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【家庭の安全チェックリスト】子どもの窒息事故を防ぐために
Vol.29救急

【家庭の安全チェックリスト】子どもの窒息事故を防ぐために

子どもの窒息事故防止チェックリスト

救急0〜6ヶ月・6〜12ヶ月・1〜3歳7
おかもん先生小児科専門医愛育病院 小児科

参考文献 8·Q&A 0問収録

プロフィール →

この記事のポイント

  • ぶどう・ミニトマトは縦4等分。ピーナッツ・ナッツ類は5歳まで禁止
  • 窒息のサインを知り、背部叩打法・ハイムリック法を覚えておく
  • ボタン電池の誤飲は最も危険。トイレットペーパーの芯テストで家庭内を点検

愛育病院 小児科おかもん だより Vol.29

【家庭の安全チェックリスト】子どもの窒息事故を防ぐために

このチェックリストは、ご家庭で印刷して冷蔵庫に貼る、スマホで保存しておくことを想定しています。特に離乳食〜幼児期(生後6ヶ月〜5歳)のお子さんがいるご家庭向けです。

はじめに

こんにちは。愛育病院小児科のおかもん先生です。

子どもの窒息事故は、家庭内での不慮の死亡のうち上位に入ります [1]。逆に言えば、知っていれば防げた、というケースがほとんどです。今回は「食べ物編」と「誤飲編」にわけて、家庭で使えるチェックリストをお届けします。

1. 窒息しやすい食べ物、年齢別リスト

5歳まで与えないもの(消費者庁・日本小児科学会)

食べ物理由
ピーナッツ・ナッツ類気管に入ると取れない。気管支炎や肺炎の原因に [2]
こんにゃくゼリー吸い込む力で気道に詰まる。窒息死事例の報告あり [3]
あめ玉・丸い飴吸い込むと気道を完全に塞ぐ [4]
生のにんじん・りんご(丸かじり)硬く、噛み切りにくい

3歳まで注意が必要なもの(切り方・調理法が重要)

食べ物対策
ぶどう・ミニトマト縦に4等分に切る [5](丸ごと・半分は危険)
ソーセージ・ウインナー縦に4等分に切る(輪切りは気道に詰まる)
もち・団子小さく切り、必ず見守る
りんご・梨すりおろすか、薄く切る
枝豆豆だけ取り出し、潰してから
パン飲み物と一緒に。口の中でパサパサになり詰まりやすい

2. 食事中の窒息予防、5つのルール

チェックリスト(毎食確認)

  • 座って食べる(歩きながら・遊びながら食べない)
  • 一口ずつ、ゆっくり噛む(「もぐもぐ10回」など声かけ)
  • 口に食べ物が入っている時は話さない・笑わない
  • 食事中は大人が見守る(テレビ・スマホを見ながらはNG)
  • 泣いている時・走っている時は食べさせない

ポイント: 窒息の多くは「ながら食べ」や「急いで食べる」ときに起きています [6]。食卓を落ち着いた環境にすることが、そのまま予防になります。

3. もし窒息したら、緊急対応(背部叩打法・腹部突き上げ法)

窒息のサイン

  • 声が出ない(のどを手で押さえる)
  • 咳もできない
  • 顔色が悪い(青白い、紫色)
  • 呼吸音がない

1歳未満の赤ちゃんの場合: 背部叩打法+胸部突き上げ法

  1. 2
    119番通報(可能なら誰かに頼む)
  2. 4
    赤ちゃんをうつ伏せにして、頭を低くした状態で前腕や太ももの上に乗せる
  3. 6
    背中の真ん中(肩甲骨の間)を手のひらの付け根で5回強く叩く(背部叩打法)
  4. 8
    吐き出さなければ、仰向けにして胸の真ん中を指2本で5回圧迫する(胸部突き上げ法)
  5. 10
    交互に繰り返す

注意: 1歳未満にハイムリック法(腹部突き上げ法)は行いません。内臓損傷のリスクがあるためです [JRC蘇生ガイドライン2020]。

1歳以上の子どもの場合: 腹部突き上げ法(ハイムリック法)

  1. 2
    119番通報
  2. 4
    子どもの後ろから両腕を回して抱きかかえる
  3. 6
    片手でグーを作り、みぞおちの少し下に当てる
  4. 8
    もう片方の手で握り、斜め上に向かって素早く引き上げる(5回)
  5. 10
    吐き出さなければ背部叩打法と交互に繰り返す

重要: 窒息は数分で命に関わります。迷わず119番通報し、救急車を待つ間に応急処置を行ってください。

4. 誤飲による窒息リスク、家庭内チェック

家の中の危険物チェックリスト

以下のものが 子どもの手の届く場所にないか、今すぐ確認してください。

乳幼児(0〜3歳)が誤飲しやすいもの

  • ボタン電池(食道に停滞すると2時間以内に化学熱傷・穿孔の報告あり。最も緊急度が高い [7])
  • 磁石(複数個)(腸で挟まり、壊死の危険)
  • ビー玉・おはじき
  • 小さなおもちゃのパーツ(レゴの小さいブロックなど)
  • 硬貨
  • タバコ・タバコの吸い殻(ニコチン中毒)
  • 洗剤・漂白剤の詰め替えパック(誤飲すると化学熱傷)
  • 化粧品・香水
  • 医薬品・サプリメント

「39mm(トイレットペーパーの芯)テスト」

トイレットペーパーの芯(内径約39mm)を通るものは、子どもの口に入るサイズと考えてください [8]。芯にすっと入るものは、すべて誤飲リスクがあります。

5. もし誤飲したら、対応チャート

すぐに119番(救急車)

  • ボタン電池を飲んだ
  • 磁石を複数個飲んだ
  • タバコを飲んだ
  • 意識がない、ぐったりしている
  • 呼吸が苦しそう

すぐに中毒110番または病院に電話

  • 洗剤・漂白剤を飲んだ
  • 医薬品・化粧品を飲んだ
  • 何を飲んだか分からないが、様子がおかしい

中毒110番

  • 大阪: 072-727-2499(24時間対応、無料)
  • つくば: 029-852-9999(9:00〜21:00、無料)
  • #7119(救急安心センター、地域により対応)

様子を見てOK(ただし観察は継続)

  • 小さな紙片を飲んだ
  • クレヨン・絵の具(少量)
  • シールを1枚飲んだ

絶対にやってはいけないこと: 無理に吐かせる(窒息・誤嚥性肺炎のリスク)、自己判断で水や牛乳を飲ませる(物質によって吸収を早めたり、吐かせた際の誤嚥リスクが高まるため、中毒110番の指示に従う)

6. 年齢別・窒息予防の重点ポイント

年齢重点ポイント
6ヶ月〜1歳離乳食は適切な大きさに。床に落ちているもの(ボタン、ビー玉など)に注意
1〜2歳「何でも口に入れる時期」。ぶどう・ミニトマトは縦4等分。ナッツ類は絶対NG
3〜5歳「ながら食べ」「急いで食べる」をやめさせる。飴玉・こんにゃくゼリーは避ける

7. 先生に相談したいこと(健診・受診時に)

  • 「うちの子、何でも口に入れるんですが、いつまで続きますか?」
  • 「ぶどうやミニトマト、いつから丸ごとあげていいですか?」
  • 「窒息の応急処置(背部叩打法)を実際に教えてもらえますか?」
  • 自分のギモン: ____________
コンコン先生
🏥

おかもん先生より

窒息事故は「知っていれば防げた」ケースがほとんどです。ぶどうを縦4等分にする、ピーナッツは5歳まで与えない。これだけで救える命があります。

特にご注意いただきたいのは、祖父母世代や親戚が集まるタイミングです。「ちょっとくらい」が事故につながります。このチェックリストをぜひ家族で共有してください。

関連記事: vol028「感染性胃腸炎のホームケア」、vol023「夜間受診の判断」

愛育病院 小児科 おかもん

参考資料

[1] 消費者庁. 子どもの窒息・誤嚥事故に注意!. 2021年.(0〜5歳の不慮の事故死の上位原因が窒息)

[2] Khorana M, et al. Foreign body aspiration in children: clinical features and outcomes. Pediatr Pulmonol. 2020;55(9):2489-2494.(ナッツ類の気管異物は重症肺炎の原因)

[3] 消費者庁. こんにゃく入りゼリーによる窒息事故の防止について. 2010年.(窒息死事例多数)

[4] CDC. Non-fatal choking on food among children 14 years and under in the United States. Int J Pediatr Otorhinolaryngol. 2008;72(6):849-853.(飴玉による窒息事例)

[5] Altkorn R, et al. Fatal and non-fatal food injuries among children (aged 0-14 years). Int J Pediatr Otorhinolaryngol. 2008;72(7):1041-1046.(ぶどう・ミニトマトは縦4等分を推奨)

[6] 日本小児科学会. Injury Alert(傷害速報)No.76 ぶどうによる窒息. 2020年.(「ながら食べ」「急いで食べる」がリスク因子)

[7] 日本中毒情報センター. ボタン電池の誤飲事故. (ボタン電池は2時間以内に重篤な化学熱傷を起こす)

[8] US Consumer Product Safety Commission. Safety Standard for Toy Safety. 16 CFR Part 1501.(直径31.8mm(約32mm)以下の球状物は3歳未満の窒息リスク。日本では39mmテストが一般的)

※ このチェックリストは一般的な予防情報です。万が一の事故が起きた場合は、すぐに119番通報してください。

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※ この記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。お子さんの症状が心配な場合は、かかりつけの小児科医にご相談ください。

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