつお) | ヘム鉄 |
| 大豆製品 | 非ヘム鉄 |
| ほうれん草 | 非ヘム鉄(ビタミンCと一緒に) |
| 鉄強化シリアル | 離乳期に便利 |
鉄の吸収を妨げるもの
- 牛乳の多飲(1日500mL以上は注意)
- お茶・コーヒー(タンニンが鉄吸収を阻害)
- 食物繊維の過剰摂取
ポイント
- ヘム鉄(肉・魚)は吸収が良い
- ビタミンCが吸収を促進
- 牛乳の多飲は控える
予防はできますか?#
| 年齢別の予防 | 内容 |
|---|---|
| 離乳食期 | 鉄強化シリアル、レバー、赤身の肉を取り入れる |
| 幼児期 | 牛乳は1日500mL以内。バランスの良い食事 |
| 学童期 | 偏食の改善。給食をしっかり食べる |
| 思春期女児 | 月経開始後は鉄分を意識した食事 |
9か月健診での確認
- 離乳食の進み具合
- 牛乳の摂取量
- 顔色の確認
- 必要に応じて血液検査
ポイント
- 離乳食から鉄分を意識
- 牛乳は1日500mL以内に
- 思春期女児は特に注意
今号のまとめ#
- 鉄欠乏性貧血は小児で最も多い貧血
- 乳児期後半と思春期女児に多い
- 鉄剤は改善後も2-3か月継続
- 離乳食期からの鉄分補給が予防の鍵
- 牛乳の多飲は鉄欠乏のリスク