「おむつを替えたら、うんちに血が混じっていました!」、夜間救急でよく受ける相談の一つです。赤ちゃんのうんちに血が混じっていると、保護者の方は本当に驚かれます。
今回は、赤ちゃんの血便の見分け方と、受診のタイミング についてお伝えします。
赤ちゃんの血便って、どんな原因がありますか?#
赤ちゃんの血便の原因は様々です。緊急性の高いものから、様子を見てよいものまであります [1]
赤ちゃんの血便の主な原因(頻度順):
| 原因 | 頻度 | 緊急度 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 肛門の傷(裂肛) | ★★★ | 低 | 便の表面に鮮血が付着。便秘気味の子に多い [2] |
| 牛乳アレルギー | ★★ | 低〜中 | 血便 + 嘔吐・下痢・湿疹 [3] |
| 細菌性腸炎 | ★ | 中 | 発熱 + 下痢 + 粘血便 [4] |
| 腸重積 | ★(稀) | 高 | ゼリー状血便 + 激しい腹痛・嘔吐 [5] |
| 新生児メレナ | ★(稀) | 高 | 生後数日の新生児の黒い血便 [6] |
最も多いのは 肛門の傷(裂肛) です [2]。便秘気味で硬い便が出たときに、肛門が切れて少量の血が付くことがあります。これは緊急性は低いですが、便秘の改善が必要です
血便の色で、緊急度がわかりますか?#

血便の色で見る緊急度。至急・赤、黒いタール便、ゼリー状の粘血便、大量出血。注意・黄、暗赤色の粘血便、激しい腹痛や嘔吐を伴う。家庭・緑、便の表面に少量の鮮血、元気で機嫌が良い。
血便の色と性状は、緊急度を判断する重要なポイントです [7]
血便の色・性状と緊急度:
① 鮮紅色の血(真っ赤な血)#
特徴:
- 便の表面に鮮やかな赤い血が付着
- ティッシュやおむつに少量の血
考えられる原因:
- 肛門の傷(裂肛) [2]
- 大腸の下部(肛門に近い部分)からの出血
緊急度: 低〜中
- 元気で機嫌が良ければ翌日受診
- 出血量が多い、繰り返す場合は当日受診
② 暗赤色の血・粘血便#
特徴:
- うんち全体に暗い赤色の血が混じる
- ドロドロした粘液状の血便
- 「イチゴゼリー様」と表現されることも [5]
考えられる原因:
緊急度: 中〜高
- 激しい腹痛・嘔吐があればすぐ救急受診
- 機嫌が悪い、ぐったりしていたら当日受診
③ 黒いタール便#
特徴:
- 真っ黒で、タールやコールタールのような便
- ネバネバしている
- 臭いが強い
考えられる原因:
緊急度: 高
- すぐに医療機関を受診
- 上部消化管(胃・十二指腸)からの出血の可能性
特に注意が必要なのは、ゼリー状の血便(腸重積の疑い) と 黒いタール便(上部消化管出血の疑い) です [5][7]。これらが見られたら、すぐに受診してください
腸重積って、どんな病気ですか?#
ゼリー状血便が出たら腸重積の疑いとのことですが、どんな病気ですか?
腸重積は、腸が腸の中に入り込んでしまう病気です [5]。早期発見・早期治療が非常に重要です
腸重積の症状(3大症状):
| 症状 | 特徴 |
|---|---|
| 激しい腹痛 | 10〜20分おきに繰り返す。泣き叫ぶ → 落ち着く → また泣く |
| 嘔吐 | 繰り返す嘔吐 |
| 血便 | イチゴゼリー様の粘血便(発症数時間〜12時間後に出現) [5] |
腸重積を疑うサイン:

腸重積を疑うサイン。激しい腹痛が10〜20分おきに繰り返す。繰り返す嘔吐。イチゴゼリー様の粘血便。顔色が悪い・ぐったり。足を曲げてお腹を抱える姿勢。当てはまればすぐ救急受診。
- 顔色が悪い(土色、青白い)
- お腹が張っている
- ぐったりしている(泣く力もない)
- 足を曲げてお腹を抱えるような姿勢
- 血便(ゼリー状、イチゴジャム様)
腸重積は24時間以内の治療が原則です [8]。時間が経つと腸が壊死し、手術が必要になることもあります。激しい腹痛 + 嘔吐 + 血便の3つが揃ったら、すぐに救急受診してください。ただし、この3症状が全て揃うのは約20〜40%で、腹痛だけ・嘔吐だけで発症することもあります [5]。一つでも当てはまる場合は早めの受診をおすすめします
腸重積の治療:
肛門の傷(裂肛)の場合、どうすればいいですか?#
肛門の傷が原因の場合、家でできるケアはありますか?
肛門の傷(裂肛)は、便秘の改善が最も大切です [2]
- 肛門の粘膜が切れた状態
- 硬い便が原因で起こることが多い [2]
- 排便時に痛む → 排便を我慢 → さらに便秘悪化、という悪循環
裂肛の家庭でのケア:
① 便秘の改善#
食事:
- 水分をしっかり摂る(母乳・ミルク・白湯)
- 食物繊維を増やす(プルーン、さつまいも、りんご、バナナ)
- ヨーグルト・納豆などの発酵食品
生活習慣:
- 毎日決まった時間にトイレに座る習慣
- 無理に排便させない
薬:
- 浸透圧性下剤(マルツエキス、ラクツロース)[9]
- 便を柔らかくする
- 赤ちゃんにも安全
- 坐薬(グリセリン浣腸)
- 硬い便が溜まっているときの応急処置
② 肛門のケア#
- 排便後は ぬるま湯でやさしく洗う
- ゴシゴシ拭かない
- おしりふきの使いすぎに注意(刺激になる)
裂肛は、便秘を治せば自然に治ります [2]。ただし、繰り返す場合や、血便が続く場合は受診してください
こんなときはすぐに受診すべき、というサインを教えてください#
血便が出たとき、どんな状態ならすぐに病院に行くべきですか?
血便が出たときの受診のタイミングをまとめます
すぐに救急受診(119番も検討):
- ゼリー状・イチゴジャム様の血便
- 黒いタール便
- 大量の出血(おむつ全体が血で染まる)
- 激しい腹痛(10〜20分おきに泣き叫ぶ)
- 繰り返す嘔吐
- ぐったりしている(意識がもうろう、呼びかけに反応が弱い)
- 顔色が悪い(土色、青白い)
- 生後3ヶ月未満の新生児の血便 [6]
当日〜翌日に受診:
- 鮮紅色の血が便の表面に付着(元気・機嫌が良い)
- 血便が繰り返す(1日2回以上)
- 発熱・下痢がある
- 機嫌が悪い、食欲がない
様子を見てOK:
- ごく少量の鮮血(ティッシュに付く程度)
- 1回きり、その後は普通の便
- 元気で機嫌が良い
- 食欲がある
判断に迷ったら、小児救急電話相談(#8000)に電話してください [10]。詳しくはVol.023 夜間受診の判断も参照してください
受診時に伝えること:
- いつから血便が出たか
- 血便の色・性状(写真があれば見せる)
- 出血の量
- 他の症状(発熱・嘔吐・腹痛・機嫌)
- 食事・水分は摂れているか
まとめ#
- 赤ちゃんの血便の原因は様々。肛門の傷(裂肛)が最も多い
- 血便の色で緊急度を判断: ゼリー状・黒いタール便は要注意
- 腸重積: 激しい腹痛 + 嘔吐 + ゼリー状血便。24時間以内の治療が必要
- 裂肛: 便秘の改善が鍵。水分・食物繊維を増やす
- すぐ受診: ゼリー状血便、黒いタール便、大量出血、ぐったり
- 少量の鮮血で元気なら 翌日受診OK