愛育病院 小児科おかもん先生 だより Vol.255
「暑くてぐったりしています」、子どもの熱中症
こんにちは。愛育病院小児科のおかもん先生です。
夏の外来で多いのが「外で遊んでいたら急にぐったりしてしまって」というご相談です。
子どもは大人より熱中症になりやすい。体温調節が未熟で、体重あたりの体表面積が大きく、ベビーカーや身長の低さで地面からの照り返しも受けやすい。今回はそのあたりをまとめました。
Q1.「なぜ子どもは熱中症になりやすい?」
——子どもは大人より熱中症になりやすいですか?
はい、子どもには熱中症になりやすい特性があります [1]。
| 特性 | 詳細 |
|---|---|
| 体温調節が未熟 | 発汗機能が未発達 |
| 体表面積が大きい | 体重あたりの面積が大きく熱を受けやすい |
| 地面に近い | ベビーカーや身長が低いと地面からの輻射熱 |
| 自覚症状を訴えにくい | のどが渇いても言えない |
| 夢中になる | 遊びに夢中で水分補給を忘れる |
| 熱中症の重症度 |
|---|
| I度(軽症):めまい、立ちくらみ、こむら返り |
| II度(中等症):頭痛、嘔吐、倦怠感 |
| III度(重症):意識障害、けいれん、高体温 |
ポイント
- 子どもは熱中症になりやすい
- ベビーカーは地面に近く高温
- 自分で症状を訴えにくい
Q2.「熱中症の応急処置は?」
——熱中症かもしれない時、何をすべきですか?
涼しい場所で体を冷やし、水分補給が基本です [2]。
| 応急処置 | 詳細 |
|---|---|
| 涼しい場所へ移動 | 日陰やエアコンの効いた室内 |
| 衣服をゆるめる | 熱を逃がす |
| 体を冷やす | 首・わきの下・太もものつけ根を冷やす |
| 水分補給 | 経口補水液(OS-1等)を少量ずつ |
| すぐに119番すべき場合 |
|---|
| 意識がおかしい(呼びかけに反応しない) |
| 自分で水が飲めない |
| 体温が40℃以上 |
| けいれんしている |
ポイント
- 涼しい場所へ移動し体を冷やす
- 首・わきの下・太ももを冷やす
- 意識がおかしければ119番
Q3.「水分補給のポイントは?」
——何を飲ませればいいですか?
熱中症が疑われる時は経口補水液が適していますが、ふだんの予防は水や麦茶で十分です [3]。
| 状況 | 推奨飲料 |
|---|---|
| 予防 | 水、麦茶(こまめに少量ずつ) |
| 軽症の熱中症 | 経口補水液(OS-1等) |
| 中等症以上 | 医療機関での点滴 |
| 注意すべき飲料 |
|---|
| スポーツドリンク:糖分が多い。日常の水分補給には不向き |
| 炭酸飲料:水分補給に不適切 |
| カフェイン飲料:利尿作用で逆効果 |
のどが渇く前に飲ませる、というのが大事です。渇きを感じた時にはもう脱水が始まっています。
ポイント
- 予防には水・麦茶で十分
- 熱中症時は経口補水液
- のどが渇く前に飲む
Q4.「車内の放置は?」
——車の中はどのくらい暑くなりますか?
車内は短時間で致死的な温度に達します [4]。
| 条件 | 車内温度 |
|---|---|
| 外気温25℃・エンジン停止30分後 | 約45℃ [4] |
| 外気温35℃・エンジン停止30分後 | 約45℃ [4] |
| 外気温35℃・数時間後 | 55℃超 [4] |
| 窓を少し開けても | 上昇はほとんど変わらない [4] |
JAFの実験では、外気35℃の炎天下でエンジンを止めた車は30分ほどで約45℃まで上がります [4]。エアコンを止めて5分で車内は約5℃上昇、15分で熱中症指数が「危険」レベルに達したというデータもあります [4]。
ほんの数分でも車内に子どもを残さないでください。窓を開けていても危険です。
| 予防策 |
|---|
| 降車時に後部座席を必ず確認 |
| 荷物を後部座席に置く習慣 |
| 車の鍵は子どもの手の届かない場所に |
ポイント
- 外気35℃で30分で約45℃、数時間で55℃超 [4]
- 数分でも絶対に残さない
- 窓を開けても上昇は止まらない [4]
Q5.「予防のポイントは?」
——熱中症を予防するにはどうすればいいですか?
暑さ対策と水分補給が基本です [5]。
| 予防策 | 内容 |
|---|---|
| こまめな水分補給 | 20-30分ごとに少量ずつ |
| 帽子をかぶる | つばの広い帽子 |
| 涼しい服装 | 通気性の良い明るい色の服 |
| 休憩を取る | 30分に1回は日陰で休憩 |
| 暑い時間を避ける | 10-14時の外出を控える |
| エアコンの使用 | 室温28℃以下に |
| 暑さ指数(WBGT) |
|---|
| 31℃以上:運動は原則中止 |
| 28-31℃:激しい運動は中止 |
| 学校での活動基準として使用 |
ポイント
- 20-30分ごとに水分補給
- 帽子と涼しい服装
- WBGT31℃以上で運動中止
今号のまとめ
- 子どもは大人より熱中症になりやすい
- 涼しい場所で体を冷やし水分補給が応急処置
- 意識障害があればすぐに119番
- 車内に絶対に子どもを残さない
- こまめな水分補給と暑さ対策で予防
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ご質問・ご感想
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