愛育病院 小児科おかもん先生 だより Vol.192
「おしりが赤く腫れています」、乳児の肛門周囲膿瘍
こんにちは。愛育病院小児科のおかもん先生です。
肛門周囲膿瘍は、肛門の周りに膿がたまる病気で、乳児(特に生後1-6か月の男児)に多く見られます。おしりの赤い腫れに気づいて受診されることが多く、適切な治療をすれば予後は良好です。今回は、乳児の肛門周囲膿瘍についてお伝えします。
Q1.「肛門周囲膿瘍とは?」
——おむつ替えの時に、おしりの横が赤く腫れているのに気づきました
肛門周囲膿瘍は、肛門の近くに細菌感染による膿のかたまり(膿瘍)ができる病気です [1]。
| 基本情報 | 詳細 |
|---|---|
| 好発年齢 | 生後1-6か月 |
| 男女比 | 男児に圧倒的に多い(9:1) |
| 原因 | 肛門陰窩(肛門内の小さなくぼみ)からの細菌感染 |
| 症状 | 肛門周囲の発赤、腫脹、痛み |
| 予後 | 良好。多くは1歳頃までに自然に治る |
ポイント
- 生後1-6か月の男児に多い
- 肛門の周りが赤く腫れる
- 予後は良好
Q2.「治療はどうしますか?」
——切開が必要ですか?
膿瘍の大きさと状態によって対応が異なります [2]。
| 状態 | 治療 |
|---|---|
| 小さな膿瘍 | 抗菌薬内服+座浴で経過観察 |
| 大きな膿瘍・自壊しない | 切開排膿(局所麻酔下) |
| 自壊した(自然に破れた) | 排膿を促し、清潔に保つ |
| 家庭でのケア |
|---|
| おしりを清潔に保つ(おむつ替えのたびに洗浄) |
| 座浴(温かいお湯でおしりを温める)1日2-3回 |
| 便が柔らかくなるよう水分・食物繊維を摂る |
「多くの場合、小さな膿瘍は抗菌薬と座浴で改善します。切開が必要な場合も、局所麻酔で行う簡単な処置です。」
ポイント
- 小さな膿瘍は薬と座浴で対応
- 大きな膿瘍は切開排膿
- おしりの清潔と座浴が大切
Q3.「繰り返すことはありますか?」
——また腫れてきました
繰り返すことは珍しくありません [3]。ただし、多くは成長とともに改善します。
| 再発について | 詳細 |
|---|---|
| 再発率 | 約30-50% |
| 再発の原因 | 肛門陰窩から繰り返し感染が起こる |
| 痔瘻への移行 | 一部は痔瘻(膿の出る管)を形成 |
| 自然治癒 | ほとんどが1歳頃までに自然に治まる |
「再発しても1歳を過ぎると自然に治まることがほとんどです。根気よくケアを続けてください。」
ポイント
- 再発率は30-50%
- 1歳頃までに自然に治まることが多い
- 根気よくケアを続ける
Q4.「痔瘻になったらどうしますか?」
——痔瘻という言葉を聞いて心配です
乳児の痔瘻は、肛門と皮膚をつなぐ管(瘻管)ができた状態です [4]。
| 乳児痔瘻の特徴 | 詳細 |
|---|---|
| 症状 | 肛門近くから繰り返し膿が出る |
| 自然治癒 | 約80%が2歳までに自然治癒 |
| 手術の適応 | 2歳過ぎても治らない場合に検討 |
「成人の痔瘻は手術が必要ですが、乳児の痔瘻は約50〜80%が自然治癒するため、経過観察が基本です。」
ポイント
- 乳児の痔瘻は約50〜80%が自然治癒
- 経過観察が基本
- 2歳過ぎても治らなければ手術を検討
Q5.「日常生活で気をつけることは?」
——再発しないように何ができますか?
以下のケアを心がけてください [5]。
| ケア | 内容 |
|---|---|
| おしりの清潔 | おむつ替えのたびに洗浄。おしりふきより洗浄が望ましい |
| 座浴 | 1日2-3回、温かいお湯でおしりを温める |
| 便の管理 | 柔らかい便を保つ(便秘は悪化因子) |
| おむつかぶれの予防 | 保護クリーム(ワセリン等)を塗る |
| 経過観察 | 腫れが出たら早めに受診 |
ポイント
- おしりの清潔が最も重要
- 座浴は治療にも予防にも有効
- 便秘を避ける
今号のまとめ
- 肛門周囲膿瘍は生後1-6か月の男児に多い疾患です
- おしりの赤い腫れが主な症状。早めに受診を
- 多くは抗菌薬と座浴で改善。大きな膿瘍は切開排膿
- 再発は珍しくないが、1歳頃までに自然に治まることがほとんど
- おしりの清潔と座浴が治療・予防の基本
あわせて読みたい
- Vol.190「胃食道逆流症(GERD)」
- Vol.189「機能性腹痛」
- Vol.174「子どもの乾燥肌とスキンケア」
- Vol.249「子どもの腹痛の見分け方」
ご質問・ご感想
「おしりの腫れで心配しました」「座浴の方法を教えてほしい」など、ご経験やご質問がございましたら、お気軽にお寄せください。
愛育病院 小児科 おかもん先生
本メルマガの内容は一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。お子さまの症状についてはかかりつけの小児科医にご相談ください。