愛育病院 小児科おかもん だより Vol.299
「薬を飲んでくれない!」、年齢別・剤形別の飲ませ方ガイド
今号のポイント
- 2粉薬は少量の水で練ってほっぺの内側か上あごに塗りつけるのが基本
- 4薬とジュースの組み合わせで苦くなることがある(クラリスロマイシン+酸味飲料など)
- 6薬を飲んだ直後に吐いた場合、5分以内なら再投与、30分以上経過していたら追加不要
こんにちは。愛育病院小児科のおかもんです。
小児科の外来で最もよく聞かれる質問の1つが「薬を飲んでくれない」です。大人と違って、子どもに薬を飲ませるのは本当に大変ですよね。
今回は、年齢別・剤形別の飲ませ方のコツと、やりがちな失敗を整理します。
Q1.「粉薬をどうやって飲ませればいいですか?」
——粉薬を水に溶かして飲ませようとしたら、全部吐き出されました……
水に溶かすと量が増えて飲みきれないことがあります。一番確実な方法は"練って塗る"方法です
乳児(0〜1歳)の粉薬の飲ませ方:
- 2小皿に粉薬を出す
- 4数滴の水(1〜2滴)でペースト状に練る
- 6清潔な指でほっぺの内側または上あごに塗りつける
- 8その後、母乳やミルクを飲ませて流し込む
ポイントは水を入れすぎないこと。ベタッとした団子状にするのがコツです。哺乳瓶の乳首に入れて吸わせる方法もありますが、乳首嫌いの原因になることがあるので注意してください
幼児(1歳以上)の場合:
- お薬ゼリー(服薬補助ゼリー)で包んで飲ませる
- アイスクリームやヨーグルトに混ぜる
- チョコレートシロップに混ぜる(苦味を隠しやすい)
ポイント
- 粉薬はごく少量の水でペースト状に練る [1]
- 乳児はほっぺの内側か上あごに塗りつける
- お薬ゼリーは1歳以降から使いやすい
Q2.「シロップ薬と座薬はどうですか?」
——シロップ薬は飲んでくれるんですが、量の測り方が不安です
シロップ薬はスポイトや注射器型の計量器で測ると正確です。哺乳瓶に入れると底に残ってしまうので避けてください
シロップ薬のコツ:
- 冷蔵庫で冷やすと苦味が軽減する [2]
- スポイトでほっぺの内側に少しずつ流し込む(喉の奥に直接入れるとむせる)
- 飲んだ後は水やミルクで口をすすぐ(虫歯予防)
——座薬が途中で出てきてしまうんですが……
座薬の入れ方にはコツがあります
座薬の正しい入れ方:
- 2先端にワセリンやベビーオイルを薄く塗る
- 4とがった方から肛門に挿入
- 6挿入後、ティッシュで肛門を30秒〜1分押さえる
- 8挿入後10分以内に出てきたら→もう1個入れる
- 10挿入後10〜30分で出てきたら→吸収されている可能性が高いのでそのまま様子見
ポイント
- シロップ薬は冷やすと飲みやすい [2]
- 座薬はとがった方から挿入し、30秒以上押さえる
- 10分以内に出たら再挿入、30分以降なら追加不要
Q3.「ジュースに混ぜて飲ませていいですか?」
——オレンジジュースに混ぜたら余計に嫌がりました。なぜですか?
それは薬と飲み物の相性の問題です。一部の薬は酸味のある飲料と混ぜると苦味が増します
混ぜてはいけない組み合わせ:
避けるべき飲料
- クラリスロマイシン
- オレンジジュース・スポーツドリンク
- テトラサイクリン系
- 牛乳・ヨーグルト
- 鉄剤
- お茶・コーヒー
理由
- クラリスロマイシン
- 苦味が大幅に増す [3]
- テトラサイクリン系
- カルシウムと結合して吸収低下
- 鉄剤
- タンニンと結合して吸収低下
混ぜてOKな組み合わせ:
- チョコアイス・チョコシロップ → ほとんどの薬の苦味を隠せる
- バニラアイス → 冷たさで味覚が鈍くなる
- お薬ゼリー → 薬をコーティングして味を隠す
ミルクや離乳食に混ぜるのは避けてください。薬の味でミルク嫌い・離乳食嫌いになることがあります
ポイント
- クラリスロマイシンは酸味飲料で苦味が増す [3]
- 主食(ミルク・離乳食)には混ぜない(嫌いになるリスク)
- チョコ系が苦味を隠す最強の味方
Q4.「薬を飲んだ直後に吐いてしまいました」
——飲ませた5分後に全部吐いてしまいました。もう一度飲ませるべきですか?
薬を飲んだ後に吐いた場合の対応は、吐くまでの時間で判断します
| 吐くまでの時間 | 対応 |
|---|---|
| 5分以内 | ほぼ吸収されていない → もう一度飲ませる |
| 5〜30分 | 一部吸収の可能性 → 判断が難しいので薬局か小児科に相談 |
| 30分以上 | おおむね吸収されている → 追加投与は不要 |
嘔吐を繰り返している場合は、無理に飲ませず座薬に変更できないか医師に相談してください。解熱剤のアセトアミノフェンは座薬と内服薬の両方があります。なお、この時間ルールはあくまで一般的な目安です。抗てんかん薬・免疫抑制薬・ホルモン薬など、血中濃度の維持が重要な薬では、時間に関係なく個別に判断が必要です。服用後に吐いたときは自己判断で追加せず、処方医か薬剤師に必ず確認してください
錠剤が飲めるようになる年齢:
- 一般的に5〜6歳から練習開始
- 小さなラムネやゼリーで飲み込む練習をする
- 苦手な場合は粉薬やシロップを続けてOK
ポイント
- 5分以内の嘔吐→再投与、30分以上→追加不要
- 嘔吐が続く場合は座薬への変更を相談
- 錠剤は5〜6歳から練習開始が目安
まとめ
- 粉薬: 少量の水で練ってほっぺの内側に塗る
- シロップ薬: 冷やしてスポイトで少しずつ
- 座薬: とがった方から入れて30秒押さえる
- 混ぜ物: チョコ系◎、酸味飲料×、主食×
- 吐いた時: 5分以内なら再投与、30分以降なら不要
どうしても飲めない場合は、剤形の変更を遠慮なくご相談ください。
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