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「球形食品の窒息リスク」、ミニトマト・ぶどう、その一粒が命を奪うことも
Vol.337救急

「球形食品の窒息リスク」、ミニトマト・ぶどう、その一粒が命を奪うことも

球形食品(ぶどう・ミニトマト等)の窒息リスクと予防カット法

救急0〜6ヶ月・6〜12ヶ月・1〜3歳6
おかもん先生小児科専門医愛育病院 小児科

参考文献 5·Q&A 4問収録

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この記事のポイント

  • ミニトマト・ぶどう・うずらの卵・枝豆・ナッツ・餅が窒息リスクの高い代表食品
  • 幼児の気道は細く、球形の食品は気道入口にぴったりはまりやすい
  • 「縦に4等分」が基本。5歳未満にはナッツ類を丸ごと与えない(消費者庁)

愛育病院 小児科おかもん だより Vol.337

「球形食品の窒息リスク」、ミニトマト・ぶどう、その一粒が命を奪うことも

今号のポイント

  1. 2
    ミニトマト・ぶどう・うずらの卵・枝豆・ナッツ・餅が代表的な高リスク食品
  2. 4
    幼児の気道は細く、球形の食品は気道入口にぴったりはまりやすい
  3. 6
    「縦に4等分」が基本。5歳未満にはナッツ類を丸ごと与えない(消費者庁)

こんにちは。愛育病院小児科のおかもんです。

「まさか、ぶどう1粒で」。救急で窒息のお子さんを診るたびに、本当に胸が痛みます。消費者庁のデータでは、2014〜2019年の6年間に食品による窒息で14歳以下が80名亡くなっており、そのうち5歳以下が73名と9割を占めています [1]。今回は特に危険な「球形食品」のリスクと、家庭でできる予防法を整理します。

Q1. なぜ球形の食品が特に危ないのですか?

お母さん:ミニトマトやぶどうって、健康にいいと思って毎日出しているんですが…。

おかもん先生:栄養的にはいい食品です。問題は形と大きさです。

幼児の気道は大人よりかなり細く、部位にもよりますが1cmに満たない程度しかありません [2]。ミニトマトやぶどうは一見気道より大きく見えますが、吸い込む力で気道入口にぴったり「蓋」をするように詰まってしまいます。

球形はどの角度から入っても気道を完全に塞ぐという特徴があります。さらに表面がツルツルしていると、咳をしても排出しにくい。ミニトマトは皮があるため、噛み潰しにくく滑りやすいという二重のリスクがあります[3]。

ポイント 窒息リスクが高い「5大食品」を覚えましょう:ミニトマト・ぶどう・うずらの卵・枝豆(さやから飛び出す)・ナッツ類。餅は季節限定ですが毎年事故が起きています。

Q2. どうやって切ればいいですか?

お父さん:半分に切ればいいんですよね?

おかもん先生:半分では足りません。縦に4等分が基本です [3]。

横に切ると断面がまだ円形のままで、気道にはまるリスクが残ります。縦に4等分すれば、どの破片も細長い形になり、万一喉に入っても気道を完全に塞ぎにくくなります。

具体的には:

  • ミニトマト:縦に4等分(皮に切れ目を入れるだけでは不十分)
  • ぶどう:皮をむき、縦に4等分
  • うずらの卵:縦に4等分
  • 枝豆:さやから出して、1粒ずつ薄皮を取り半分に
  • ソーセージ:縦に4つ割りにしてから一口大に

消費者庁は2021年1月に「硬い豆やナッツ類は5歳以下の子どもには食べさせないで」という注意喚起を出しています [4]。ナッツは硬く、奥歯が生えそろう前の子どもには十分に噛み砕けません。砕いて気管に入り込むと、気管支炎や肺炎を起こすこともあります。5歳未満にはペースト状にするか、そもそも与えないのが安全です。

ポイント 「4等分に縦切り」を冷蔵庫に貼っておきましょう。保育園・幼稚園でも同様のガイドラインが広がっています。

Q3. 食事中に気をつけることは?

お母さん:食べ方にも注意が必要ですか?

おかもん先生:はい。実は窒息事故の多くは、食品の形だけでなく「食べ方」が原因です[1]。

最もリスクが高い状況は以下の3つです:

  1. 2
    食べながら走る・歩く:体が動くと、不意に吸い込む力が強まります
  2. 4
    食べながら笑う・泣く:声門(気道の入口)が大きく開き、食べ物が入りやすくなります
  3. 6
    食べながら上を向く:重力で食べ物が喉の奥に落ち込みます

「座って・前を向いて・静かに食べる」が窒息予防の3原則です。食事やおやつの時間は、テレビや動画で大笑いさせるのも避けた方が安全です。

また、口の中に食べ物が残っているうちに次の食べ物を入れないことも大切です。子どもは「リス食い(頬にためる)」をしがちですが、口の中にたまった食べ物が一気に喉に流れ込むリスクがあります。

ポイント 「お座りして食べようね」「ごっくんしてから次ね」の声かけを習慣に。食事中は必ず大人が見守りましょう。

Q4. もし窒息してしまったら、どう対処すべきですか?

お父さん:万が一のとき、何をすればいいか不安です…。

おかもん先生:まず119番通報。そのうえで、年齢に応じた応急処置を行います [5]。

1歳未満の場合

  • 背部叩打法:赤ちゃんをうつ伏せにして、前腕の上に乗せ、頭を下げた状態で肩甲骨の間を手の付け根で5回強く叩く
  • 胸部突き上げ法:仰向けにして、胸の真ん中(乳頭を結ぶ線のやや下)を指2本で5回圧迫
  • 1歳未満にはハイムリック法(腹部突き上げ法)は行いません。肝損傷などのリスクがあるためです [5]

1歳以上の場合

  • 背部叩打法:上記と同様(子どもの体格に合わせて膝の上など)
  • ハイムリック法:後ろから両腕を回し、みぞおちの下で拳を握り、斜め上方向に素早く突き上げる
  • 交互に繰り返し、異物が出るか意識がなくなるまで続ける

意識がなくなった場合は、すぐにCPR(心肺蘇生法)に移行します。胸骨圧迫の際に異物が見えたら取り除きますが、見えない場合は無理に指を入れないでください。

ポイント 「いざというときにできる」ために、自治体や消防署の救命講習に参加しておきましょう。港区でも定期的に開催されています。

まとめ

  • 幼児の気道は細く、球形食品は気道にぴったりはまる
  • ミニトマト・ぶどうなどは縦に4等分が鉄則
  • 5歳未満にナッツ類を丸ごと与えない(消費者庁通達)
  • 「座って・前を向いて・静かに食べる」が窒息予防の3原則
  • 窒息時の対処法を事前に練習しておく(1歳未満はハイムリック法禁忌)

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愛育病院 小児科 おかもん

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※ この記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。お子さんの症状が心配な場合は、かかりつけの小児科医にご相談ください。

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