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スクリーンタイムの2026年最新エビデンス、JAMA Pediatricsメタ解析を読み解く
Vol.467メンタルヘルス

スクリーンタイムの2026年最新エビデンス、JAMA Pediatricsメタ解析を読み解く

JAMA Pediatrics 2026年3月のメタ解析(153研究・115コホート・1,072効果量)から、ソーシャルメディア・ビデオゲーム・その他デジタルメディアの影響を整理

メンタルヘルス・1〜3歳・3〜6歳・6〜12歳・9
おかもん先生小児科専門医愛育病院 小児科

参考文献 8·Q&A 6問収録

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この記事のポイント

  • JAMA Pediatrics 2026年の大規模メタ解析で、ソーシャルメディアは抑うつ・外在化行動・自傷・物質使用などと一貫して関連
  • ビデオゲームは攻撃性増加と関連する一方、注意・実行機能はわずかに向上
  • 相関係数は小〜中程度(r=0.05〜0.21)だが、集団レベルでは意味のある変化につながる

愛育病院 小児科おかもん先生 だより Vol.467

スクリーンタイムの2026年最新エビデンス、JAMA Pediatricsメタ解析を読み解く

「スマホって結局、子どもに悪いんですか?良いんですか?」。外来で本当によく聞かれます。

こんにちは。愛育病院小児科のおかもん先生です。

今年3月、JAMA Pediatricsに世界の研究を統合した大規模メタ解析が掲載されました [1]。153の縦断研究、115コホート、1,072の効果量。これまでの「スクリーンタイム研究」の決定版と言える内容です。今回は、その要点を保護者の方向けに翻訳してお伝えします。

Q1.「このメタ解析は何を調べたのですか?」

——JAMA Pediatricsの論文、ニュースでも見ました。具体的に何を明らかにしたんですか?

0〜18歳のデジタルメディア使用と、健康・発達の関連を時間軸で追った縦断研究を集めて、世界全体での傾向を数値化した研究です

この研究の特徴は3つあります [1]。

  • 横断研究ではなく「縦断研究」のみを対象(時間の前後関係が追える)
  • デジタルメディアを「ソーシャルメディア」「ビデオゲーム」「その他」の3つに分類
  • アウトカムも「社会情動」「認知」「身体・運動」の3領域で評価

対象年齢は2〜19歳、平均12.81歳。40.5%がヨーロッパ、39.2%が北米、14.4%がアジアの研究でした [1]。

Q2.「ソーシャルメディアの影響は?」

——一番気になるのはSNSです。どんな結果でしたか?

残念ながら、検討した全領域でネガティブな関連が出ました

ソーシャルメディアと関連した主なアウトカム [1]。

相関係数 r

抑うつ
0.09
外在化行動(攻撃・反抗など)
0.13
内在化行動(不安・ひきこもりなど)
0.14
自傷的思考・行動
0.11
問題的インターネット使用
0.21
学業成績
−0.07
自己認識
−0.14
物質使用(飲酒・喫煙など)
0.14

95%信頼区間

抑うつ
0.06〜0.12
外在化行動(攻撃・反抗など)
0.07〜0.19
内在化行動(不安・ひきこもりなど)
0.03〜0.25
自傷的思考・行動
0.01〜0.21
問題的インターネット使用
0.13〜0.29
学業成績
−0.11〜−0.02
自己認識
−0.26〜−0.01
物質使用(飲酒・喫煙など)
0.08〜0.19

相関係数は小さいですが、すべての方向が「悪化」で揃っている点が重要です

Q3.「相関係数ってどう読めばいいんですか?」

——0.09とか0.14って、大きい数字なんですか?

Cohenの基準で、0.1が小さい、0.2が中、0.3が大、0.4が極大とされます [1]。0.09は小さいですが、集団全体に広がると意味のある差になります

たとえばの話です。子ども10万人の集団で抑うつの発症が10%だとします。相関係数0.09という小さい差でも、ソーシャルメディアを重く使う層と軽い層を比べると、発症率で数%の差が出ます。個人では見えにくくても、学校や地域単位では大きな数字になります。

論文の著者らも「効果量は身体不活動や不健康な食習慣といった、他の修正可能な生活習慣因子と同等」と書いています [1]。運動不足や偏食と同じレベルの、注意を払うべき生活習慣因子というイメージです。

Q4.「ビデオゲームは悪いんですか?」

——ゲームも毎日やっています。やめさせたほうがいいですか?

結果は少し複雑で、全部悪いとは言えません

ビデオゲームとの関連 [1]。

  • 攻撃性の増加(r=0.16、95% CI 0.09〜0.23)
  • 外在化行動の増加(r=0.17、95% CI 0.07〜0.26)
  • 注意・実行機能の向上(r=0.10、95% CI 0.03〜0.16)

攻撃性との関連は「暴力的なゲーム」の影響が大きいと考えられています。一方で、注意機能や実行機能(計画・切り替え・抑制)は、ゲームによってわずかに向上することが示唆されました [1]。

ただし、ゲームでの認知機能向上が「学業成績の向上」につながるかというと、そこは否定的です。認知機能の改善は、その特定の課題に限定されがちです。

Q5.「その他のメディアは?動画サイトとか」

——YouTubeとかLINEはどうですか?

『その他のデジタルメディア』として一括で分析されました。抑うつとわずかに関連していました

「その他」には、PC・スマホ・タブレットの一般的使用、メッセージング・通信、デジタル学習、健康・フィットネスアプリ、一般的なインターネット使用が含まれます [1]。

  • 抑うつ(r=0.05〜0.12)
  • 一般健康の悪化(r=−0.04)

一般的なデジタル機器使用で r=0.11、メッセージングで r=0.05 と、ソーシャルメディアほどは強くないものの、正の関連がありました [1]。LINEでの友達とのやりとりも、ゼロリスクではないということです。

Q6.「結局、家庭でどうすればいいんですか?」

——数字はわかりました。具体的には?

論文の最後に方向性が書かれていて、3つにまとめられます

  1. 2
    メディアを一括で扱わない: ソーシャルメディア、ビデオゲーム、動画視聴は影響が異なります。「スクリーンタイム合計」で管理するより、種類別に考えたほうが現実的です
  2. 4
    発達段階を踏まえる: 特に若年思春期(12〜15歳)はソーシャルメディアの抑うつリスクが高いと示されました(モデレータ解析 β=−0.09, P=.009)[1]。この時期は特に注意が必要です
  3. 6
    家族の実践・学校教育・業界規制の3階建て: 著者らは「家族の共同視聴・学校のデジタルリテラシー教育・業界への規制」を組み合わせた生態学的アプローチを提案しています [1]
💡相関は因果ではないけれど

この研究は縦断研究を集めたもので、時間の前後関係は押さえられています。ただし、厳密な意味での「因果」は証明されていません。「メディアが悪い」と断定するより、「メディアの使い方次第で、子どもの発達に小〜中程度の影響がありうる」と理解してください。

「時間」より「種類」と「文脈」

今回のメタ解析の最大の示唆は、メディアを一括で「スクリーンタイム」と呼ぶ時代は終わった、ということです。ソーシャルメディア、ビデオゲーム、動画視聴、メッセージング。それぞれの影響は別物です。

AAP(米国小児科学会)も2026年の方針声明で「時間制限一辺倒から、質・文脈・会話重視へ」と転換しました [2]。今回のメタ解析は、その方向性を裏付けるデータになっています。

コンコン先生
🏥

おかもん先生より

外来でこの話をすると、「じゃあ、うちの子のスマホ、すぐ取り上げたほうがいいですか?」と聞かれます。違います。急に取り上げると、親子関係が壊れるほうが先に起きます。「一緒に使い方を見直そう」から始めてください。数字が示しているのは、完全排除の必要性ではなく、丁寧な運用の必要性です。

今号のまとめ

  • JAMA Pediatrics 2026年の大規模メタ解析が、世界の縦断研究を統合
  • ソーシャルメディアは抑うつ・行動問題・自傷・物質使用・学業低下と一貫して関連
  • ビデオゲームは攻撃性増加と関連するが、注意・実行機能はわずかに向上
  • 相関係数は小〜中程度だが、運動不足や偏食と同等の生活習慣因子
  • メディアは種類別に考え、家族の関わり・学校教育・業界規制の3階建てで対応

あわせて読みたい

  • Vol.468「思春期のソーシャルメディアとメンタルヘルス」
  • Vol.469「親のスマホ使用と乳幼児の発達」
  • Vol.470「ビデオゲームと子どもの攻撃性・注意機能」
  • Vol.471「家族のスクリーンルールの作り方」

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愛育病院 小児科 おかもん先生

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