愛育病院 小児科おかもん先生 だより Vol.51
「この喉の痛みは風邪じゃない」、溶連菌感染症は「ちゃんと抗生物質」が必要です
今号のポイント
- 2溶連菌は「抗生物質が必要な」喉の感染症。風邪とは別物
- 4咳・鼻水がほとんどなく、高熱+激しい喉の痛みが特徴
- 6処方された抗生物質は10日間飲み切ることが最も大切
こんにちは。愛育病院小児科のおかもん先生です。
「喉が痛い」「高い熱が出た」、冬から春にかけて、お子さんがこうした症状で外来にいらっしゃることが多くなります。「風邪かな?」と思われるかもしれませんが、咳や鼻水がほとんどないのに高熱+喉の痛みが強い場合、溶連菌感染症の可能性があります。
溶連菌感染症は、vol012でお伝えした「風邪に抗生物質は不要」の代表的な例外です。今回は、見分け方・治療・登園の目安まで、外来でよく聞かれる順にお話しします。
Q1.「溶連菌感染症って何ですか?風邪とどう違うんですか?」
——子どもが急に39度の熱を出して、喉が痛いと泣いています。風邪でしょうか?
溶連菌感染症は、A群溶血性レンサ球菌(GAS)という細菌が喉に感染して起こる病気です [1]。風邪はウイルスが原因ですが、溶連菌は細菌が原因。ここが大きな違いです
風邪と溶連菌の見分け方 [1][2]:
風邪(ウイルス性)
- 原因
- ウイルス
- 発熱
- 37〜38度台が多い
- 喉の痛み
- 軽度〜中等度
- 咳・鼻水
- あることが多い
- 喉の所見
- 軽い発赤
- 好発年齢
- 全年齢
- 抗生物質
- 不要
溶連菌感染症
- 原因
- A群溶血性レンサ球菌(細菌)
- 発熱
- 38〜40度の高熱
- 喉の痛み
- 非常に強い
- 咳・鼻水
- ほとんどない [2]
- 喉の所見
- 真っ赤に腫れる。白い膿が付着
- 好発年齢
- 5〜15歳に多い [1]
- 抗生物質
- 必要
ポイントは『咳と鼻水がない』ことです [2]。高熱+喉の痛みが強いのに、咳も鼻水もほとんどない場合は、溶連菌を疑います
ポイント
- 溶連菌は細菌による喉の感染症。風邪(ウイルス)とは別物 [1]
- 高熱+激しい喉の痛み+咳と鼻水がないのが特徴的 [2]
- 5〜15歳に多いが、幼児でもかかる [1]
Q2.「どんな検査で診断するんですか?」
——病院に行ったら、すぐにわかるものですか?
はい。溶連菌迅速検査で、5〜10分程度で結果がわかります [3]。綿棒で喉の奥をこすって検査キットで判定します。感度は約85〜90%、特異度は約95%です [3]
——3歳以下でもかかりますか?
3歳未満では比較的まれで、典型的な症状が出にくいためルーチンの検査は推奨されていません [4]。ただし兄弟姉妹に溶連菌患者がいる場合は検査を行うこともあります
ポイント
- 溶連菌迅速検査で5〜10分で診断可能 [3]
- 3歳未満では典型的な症状が出にくい [4]
Q3.「溶連菌の特徴的な症状を教えてください」
——喉の痛みと熱以外にも、何かサインはありますか?
はい、特徴的な所見があります [1][5]
| 症状 | 説明 |
|---|---|
| いちご舌 | 舌が赤くブツブツになり、いちごのように見える [5] |
| 砂紙様皮疹 | 体にザラザラした細かい発疹(猩紅熱)[5] |
| 口囲蒼白 | 顔は赤いのに口の周りだけ白い |
| リンパ節の腫れ | 首のリンパ節が腫れて痛む |
回復期に手足の皮がむける(落屑)ことがありますが、正常な経過です [5]
ポイント
- いちご舌と砂紙様皮疹は溶連菌の特徴 [5]
- 砂紙様皮疹が出た状態を猩紅熱と呼ぶ [5]
Q4.「抗生物質は何日間飲めばいいですか?」
——飲み始めて2日で元気になりました。もうやめていいですか?
絶対にやめないでください [6]。10日間飲み切る必要があります
理由 [6][7]:
- 2再発防止: 途中でやめると菌が再び増殖する
- 4リウマチ熱の予防: 感染後2〜4週間で心臓の弁が傷つくことがある [7]
- 6急性糸球体腎炎: 感染後1〜3週間で腎臓に炎症が起きることがある [8]
| 抗生物質 | 期間 |
|---|---|
| アモキシシリン(AMPC) | 10日間 |
| ペニシリンアレルギーの場合 | アジスロマイシン 5日間、または他のマクロライド・セフェム系で薬剤ごとに定められた期間 |
24〜48時間で症状は改善しますが、治癒ではありません [6]。10日分すべて飲み切ってください
ポイント
- 抗生物質は10日間飲み切るのが鉄則 [6]
- リウマチ熱予防のため途中でやめない [7]
Q5.「保育園にはいつから行けますか?」
——保育園はいつから行けますか?
抗生物質開始後24時間以上+解熱+元気であれば登園・登校OK です [9]。兄弟姉妹にうつる可能性があるので、家族内で喉の痛み・発熱が出たら早めに受診してください [1]。治癒後2〜3週間後にむくみ・血尿があれば急性糸球体腎炎の可能性があるため検尿をお勧めします [8]
ポイント
- 抗生物質開始後24時間+解熱+元気なら登園OK [9]
- 治癒後2〜3週間で検尿を推奨 [8]
まとめ
- 溶連菌は細菌による喉の感染症。抗生物質が必要 [1][6]
- 高熱+喉の痛み+咳と鼻水がないのが特徴 [2]
- 迅速検査で5〜10分で診断可能 [3]
- 抗生物質は10日間飲み切る [6][7]
- 抗生物質開始後24時間で登園OK [9]
- 治癒後2〜3週間で検尿を推奨 [8]
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