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「いつも吐き戻します」、胃食道逆流症(GERD)
Vol.190おなか

「いつも吐き戻します」、胃食道逆流症(GERD)

- 乳児の吐き戻しの多くは生理的

おなか全年齢5
おかもん先生小児科専門医愛育病院 小児科

参考文献 5·Q&A 5問収録

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この記事のポイント

  • - 乳児の吐き戻しの多くは生理的
  • - 体重が順調に増えていれば心配ない
  • - 1歳までに95%が自然に改善

愛育病院 小児科おかもん先生 だより Vol.190

「いつも吐き戻します」、胃食道逆流症(GERD)

こんにちは。愛育病院小児科のおかもん先生です。

赤ちゃんの吐き戻しはとても多く、生後数か月の赤ちゃんの約半数に見られます。多くは生理的なもので自然に改善しますが、中には治療が必要な胃食道逆流症(GERD)もあります。今回は、生理的な逆流とGERDの見分け方についてまとめます。

Q1.「吐き戻しは病気ですか?」

——毎回ミルクを吐き戻します。大丈夫ですか?

ほとんどの場合、乳児の吐き戻しは生理的な胃食道逆流(GER)で、病気ではありません [1]

生理的逆流(GER)

頻度
乳児の約50%
体重増加
正常
機嫌
良好
合併症
なし
自然経過
1歳までに95%が改善

胃食道逆流症(GERD)

頻度
乳児の約5%
体重増加
不良
機嫌
不機嫌、泣きが多い
合併症
食道炎、誤嚥性肺炎等
自然経過
治療が必要

ポイント

  • 乳児の吐き戻しの多くは生理的
  • 体重が順調に増えていれば心配ない
  • 1歳までに95%が自然に改善

Q2.「GERDを疑うサインは?」

——どんな時に病院に行くべきですか?

次のサインがあればGERDの可能性を考えます [2]

受診すべきサイン説明
体重が増えない嘔吐による栄養不足
授乳を嫌がる食道の痛みで飲みたがらない
反り返り背中を反らせて泣く(食道の痛み)
血液混じりの嘔吐食道炎の可能性
繰り返す肺炎誤嚥の可能性
無呼吸エピソード逆流による気道反射
緑色の嘔吐(胆汁性)腸閉塞等の除外が必要(緊急)

「緑色の嘔吐、いわゆる胆汁性嘔吐は緊急です。GERDではなく腸閉塞を疑うサインなので、すぐ受診してください。」

ポイント

  • 体重増加不良が最も重要なサイン
  • 反り返って泣くのは食道の痛みの可能性
  • 緑色の嘔吐は緊急受診

Q3.「GERDの治療は?」

——治療が必要な場合、どうしますか?

いきなり薬ではなく、段階的に進めます [3]

治療段階内容
①生活指導授乳後の体位(上体挙上)、少量頻回授乳
②ミルクの工夫ARミルク(とろみつき)への変更
③薬物療法制酸薬(PPI)、アルギン酸塩
④手術重症で薬物療法に反応しない場合(まれ)
家庭でできる対策
授乳後30分は上体を起こした姿勢を保つ
ゲップをしっかりさせる
少量ずつ頻回に授乳する
おむつをきつく締めすぎない
寝かせる時は頭側を少し高くする

ポイント

  • まず生活指導から開始
  • ARミルクが有効な場合がある
  • 薬物療法は医師の判断で

Q4.「年長児のGERDもありますか?」

——小学生の子どもが胸焼けを訴えます

年長児や学童にもGERDは見られます [4]

年齢主な症状
乳児嘔吐、体重増加不良、反り返り
幼児嘔吐、食事拒否、腹痛
学童胸焼け、胸の痛み、嚥下時の痛み
思春期成人と同様の症状(胸焼け、酸っぱいものが上がってくる)

「年長児では、肥満、炭酸飲料、遅い夕食、食後すぐ横になる、といった生活習慣が悪化要因になります。」

ポイント

  • 年長児にもGERDは見られる
  • 年齢により症状が異なる
  • 生活習慣の改善が重要

Q5.「GERDの長期的な見通しは?」

——ずっと薬を飲み続けなければいけませんか?

乳児のGERDの多くは1歳までに自然に改善します。1歳で約95%が落ち着くと報告されています [5]

年齢経過
1歳まで約95%の乳児の逆流が改善
離乳食開始後固形食の摂取で改善することが多い
学童期のGERD生活習慣の改善+薬物療法で多くが管理可能

「薬物療法は症状が改善したら漸減・中止を検討します。PPIを長期的に続ける必要があるケースはまれです。」

ポイント

  • 乳児のGERDは1歳までにほとんどが改善
  • 離乳食開始が改善のきっかけになることも
  • 薬は症状改善後に漸減・中止を試みる

今号のまとめ

  • 乳児の吐き戻しの多くは生理的で心配ない
  • 体重増加不良があればGERDを疑い受診
  • 生活指導→ミルクの工夫→薬物療法の段階的治療
  • 緑色の嘔吐は緊急受診
  • 1歳までに95%が改善します

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ご質問・ご感想

「吐き戻しが多くて心配です」「GERDの治療を始めました」など、ご経験やご質問がございましたら、お気軽にお寄せください。

愛育病院 小児科 おかもん先生

本メルマガの内容は一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。お子さまの症状についてはかかりつけの小児科医にご相談ください。

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