愛育病院 小児科おかもん先生 だより Vol.455
「蜂に刺された」、針の除去とアナフィラキシーの見極め"
今号のポイント
- 2ミツバチ針は方法より速さが大事。なるべく早く取り除く
- 415分以内に全身症状が出たらアナフィラキシー疑い
- 6既往ありはエピペン携帯を検討
こんにちは。愛育病院小児科のおかもん先生です。
夏から秋にかけて蜂に刺されたという相談が増えます。多くは刺された場所が腫れるだけで済みますが、アナフィラキシーだけは命に関わるので見逃せません。今回は外来でよくお話ししているポイントを整理します。
蜂の種類と症状の違い
特徴
- ミツバチ
- 針が残る、1回のみ刺す
- アシナガバチ
- 針は残らない、複数回刺す
- スズメバチ
- 針は残らない、強毒
- クマバチ
- 基本穏やか、刺されることは稀
危険度
- ミツバチ
- 低
- アシナガバチ
- 中
- スズメバチ
- 高
- クマバチ
- 低
ミツバチは刺した後に針と毒嚢が残りますが、スズメバチ・アシナガバチは針を残しません [1]。
ポイント
- ミツバチは針が残る
- スズメバチは複数回攻撃
- 種類で対応が変わる
応急処置の手順
| 順番 | 行動 |
|---|---|
| 1 | その場を離れる(二次被害防止) |
| 2 | ミツバチなら針を除去 |
| 3 | 流水で洗う |
| 4 | 冷却(保冷剤+タオル) |
| 5 | 抗ヒスタミン薬/ステロイド外用 |
| 6 | 全身症状を観察 |
ミツバチの針は毒嚢に繋がっており、残っている間は毒が注入され続けます。とにかく一刻も早く取り除くことが最優先です。カード(クレジットカード等)で皮膚と平行にこそげ取る方法が広く知られていますが、Visscherらの研究では除去方法(こそげる/つまむ)よりも「いかに早く抜くか」が局所反応の大きさを決めると報告されています [2]。手元にカードがなければ爪ででも構いません。迷って時間を空けないことが一番大事です。
ポイント
- その場を離れる
- 針は一秒でも早く取る(方法は問わない) [2]
- 冷却で腫れ軽減
アナフィラキシーを疑うサイン
刺された後15分以内に次の症状が出たら救急要請。
| サイン | 詳細 |
|---|---|
| 呼吸 | 咳・喘鳴・呼吸困難・喉の違和感 |
| 皮膚 | 全身の蕁麻疹・顔面紅潮 |
| 消化器 | 嘔吐・腹痛・下痢 |
| 循環 | 血圧低下・めまい・意識低下 |
| 口腔 | 唇・舌・喉の腫れ |
2つ以上の臓器系症状が出ればアナフィラキシーです [3]。
エピペンを持っている場合は迷わず大腿外側に筋注。その後必ず119番。
ポイント
- 15分以内の全身症状 [3]
- 2臓器以上で診断
- エピペン→119番
局所反応 vs 全身反応
| 局所反応 | 全身反応 |
|---|---|
| 刺された部位の腫れ | 刺傷部位以外の蕁麻疹 |
| 痛み・かゆみ | 呼吸困難 |
| 数日で軽快 | ショック症状 |
局所反応で10cm以上の腫れは「大きな局所反応」と呼ばれますが、これ自体はアナフィラキシーではありません [4]。ただし翌日以降に広がる場合は受診を。
ポイント
- 腫れだけなら局所反応
- 全身症状で緊急度判断
- 10cm以上の腫れは受診検討
受診の目安
| 受診すべき | 理由 |
|---|---|
| 全身症状あり | アナフィラキシー |
| 口・喉・眼を刺された | 気道閉塞のリスク |
| スズメバチに刺された | 強毒 |
| 多数回刺された | 中毒リスク |
| 既往症あり | 重症化しやすい |
| 反応が翌日広がる | 蜂窩織炎の可能性 |
ポイント
- 全身症状は即受診
- 口・眼の刺傷は特に注意
- スズメバチは低閾値で受診
予防と再発対策
| 予防 | 内容 |
|---|---|
| 黒い服を避ける | スズメバチは黒に反応 |
| 香水・整髪料を避ける | 蜂を引き寄せる |
| 甘い飲み物に注意 | 缶の中に蜂 |
| 草むら・軒下を警戒 | 巣の存在 |
| 見つけたら静かに離れる | 急な動きはNG |
| 既往ありの場合 |
|---|
| エピペン携帯を医師と相談 |
| 診断書を学校・保育園に |
| 屋外活動時はブザーを携帯 |
| 蜂毒免疫療法も選択肢 |

おかもん先生より
外来で蜂アレルギー既往のお子さんに初めてエピペンを処方したとき、「怖くて使えない」とおっしゃるご家族が多い。でも使わなければ意味がない。私はいつも「使って後悔しない、使わず後悔することがある」とお伝えしています。疑ったら迷わず打って119番です。
ポイント
- 黒服・香水を避ける
- 既往ありはエピペン
- 蜂毒免疫療法も [4]
まとめ
- ミツバチの針はとにかく早く除去(方法は問わない)
- 洗って冷やす
- 15分以内の全身症状はアナフィラキシー
- エピペン+119番を迷わない
- 既往ありは予防策を
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愛育病院 小児科 おかもん先生
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