「この喉の痛みは風邪じゃない」、溶連菌感染症は「ちゃんと抗生物質」が必要です#
「喉が痛い」「高い熱が出た」、冬から春にかけて、お子さんがこうした症状で外来にいらっしゃることが多くなります。「風邪かな?」と思われるかもしれませんが、咳や鼻水がほとんどないのに高熱+喉の痛みが強い場合、溶連菌感染症の可能性があります。
溶連菌感染症は、vol012でお伝えした「風邪に抗生物質は不要」の例外にあたる病気です。今回は、溶連菌感染症の見分け方・治療・注意点について詳しくお伝えします。
溶連菌感染症って何ですか?風邪とどう違うんですか#
溶連菌感染症は、A群溶血性レンサ球菌(GAS)という細菌が喉に感染して起こる病気です [1]。風邪はウイルスが原因ですが、溶連菌は細菌が原因。ここが大きな違いです
| 特徴 | 風邪(ウイルス性) | 溶連菌感染症 |
|---|---|---|
| 原因 | ウイルス | A群溶血性レンサ球菌(細菌) |
| 発熱 | 37〜38度台が多い | 38〜40度の高熱 |
| 喉の痛み | 軽度〜中等度 | 非常に強い |
| 咳・鼻水 | あることが多い | ほとんどない [2] |
| 喉の所見 | 軽い発赤 | 真っ赤に腫れる。白い膿が付着 |
| 好発年齢 | 全年齢 | 5〜15歳に多い [1] |
| 抗生物質 | 不要 | 必要 |
ポイントは『咳と鼻水がない』ことです [2]。高熱+喉の痛みが強いのに、咳も鼻水もほとんどない場合は、溶連菌を疑います
どんな検査で診断するんですか#
はい。溶連菌迅速検査で、5〜10分程度で結果がわかります [3]。綿棒で喉の奥をこすって検査キットで判定します。感度は約85〜90%、特異度は約95%です [3]
3歳未満では比較的まれで、典型的な症状が出にくいためルーチンの検査は推奨されていません [4]。ただし兄弟姉妹に溶連菌患者がいる場合は検査を行うこともあります
溶連菌の特徴的な症状を教えてください#
| 症状 | 説明 |
|---|---|
| いちご舌 | 舌が赤くブツブツになり、いちごのように見える [5] |
| 砂紙様皮疹 | 体にザラザラした細かい発疹(猩紅熱)[5] |
| 口囲蒼白 | 顔は赤いのに口の周りだけ白い |
| リンパ節の腫れ | 首のリンパ節が腫れて痛む |
回復期に手足の皮がむける(落屑)ことがありますが、正常な経過です [5]
抗生物質は何日間飲めばいいですか#
絶対にやめないでください [6]。10日間飲み切る必要があります
- 再発防止: 途中でやめると菌が再び増殖する
- リウマチ熱の予防: 感染後2〜4週間で心臓の弁が傷つくことがある [7]
- 急性糸球体腎炎: 感染後1〜3週間で腎臓に炎症が起きることがある [8]
| 抗生物質 | 期間 |
|---|---|
| アモキシシリン(AMPC) | 10日間 |
| ペニシリンアレルギーの場合 | マクロライド系 5日間 |
24〜48時間で症状は改善しますが、治癒ではありません [6]。10日分すべて飲み切ってください
保育園にはいつから行けますか#
抗生物質開始後24時間以上+解熱+元気であれば登園・登校OK です [9]。兄弟姉妹にうつる可能性があるので、家族内で喉の痛み・発熱が出たら早めに受診してください [1]。治癒後2〜3週間後にむくみ・血尿があれば急性糸球体腎炎の可能性があるため検尿をお勧めします [8]
まとめ#
- 溶連菌は細菌による喉の感染症。抗生物質が必要 [1][6]
- 高熱+喉の痛み+咳と鼻水がないのが特徴 [2]
- 迅速検査で5〜10分で診断可能 [3]
- 抗生物質は10日間飲み切る [6][7]
- 抗生物質開始後24時間で登園OK [9]
- 治癒後2〜3週間で検尿を推奨 [8]