愛育病院 小児科おかもん先生 だより Vol.134
「学校に行きたくない」、発達障害と不登校
こんにちは。愛育病院小児科のおかもん先生です。
不登校の児童生徒は2022年度に約30万人と過去最多を記録し、その背景に発達障害の特性が関わっているケースは少なくありません。発達障害のあるお子さんは、感覚の問題、対人関係の困難、学習のつまずきなどから学校生活にストレスを感じやすく、二次的に不登校に至ることがあります。今回は、発達障害と不登校の関連と対応についてお伝えします。
Q1.「発達障害と不登校は関係がありますか?」
——うちの子は発達障害の診断を受けていますが、最近学校に行きたがりません
発達障害と不登校には密接な関連があります [1]。不登校の児童生徒のうち、発達障害の特性を持つ割合は20-30%という報告があります。
| 発達障害のタイプ | 不登校につながりやすい要因 |
|---|---|
| ASD | 感覚過敏、対人関係の困難、予測不能な状況への不安 |
| ADHD | 叱責の蓄積、自己肯定感の低下、対人トラブル |
| LD | 学習のつまずき、努力が報われない経験 |
| DCD | 体育・実技への苦手意識、からかい |
「不登校はお子さんからのSOSです。『怠けている』のではなく、学校環境がお子さんの特性に合っていないサインと捉えてください。」
ポイント
- 不登校児の20-30%に発達障害の特性がある
- 不登校は「怠け」ではなくSOS
- 学校環境と特性のミスマッチが原因
Q2.「不登校の初期サインは?」
——不登校になる前に気づけるサインはありますか?
以下のサインに注意してください [2]。
| 段階 | サイン |
|---|---|
| 初期 | 朝の体調不良(腹痛、頭痛)、登校しぶり、日曜夜の不安 |
| 中期 | 遅刻・早退の増加、特定の授業を避ける、保健室登校 |
| 後期 | 完全に登校できなくなる、外出を避ける |
| 体の症状(心身症) | 心の症状 |
|---|---|
| 腹痛・嘔気 | イライラ、暴言が増える |
| 頭痛 | 無気力、興味の喪失 |
| 微熱 | 涙もろくなる |
| 夜眠れない | 自己否定的な発言 |
| 朝起きられない | 「死にたい」等の発言(要緊急対応) |
「体の症状は検査をしても異常がないことが多いですが、お子さんにとっては本当につらい症状です。仮病と決めつけないでください。」
ポイント
- 朝の体調不良は重要なサイン
- 体の症状は仮病ではない
- 「死にたい」等の発言があれば緊急対応を
Q3.「不登校になったらどう対応すればいいですか?」
——無理に行かせるべきですか?
無理に登校させることは逆効果です [3]。以下のステップで対応しましょう。
| ステップ | 対応 |
|---|---|
| ①安心の確保 | まず「家は安全な場所」と伝える。責めない |
| ②心身の回復 | 十分な休息、規則正しい生活リズムの維持 |
| ③原因の把握 | 何がつらいのかを丁寧に聞く。専門家に相談 |
| ④環境調整 | 学校側と連携し、負担を減らす調整を依頼 |
| ⑤段階的な再開 | 別室登校、時短登校等、無理のないペースで |
「特に発達障害のあるお子さんは、環境調整が鍵です。感覚過敏ならイヤーマフの許可、対人トラブルならクラス替えの配慮など、具体的な手立てがないまま登校を促しても状況は改善しません。」
ポイント
- 無理に登校させない
- 家を安全な場所にする
- 環境調整が最優先
Q4.「学校以外の学びの場はありますか?」
——学校に行けない間、どこで学べますか?
学校以外にも多様な学びの場があります [4]。
| 学びの場 | 特徴 |
|---|---|
| 教育支援センター(適応指導教室) | 自治体が設置。無料。出席扱いになる |
| フリースクール | 民間。個別対応。出席扱いになる場合がある |
| ICT活用による在宅学習 | オンライン教材。出席扱いの基準あり |
| 放課後等デイサービス | 社会性の維持に有効 |
| 家庭教師・個別指導 | 学習の遅れを補う |
「2016年に成立した教育機会確保法と、その後の文部科学省通知によって、学校以外での学びも一定の要件を満たせば出席扱いにできるようになりました [4]。担任・教育委員会に相談してください。港区には教育支援センターがあり、個別対応で学習支援を行っています。」
ポイント
- 学校以外にも多様な学びの場がある
- 出席扱いになる場合がある
- 港区の教育支援センターを活用
Q5.「どこに相談すればいいですか?」
——誰に相談すればいいか分かりません
以下の相談先があります [5]。
| 相談先 | 対応内容 |
|---|---|
| かかりつけ小児科 | 発達特性の評価、心身症の対応、医療連携 |
| スクールカウンセラー | 学校での心理支援、環境調整の提案 |
| 教育相談室 | 港区教育委員会の相談窓口 |
| 児童精神科 | 二次障害(うつ・不安等)の診断・治療 |
| 教育支援センター | 学習支援、社会性の支援 |
「不登校は家庭だけで抱え込まないでください。早い段階で複数の専門家と連携することが、回復への近道です。」
ポイント
- 家庭だけで抱え込まない
- 早い段階で専門家に相談
- 複数の相談先を活用
今号のまとめ
- 不登校は「怠け」ではなくSOSです。発達障害の特性が背景にあることが多い
- 無理に登校させない。まず安心の確保と心身の回復を
- 環境調整が鍵。学校と連携して具体的な手立てを
- 学校以外にも多様な学びの場があります
- 早い段階で専門家に相談してください
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