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「噛んだ」「噛まれた」、園でのお友達トラブル、年齢別の意味と親の対応
Vol.313発達

「噛んだ」「噛まれた」、園でのお友達トラブル、年齢別の意味と親の対応

園でのお友達トラブルへの対応と社会性発達のサポート

発達3〜6歳10
おかもん先生小児科専門医愛育病院 小児科

参考文献 0·Q&A 4問収録

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この記事のポイント

  • 1〜2歳の噛みつき・ひっかきは言葉の代わりの表現手段。言語発達とともに減少するので過度に心配しなくてよい
  • 3〜4歳のおもちゃの取り合いは「所有」の概念が発達する過程。5歳頃の仲間はずれは社会性の成長に伴う行動
  • 親の介入は「安全の確保」と「保育士との連携」が基本。加害側・被害側どちらの親も子どもの気持ちに寄り添うことが大切

愛育病院 小児科おかもん だより Vol.313

「噛んだ」「噛まれた」、園でのお友達トラブル、年齢別の意味と親の対応

今号のポイント

  1. 2
    1〜2歳の噛みつき・ひっかきは言葉の代わりの表現手段。言語発達とともに減少するので過度に心配しなくてよい
  2. 4
    3〜4歳のおもちゃの取り合いは「所有」の概念が発達する過程。5歳頃の仲間はずれは社会性の成長に伴う行動
  3. 6
    親の介入は「安全の確保」と「保育士との連携」が基本。加害側・被害側どちらの親も子どもの気持ちに寄り添うことが大切

こんにちは。愛育病院小児科のおかもんです。

今回のテーマは園でのお友達トラブルです。

「お迎えに行ったら噛まれた跡がありました」「うちの子がお友達を叩いてしまいました」、外来でも園でのトラブルの相談はよく受けます。こうしたぶつかり合いの多くは、発達段階に応じた正常な行動で、社会性を学ぶ大事な機会でもあります。今号では、年齢別にトラブルの意味と対応を整理します。

Q1.「1歳の子がお友達を噛みます。どうしたらいいですか?」

——1歳半の子が保育園でお友達を噛んでしまいます。噛み癖は治りますか?

1〜2歳のお子さんの噛みつきは非常によく見られる行動で、保育園でのトラブルの代表格です [1]。この年齢の噛みつきは"言葉の代わり"だと理解してください

——言葉の代わり、ですか?

はい。1〜2歳のお子さんは、"このおもちゃが欲しい""近づかないで""かまってほしい"などの感情を言葉で伝える力がまだ十分に発達していません [1]。そこで、最も手っ取り早い身体的な手段、噛む、ひっかく、押す、で自分の意思を表現するのです [1][2]。決して"乱暴な性格"というわけではありません

噛みつきが多い時期は1歳〜2歳半頃で、言語能力が発達する2歳半〜3歳頃には自然に減少します [2]。"やめて""貸して""いやだ"などの言葉が使えるようになると、噛む必要がなくなるのです

噛みつきへの対応具体的方法
その場で短く制止「噛んだら痛いよ。やめようね」と簡潔に伝える [2]
代替行動を教える「貸してって言おうね」「手を出す前に先生を呼ぼうね」 [2]
大げさに叱らない長い説教は1〜2歳には理解できない。短く、繰り返し伝える [1]
噛み返さない「噛まれたら痛いでしょ」と噛み返すのは暴力を教えることになる [1]

ポイント

  • 1〜2歳の噛みつきは言葉の代わり。乱暴な性格ではない [1]
  • 2歳半〜3歳頃に言語発達とともに自然に減少する [2]
  • 噛み返す・大げさに叱るはNG。短く制止し代替行動を教える [1][2]

Q2.「おもちゃの取り合いが毎日あります」

お父さん「3歳の子が毎日のように"○○ちゃんがおもちゃ取った"と泣いて帰ってきます」

3歳前後のおもちゃの取り合いは、"所有"という概念を理解し始めた証です [3]。"これは僕のもの"という意識が芽生えますが、"順番に使う""共有する"といったルールはまだ理解が難しい時期です [3]

お父さん「"貸してあげなさい"と言えばいいですか?」

いきなり"貸してあげなさい"と言うと、お子さんは自分の所有権が否定されたと感じます [3]。以下のステップが効果的です。

ステップ具体例
1. 気持ちを受け止める「そのおもちゃで遊びたかったんだね」 [3]
2. 相手の気持ちを伝える「○○ちゃんも使いたいんだって」 [3]
3. 解決策を一緒に考える「順番に使おうか? タイマーかけようか?」 [4]
4. できたら具体的に褒める「順番に使えたね、かっこいいね」 [4]

"貸して""いいよ"の強制は避けてください [4]。"貸して"と言われたら必ず"いいよ"と答えなければならない、というルールは、お子さんの"自分の意思でNo と言う権利"を奪います [4]。"今使っているから、終わったらね"という選択肢も教えてあげてください

ポイント

  • おもちゃの取り合いは「所有」の概念の発達段階 [3]
  • 気持ちを受け止める→相手の気持ちを伝える→解決策を考えるのステップが効果的 [3][4]
  • 「貸して」「いいよ」の強制はNG。「今使っているから終わったらね」もOK [4]

Q3.「5歳の子が仲間はずれにされているようです」

——5歳の子が"○○ちゃんたちが入れてくれない"と言います。どうすればいいですか?

4〜5歳になると、特定の友達との関係が深まり、グループが形成されます [5]。同時に仲間はずれや"あっちいって"といった排他的な行動も見られるようになります。これは社会性の発達に伴う行動であり、"いじめ"とは区別する必要があります [5]

——仲間はずれといじめの違いは何ですか?

幼児期の仲間はずれは多くの場合、グループのダイナミクスの中で一時的に起きる現象で、"今日は○○ちゃんと遊びたい"という気持ちの表れです [5]。関係は流動的で、明日には仲良く遊んでいることも多いです。一方、特定の子が継続的・意図的に排除されるパターンは注意が必要で、保育士と連携して対応すべきです [5][6]

親の対応具体例
まず子どもの気持ちを聞く「悲しかったね。どんなことがあったか教えてくれる?」 [5]
すぐに介入しない子ども同士で解決する力を信じて見守る [6]
「やめて」が言えるようにする「いやだ」「入れて」と自分で伝える練習をする [6]
他の友達関係を広げる園以外の場でも友達関係を作る機会を設ける [5]
保育士に状況を確認する子どもの話だけでなく、園での実際の様子を把握する [6]

ポイント

  • 4〜5歳の仲間はずれは社会性の発達に伴う行動。多くは一時的 [5]
  • 「やめて」「入れて」を自分で言えるようにする練習が大切 [6]
  • 継続的・意図的な排除は保育士と連携して対応 [5][6]

Q4.「加害側・被害側、それぞれの親はどう対応すればいいですか?」

お父さん「うちの子が噛んでしまった側なのですが、相手の親にどう対応すればいいですか?」

まず整理すると、園でのトラブルへの対応は基本的に園が仲介するのが原則です [6]。ただし、親御さんとしての対応も大切ですので、加害側・被害側それぞれのポイントをお伝えします。

立場対応のポイント
加害側の親
子どもへの対応「なぜ噛んだのか」の気持ちを聞く→「噛んだら痛いよ」と行動を修正する [2]
相手の親への対応園から話があった場合は誠実に謝罪する [6]
自分自身"うちの子は乱暴"と決めつけない。発達段階の行動と理解する [1]
被害側の親
子どもへの対応「痛かったね」と気持ちを受け止める。"やられたらやり返せ"とは言わない [6]
園への対応園に状況を確認し、再発防止策を相談する [6]
自分自身加害側の子も発達段階の行動であることを理解する [1]

最も重要なのは保育士との連携です [6]。園でのトラブルは、保育士がその場で対応しています。お迎え時に"今日どんな様子でしたか?"と聞く習慣をつけると、状況を正確に把握できます。子どもの話だけでは一方的な情報になりがちですので、園と家庭の双方向のコミュニケーションを大切にしてください

もうひとつ大切なことがあります。園での友達トラブルは、社会性を学ぶための"練習"です [4][6]。ぶつかり合いの中で、"相手にも気持ちがある""ルールを守る""謝る""許す"といったスキルを獲得していきます。親が先回りして全てを防ごうとすると、この学びの機会を奪ってしまうことになります

ポイント

  • 園でのトラブルは園が仲介するのが原則 [6]
  • 加害側は行動を修正しつつ"乱暴な子"と決めつけない。被害側は気持ちを受け止めつつ"やり返せ"と言わない [1][2][6]
  • 保育士との連携が最も重要。友達トラブルは社会性を学ぶ練習 [4][6]

今号のまとめ

  • 1〜2歳の噛みつき・ひっかきは言葉の代わり。言語発達とともに減少する [1][2]
  • おもちゃの取り合いは「所有」の概念の発達段階。「貸して」「いいよ」の強制はNG [3][4]
  • 4〜5歳の仲間はずれは社会性の発達に伴う一時的な行動が多い [5]
  • 「やめて」「貸して」「入れて」を自分で言えるようにする練習が大切 [6]
  • 保育士との連携が基本。子どものトラブルは社会性を学ぶ貴重な機会 [4][6]

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ご質問・ご感想をお待ちしています

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愛育病院 小児科 おかもん

※ この記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。お子さんの症状が心配な場合は、かかりつけの小児科医にご相談ください。記事中の情報は掲載時点の医学的知見に基づいており、今後の研究の進展により変更される可能性があります。

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※ この記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。お子さんの症状が心配な場合は、かかりつけの小児科医にご相談ください。

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