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「腕を動かしません!」、肘内障
Vol.222骨・関節

「腕を動かしません!」、肘内障

1〜4歳に多い肘の亜脱臼。整復で数分で治る

骨・関節1〜3歳・3〜6歳5
おかもん先生小児科専門医愛育病院 小児科

参考文献 5·Q&A 5問収録

プロフィール →

この記事のポイント

  • 1〜4歳に多い肘の亜脱臼
  • 手を引っ張った後に腕を動かさなくなる
  • 徒手整復で数分で治り、再発率は20〜30%

愛育病院 小児科おかもん先生 だより Vol.222

「腕を動かしません!」、肘内障

こんにちは。愛育病院小児科のおかもん先生です。

「手をつないで歩いていたら、急に腕を動かさなくなって」。外来でよく聞く相談です。肘内障(ちゅうないしょう)は1〜4歳に多い肘の亜脱臼で、整復すればその場で治ります。今回は受診の目安と予防まで整理します。

Q1.「肘内障とは?」

——手を引いたら急に腕を動かさなくなりました

肘内障は、橈骨頭(肘の外側の骨)を包む輪状靱帯が一部ずれ込んで起きる亜脱臼です [1]

基本情報詳細
好発年齢1-4歳(5歳以上は少ない)
原因手を引っ張る、腕を引っ張り上げる
症状腕を動かさない、だらんと下げたまま
痛みの場所肘(手首が痛いと言うこともある)
典型的な受傷場面
手をつないで引っ張り上げた
転びそうになって手を引いた
寝返りで腕が体の下に入った
服を脱がせる時に腕を引いた

ポイント

  • 1-4歳に多い
  • 手を引っ張った後に腕を動かさなくなる
  • 肘の靱帯がずれた状態

Q2.「骨折との違いは?」

——骨折ではないですか?

肘内障と骨折には違いがあります [2]

肘内障

腫れ
なし
受傷機転
引っ張られた
レントゲン
異常なし
整復後
すぐに動かす

骨折

腫れ
あり
受傷機転
転倒・転落
レントゲン
骨折線あり
整復後
ギプス固定が必要

「腫れがなく、引っ張られた後に腕を動かさなくなった場合は、まず肘内障を疑います。」

ポイント

  • 腫れがないのが骨折との違い
  • 引っ張られた後が典型的
  • 整復ですぐに治る

Q3.「治療はどうしますか?」

——どうやって治しますか?

徒手整復(医師が手で元に戻す)ですぐに治ります [3]

整復について詳細
方法医師が前腕を回内または回外しながら肘を曲げる [3]
所要時間数秒で完了
麻酔不要
成功率初回で85〜95%前後 [3]
整復後数分で腕を動かし始める

「整復の瞬間に『コクッ』という音や感触があり、数分〜十数分で腕を動かし始めます。整復後に普通に遊び始めたら、まず成功と考えます。」

ポイント

  • 徒手整復で数秒で治る
  • 麻酔は不要
  • 整復後すぐに腕を動かす

Q4.「繰り返しますか?」

——また起こりますか?

繰り返すことがありますが、成長とともになくなります [4]

再発について詳細
再発率約20〜30%(報告により27〜39%との数値もあり) [4]
再発時期数日〜数か月以内 [4]
年齢とともに5歳以降は靱帯が発達して起こりにくくなる
予防策
手を強く引っ張らない
腕を引っ張り上げて持ち上げない
抱っこする時は脇の下から持つ

ポイント

  • 再発率は20-30%
  • 5歳以降は起こりにくくなる
  • 手を強く引っ張らないことが予防

Q5.「受診のタイミングは?」

——すぐに受診すべきですか?

腕を動かさない場合は受診してください [5]

受診すべき場合詳細
腕を動かさない肘内障の可能性
腫れがある骨折の可能性
変形がある骨折の可能性
整復後も動かさない骨折の精査が必要

「腕をだらんと下げたまま動かさないなら、夜間でも受診してください。整復は短時間で終わる処置で、待つメリットはありません。ただし転倒などで腫れや変形がある時は、骨折の可能性があるので整形外科でレントゲンを。」

ポイント

  • 腕を動かさなければ受診
  • 腫れや変形があれば骨折を疑う
  • 整復は簡単な処置

今号のまとめ

  • 肘内障は1-4歳に多い肘の亜脱臼
  • 手を引っ張った後に腕を動かさなくなるのが典型
  • 徒手整復ですぐに治る
  • 再発率は20-30%だが5歳以降は減る
  • 手を強く引っ張らないことが予防

あわせて読みたい

  • Vol.225「子どもの骨折」
  • Vol.223「成長痛」
  • Vol.219「O脚・X脚」

ご質問・ご感想

「腕を動かさなくて驚きました」「繰り返して困っています」など、ご経験やご質問がございましたら、お気軽にお寄せください。

愛育病院 小児科 おかもん先生

本メルマガの内容は一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。お子さまの症状についてはかかりつけの小児科医にご相談ください。

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※ この記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。お子さんの症状が心配な場合は、かかりつけの小児科医にご相談ください。

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