愛育病院 小児科おかもん先生 だより Vol.438
「花火大会、子どもの耳は大丈夫?」、爆発音と聴覚保護
今号のポイント
- 2花火大会の打ち上げ音は近距離で140dBを超え、急性音響外傷のリスク
- 4乳児は耳栓では保護しにくい。距離と防音イヤーマフが基本
- 6音過敏・発達特性のある子は事前準備を
こんにちは。愛育病院小児科のおかもん先生です。
夏の花火大会、お子さんを連れて楽しみたいですよね。ただ、打ち上げ花火の音は想像以上に大きく、子どもの耳には負担になります。打ち上げ場の近くでは145-170dBに達するという測定報告もあります [1]。
花火の音はどのくらい大きい?
| 音の種類 | 音圧レベル |
|---|---|
| 会話 | 60dB |
| 掃除機 | 70-80dB |
| 救急車サイレン | 100-110dB |
| 花火(50m以上離れた観覧席) | 110-125dB |
| 花火(近距離・打ち上げ場) | 145-170dB |
| 基準: 連続音の安全上限 | 85dB(8時間)、100dB(15分) |
| 基準: 衝撃音ピーク(子ども) | 120dB以下 |
WHOやAAPは、子どもの聴覚保護として連続音は85dB以下、衝撃音(花火など)のピーク値は子どもで120dB以下に抑えることを推奨しています [2]。花火の打ち上げ音はこの上限を簡単に超えてきます。
ポイント
- 観覧席でも110-125dB
- 近距離では難聴リスク高い [1]
- WHO基準は85dB
子どもの耳がダメージを受けやすい理由
| 理由 | 説明 |
|---|---|
| 外耳道が短い | 共鳴で音が増幅される |
| 鼓膜が薄い | 衝撃の影響を受けやすい |
| 蝸牛が発達途上 | 有毛細胞が傷つくと戻らない |
| 逃げられない | 抱っこ・ベビーカーでは退避不可 |
大人より子どもの方が音響外傷リスクが高いことが知られています [2]。
ポイント
- 物理的に音が増幅される
- 一度傷ついた有毛細胞は再生しない
- 逃げられない乳幼児は特にリスク
年齢別の推奨対策
| 年齢 | 推奨 |
|---|---|
| 0-12か月 | 連れて行かないのが無難。行くなら屋内・遠距離 |
| 1-3歳 | 防音イヤーマフ(子ども用NRR25以上) |
| 4-6歳 | 防音イヤーマフ+距離確保 |
| 学童以降 | 耳栓可、耳栓+イヤーマフで併用も |
NRR(Noise Reduction Rating) 22-27dBの子ども用を選びましょう。3M Peltor Kids、Em's 4 Bubsなどが定番です。
ポイント
- 乳児は連れて行かない選択も
- 子ども用イヤーマフが基本
- 耳栓単独は乳幼児に不向き
会場での工夫
| 工夫 | 内容 |
|---|---|
| 距離 | 打ち上げ場から最低500m離れる |
| 位置 | 建物・ビルの陰で音の反射を避ける |
| 所要時間 | 短時間の観覧に留める |
| 退避経路 | 嫌がったらすぐ離れる |
| 水分・休憩 | 熱中症対策も併せて |
花火後に「耳が聞こえにくい」「耳鳴りがする」「反応が鈍い」「いつもより声が大きい」などがあれば、急性音響外傷の可能性。耳鼻科受診を。

おかもん先生より
外来で「花火大会のあと数日、耳の様子がおかしかった」というご相談を毎年夏に数件いただきます。幸い多くは軽度で回復しますが、一度のダメージが数年後に現れる可能性もある。私自身、長女が3歳のときはじめて花火に連れて行って、帰り道に疲労と耳のだるさでぐずったのが忘れられません。それ以来、イヤーマフは必携です。
ポイント
- 最低500m離れる
- 反射音にも注意
- 異常を感じたら耳鼻科へ
発達特性のある子への配慮
音過敏のある自閉スペクトラム症(ASD)のお子さんは花火が強い苦痛になることがあります [3]。
| 事前準備 | 内容 |
|---|---|
| 見通しを伝える | 絵・動画で予習 |
| イヤーマフ慣れ | 事前に家で装着練習 |
| 避難場所の確認 | 嫌がった時の逃げ場 |
| 選択肢を用意 | 行かない選択肢もOK |
ポイント
- 音過敏への配慮を [3]
- 事前の予習が有効
- 「行かない」も正解
まとめ
- 花火の音は近距離で難聴リスクがある
- 乳児は距離、幼児以上はイヤーマフを
- 最低500m離れた観覧席を
- 音過敏のある子は無理をしない
- 違和感があれば耳鼻科受診
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愛育病院 小児科 おかもん先生
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